
日本は2025年に5人に1人が75歳以上となる超高齢化社会に突入し、介護サービスの需要が急増する一方で深刻な人材不足が予測されています。介護現場では約9割の従事者が腰痛に悩まされ、3割近くが「身体的負担が大きい」と感じているとの報告もあります。また一般のビジネスパーソンでも長時間労働や運動不足からくる慢性的な疲労・コリに悩む人は少なくありません。
こうした社会的課題に対し、「着るだけで身体をケアできる」ソリューションとして注目されているのが株式会社りらいぶ(以下、りらいぶ)の開発する機能性衣類「リライブウェア」です。宮城県仙台市発のスタートアップである同社は、この着る医療機器によって誰もが手軽にコンディショニングや疲労回復を図れる未来を目指しています。
事業内容:りらいぶウェア

りらいぶは機能性衣類「リライブウェア」を開発、提供しています。CMにお笑い芸人の出川哲郎さんが起用されたことでも話題になった本商品ですが、本記事ではその魅力を以下の点から詳しく紹介していきます。
- 製品概要と仕組み
- 独自性・効果
製品概要と仕組み:「着るテーピング」で身体機能をサポート

リライブウェアは一見すると通常の黒いTシャツやインナーウェアですが、その生地には特殊な鉱石を練り込んだインクで独自のプリント加工(リライブ加工)が施されています。これにより、着用するだけで生地から放射される微弱な遠赤外線が体に作用し、血行促進や筋肉の活性化をサポートします。
同社独自の「間接テーピング®」技術(特許第6409143号)によって圧力をかけずに経絡や筋肉を刺激する設計が特徴で、「着るマッサージ」「着るストレッチ」といった愛称でも親しまれる画期的なウェアです。実際、リライブウェアを着用するとテーピングやマッサージを受けたかのような体の軽さを感じる利用者が多いとされ、発売以来口コミやメディアを通じて人気が広がっています。
独自性・効果:医学的エビデンスに基づく疲労軽減とコリ改善
リライブウェア最大の特徴は、その効果が第三者機関の検証によって裏付けられている点です。2023年に実施された二重盲検試験では、リライブシャツ(リライブウェアの代表商品)着用により被験者の筋硬度の低減や血流速度の改善が確認され、着用2週間後には血流が約50%向上するなど疲労回復や可動域の向上につながる有意な効果が報告されました。こうした科学的エビデンスを背景に、同社の新製品「リライブシャツα」は一般医療機器として届け出も済ませており、着用することで「筋肉のハリ・コリの緩和」や「血行促進による疲労回復」が期待できる製品となっています。
実際のユーザーは高齢者から肉体労働者、介護従事者、アスリートまで多岐にわたり、発売開始の2019年から現在までにシリーズ累計200万着以上を売り上げるヒット商品です。着る人を選ばず日常生活に取り入れやすいリライブウェアは、忙しい現代人にとって手軽なコンディショニング手段として大きなメリットを提供しています。
資金調達:七十七銀行を引受先とし、1億円の資金調達を実施
りらいぶの資金調達面では、自己資本と製品売上をもとにした堅実な経営が特徴です。2022年には宮城県を拠点とする地方銀行「七十七銀行」を引受先としたSDGs私募債を発行し、1億円の資金調達を実施しました。この私募債は、医療・福祉の現場に貢献する企業を支援する制度であり、りらいぶの製品開発や生産体制の拡充、そして研究開発活動への投資に活用されました。
この取り組みは地域金融機関との連携によって社会的信頼性も高められたとされ、同社は資本の希薄化を防ぎつつ着実に成長資金を確保しています。また、自己資本比率を維持しながらリスクの少ない経営方針を貫いており、近年ではテレビCMやイベント出展などマーケティング活動にも積極的に投資を進めています。
今後は、さらなる販路拡大や製品ラインナップの拡充、そして介護分野での公的機関との連携に向けた施策において、外部資金を活用した投資計画も検討されているようです。
資金調達概要
- 調達手段:
2023年3月、七十七銀行を引受先とする「SDGs私募債(寄付型/社会貢献コース)」を発行。 - 調達額:
1億円(期間:3年、無担保) - 資金使途:
長期運転資金として、製品開発、研究開発、設備投資、販路拡大、マーケティング費用などに活用。 - 背景・特徴:
地元金融機関との連携により地域社会への信頼性を高め、資本の希薄化を避けた堅実経営を実現。私募債発行に伴う寄付も実施し、SDGs達成にも貢献。
市場規模:リカバリーウェア市場、2030年には約14兆円規模に達する

