最終更新日 25/01/15
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「教育格差を解消する新しい金融機関」EduCareが描く未来

教育金融
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(引用:PR Times)

2022年に設立された「株式会社EduCare」(以下、EduCare)は、「Make Education Affordable(教育をより手軽に)」というビジョンのもと、教育ファイナンスを通じて新しい学びの機会を創出するFintechスタートアップです。

2025年1月のサービスローンチに向け、教育ROI™を活用した独自の進学支援モデルや、若手社会人向けのリスキリング支援を提供することで、教育格差や経済格差の解消に挑戦しています。

これまでに約2.5億円の資金調達を実現した、同社の革新的な取り組みについて紹介します。

事業内容:教育格差解消に向けた革新的な教育ファイナンス

(引用:EduCate公式HP)

EduCareは、「Make Education Affordable(教育をより手軽に)」をビジョンに掲げ、教育ファイナンスを通じて学びの機会を提供するFintechスタートアップです。2022年の設立以降、厳しい規制要件をクリアしながら、2025年1月のサービスローンチに向けた準備を進めています。

【EduCareのサービス(リリース予定)】

  • 大学生向け事業:「教育ROI™」を活用した進学支援
  • 若手社会人向け事業:リスキリング支援

大学生向け事業:「教育ROI™」を活用した進学支援

EduCareは、家庭の経済状況に左右されることなく進学を実現できる社会を目指し、大学生向け教育ローン事業を展開します。この事業の柱となるのが、独自に開発した指標「教育ROI™」です。

「教育ROI™」は、分母を学費、分子を進学先や希望職種に基づいた将来の初任給や年収の伸び率とすることで、学生の将来性を定量的に可視化します。このデータをもとに金融機関に学生を送客し、その送客費用を収益とするビジネスモデルを採用。これにより、金融機関は学生の信用性を評価しやすくなり、柔軟な融資判断が可能になります。結果として、多くの学生が教育ローンを利用できる環境が整備されるでしょう。

ただし、教育ローンの無担保性や貸し倒れリスクの高さは課題として残ります。これについて、創業者の村上氏は次のように述べています。「教育ローンは、若年層がローンに初めて触れる重要な接点であり、銀行にとっても将来的な顧客基盤の拡大につながる分野です」。この視点から、金融機関にとっても魅力的な提案となるよう事業設計が進められています。

さらに、EduCareが採用する「教育ROI™」を活用したモデルは、教育ファイナンス領域で営利企業として取り組む日本初の事例です。この革新的なアプローチは、金融機関だけでなく、教育機関や進学を希望する学生にとっても新たな可能性を提供します。

若手社会人向け事業:リスキリング支援

EduCareは、スキルアップを目指す若手社会人に向けて、リスキリングスクールの学費をサポートする教育ローン事業を準備中です。この事業では、リスキリングを希望する社会人が経済的な負担を理由に学び直しを諦める必要がない環境を目指します。

政府が掲げる「新しい資本主義」の中核をなす人的資本への投資にも合致するこの取り組みは、個人のキャリア形成だけでなく、日本経済の成長にも寄与することが期待されています。

解決したい社会課題:経済的な事情から学びを諦めるしかない現状

日本では、大学進学者の約半数が奨学金や学費支援を利用している一方で、既存の制度では家庭の経済状況や世帯年収の違いによって支援を受けられない人が存在します。また、社会人においてもリスキリングのための学費が高い壁となり、学び直しを諦めざるを得ない現状です。

EduCareは、こうした教育と経済の格差を解消し、家庭の経済状況や年齢に関係なく、誰もが学ぶ機会を得られる社会を実現することを目指しています。

これまでの実績:貸金業者としてさまざまな要件をクリア

EduCareは、事業開始に向けた準備を着実に進めています。

  • 金融ライセンスの取得: 教育ローン事業に必要なライセンスを取得し、事業基盤を整備。
  • 教育ROI™の開発: 学費と将来収入の相関を定量化する指標の構築を開始。
  • パートナーシップ構築: 株式会社アイネット(東証プライム: 9600)と教育ローンシステムを共同開発。
  • 実証実験(PoC)の実施: パイロット養成学校と連携し、学生ニーズを検証。

EduCareは現在、2025年1月の本格的なサービスローンチに向け、最終準備を進めています。教育格差や経済格差の解消に取り組み、すべての人が平等に学びの機会を得られる未来を創造していくとしています。

資金調達:2024年に約1.2億円を調達、ついにサービスローンチ

(引用:PR Times)

EduCareは2024年、6月の1st closeと11月の2nd closeを通じ、合計約1.2億円の資金調達を実施しました。これにより、累計調達額は約2.5億円に達し、2025年1月の本格的な事業ローンチへの準備が整いました。今回の資金調達は、教育格差と経済格差を解消するというEduCareのミッションに向けた重要なマイルストーンとなります。

【本資金調達の引受先】

  • 既存投資家
    • 東大創業者の会ファンド(UT創業者の会投資事業有限責任組合)
  • 新規投資家
    • グロービスG-STARTUPファンド
    • Iceblue Fund有限責任事業組合
    • その他エンジェル投資家複数名

調達資金の用途:事業拡大に向けた体制強化

2025年1月のサービスローンチに向け、調達資金は主に以下の目的に使用されます。

  • 教育ROI™データベースの開発
    • 学費と将来収入の相関を可視化する独自指標「教育ROI」を整備。これにより、学生の潜在能力に基づいた新しい融資基準が金融機関で採用されることを目指します。
  • 社会人リスキリングローンの事業開発費用
    • 経済的な負担を軽減し、スキルアップを希望する社会人に新しい教育機会を提供します。
  • 両事業の拡大に向けた営業・マーケティング等の強化
    • 教育ファイナンス事業を全国に広げ、より多くの人々にサービスを届けるための基盤を構築します。

EduCareは「学ぶ人のための新しい金融機関」を目指し、これまで教育の機会に恵まれなかった人々に対し、新たな選択肢を提供することで、教育格差と経済格差の解消に取り組みます。

企業概要

  • 企業名:株式会社EduCare
  • 代表者:代表取締役 村上 健太
  • 設立:2022年6月30日
  • 所在地: 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 FinGATE KAYABA2階
  • 公式HP:https://www.edu-care.co.jp/

まとめ

本記事では、教育ROI™を活用した独自の進学支援モデルや、若手社会人向けのリスキリング支援を提供する株式会社EduCareについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社EduCareのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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