リライブウェアが属するリカバリーウェア(着用型ウェルネス製品)の市場は近年急拡大しています。一般社団法人日本リカバリー協会の調査によると、休養・抗疲労関連市場は2019年時点の約3.9兆円から2023年には約5.4兆円へと成長し、2030年には約14兆円規模に達すると予測されています。中でも衣服関連の分野は最も高い伸び率を示し、2019年比で約1.66倍に市場が拡大したとの報告があります。背景には健康志向の高まりや、運動・栄養だけでなく「休養」にも価値を置く消費者意識の変化があり、着るだけでコンディショニング効果が得られる商品へのニーズが増大していることが挙げられます。
これまでサプリメントや医薬品が中心だった疲労回復手段に、新たな選択肢としてリカバリーウェアが普及し始めているのです。こうした追い風の中、累計販売数で国内トップクラスの実績を持つリライブウェアは市場拡大の恩恵を大きく受けると期待されています。実際、日本国内のみならず米国でも特許を取得した独自技術を武器に、将来的な海外市場での活躍も視野に入れるなど、同社の事業ポテンシャルは非常に高いといえるでしょう。
創業経緯と足跡
創業者で代表取締役の佐々木貴史氏は1961年生まれ。還暦を迎えてから起業した異色の経歴を持ち、「世界中の人たちが心身ともに健康で幸せに暮らせる社会を作る」ことを企業理念に2017年10月に株式会社りらいぶを設立しました。同社はテレビCMやSNSでの情報発信に積極的に取り組み、製品の知名度向上と直販体制の整備によって急成長を遂げてきました。
実際、累計販売枚数の増加に伴い生産設備や研究開発への投資を進め、2023年には社名変更とともに医療機器製造業の認可も取得するなど着実に基盤を強化しています。最近では商品ラインナップの充実にも力を入れており、定番のシャツやスパッツのほか、睡眠時用のリライブパジャマやスポーツキャップの発売、新たなコラボレーション企画なども展開しています。例えば人気アニメ「範馬刃牙」と組んだ限定デザインのリライブシャツを発売し話題になるなど、ブランド認知を広げるマーケティング施策も功を奏しています。
今後も社会課題の解決に資するプロダクト開発と収益性の両立を図りながら、介護分野への本格参入や海外展開も見据えて事業拡大を進めていく方針です。
会社概要
- 会社名: 株式会社りらいぶ
- 所在地: 〒981-3212 宮城県仙台市泉区長命ヶ丘3-27-3 オメガコートビル1F
- 設立: 2017年10月
- 代表者: 代表取締役 佐々木 貴史
- 公式HP: https://www.reliveshirts.com/
まとめ
リライブウェアを開発・提供する株式会社りらいぶは、「着る医療機器」というユニークなアプローチで高齢化社会の健康課題に挑戦するスタートアップです。独自技術によるエビデンス重視の製品づくりと、ユーザー目線に立った使いやすさで多くの支持を集め、着実に実績を積み上げてきました。
今後は介護現場へのさらなる導入や新商品の開発を通じて、疲れや痛みに悩む人々の生活をより豊かにすることが期待されます。読者の皆様も、最先端のヘルスケア技術を身近に取り入れることで得られる快適さをぜひ実感してみてはいかがでしょうか。
本記事では、リライブウェアを提供する株式会社りらいぶについてご紹介しました。
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