最終更新日 25/03/22
国内スタートアップ

「記憶」にテクノロジーで革命を!学びの定着を支援するモノグサとは?

AIIT教育
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(引用:モノグサ公式HP)

教育DXやリスキリングの重要性が高まる中、eラーニング市場では「記憶の定着」にフォーカスした学習プラットフォームが注目を集めています。

その代表例が、モノグサ株式会社(以下、モノグサ)が開発・提供する「Monoxer(モノグサ)」です。AIによって学習者ごとの記憶状況を分析し、個別最適化された問題を自動生成することで、効率的かつ継続的な学習を支援します。

本記事では、Monoxerの機能や活用事例に加え、eラーニング市場の最新動向も踏まえながら、企業研修・教育現場での導入が進む理由をわかりやすく解説します。

事業内容:「Monoxer」記憶定着のための学習プラットフォーム

(引用:PR Times)

モノグサ株式会社は、「記憶を日常に。」というミッションを掲げ、記憶の定着を支援する学習プラットフォーム「Monoxer(モノグサ)」を開発・提供しています。

知識の「理解」にとどまらず、「どれだけ記憶として定着したか」にフォーカスした新しい学習支援ツールとして、教育機関から企業の人材育成の現場まで、幅広い分野で導入が進んでいます。

学校・教育機関における活用

(引用:モノグサ公式HP)

Monoxerは、多くの教育現場で教師から支持を集めている学習プラットフォームです。AIを活用して学習者一人ひとりの記憶状況を解析し、それぞれに最適な問題を自動で出題できる点が特徴です。

機能①:学習者ごとに最適化された問題の自動作成

(引用:モノグサ公式HP)

Monoxerは、学習者の記憶度や忘却速度をAIが解析し、個別に最適な難易度・出題頻度で問題を自動生成します。これにより、効率的な記憶定着が可能となり、学力差のあるクラスでも一人ひとりに合った学びを提供できます。

機能②:学習状況と記憶度の可視化

(引用:モノグサ公式HP)

学習者の在宅学習や定着状況を可視化することで、教師はテストの点数では見えにくかった学習の過程を把握できます。保護者との面談においても、客観的なデータに基づいたフィードバックが可能です。

機能③:自動学習計画の提案

(引用:モノグサ公式HP)

試験日などの目標日を設定すると、Monoxerが記憶状況をもとに日々の学習内容を自動で提案します。計画を立てるのが苦手な学習者でも、安定した学習ペースを築くことが可能です。

####機能④:小テストや教材配信機能の充実

(引用:モノグサ公式HP)

Monoxer上で小テストの作成・採点・集計まで一括管理できるほか、教師が作成したオリジナル教材をCSV形式で簡単に取り込むことが可能です。また、英検®や漢検などの市販教材を購入して使用できる「モノグサマーケット」も利用できます。

企業における活用と導入事例

(引用:モノグサ公式HP)

Monoxerは、企業における社員のスキル定着やリスキリングの支援ツールとしても活用されています。個々の記憶状況に応じて最適な学習を提供し、業務に必要な知識を効果的に定着させることが可能です。

企業内の幅広いシーンに対応

企業内では、以下のような具体的な場面でMonoxerが活用されています。

  • セールストーク:商品説明、Q&A、ヒアリングトークの習得
  • 業界知識:業務遂行に必要な専門用語、専門知識の習得
  • 商品知識:商品の特徴・利点、新商品のタイムリーな知識習得
  • 資格対策・業務遂行に必要な専門資格、社内認定資格の合格促進
  • 社内マニュアル:社内ルール、ツール操作方法、作業手順の習得

導入が進む4つの理由

企業でMonoxerの導入が進んでいる背景には、以下の4つの理由があります。

  1. 個別最適な学習体験:社員ごとに異なる記憶度・忘却速度を考慮し、最適な問題を最適なタイミングで出題
  2. 記憶状況の可視化:記憶の定着度合いを可視化することで、研修の効果測定や業務成果との相関分析に活用
  3. オリジナルコンテンツの作成:従来の研修内容をもとに、自社独自の知識やスキルを問題化し、定着支援に活用することが可能
  4. 営業スキルの体系化支援:営業現場で必要とされる知識・スキルの定義から、評価方法の設計までをカスタマーサクセスが支援

導入実績としては、東京海上日動火災保険株式会社JA三井リース株式会社などの企業が挙げられます。

モノグサが記憶の定着にこだわる理由

モノグサが「記憶の定着」に注目する背景には、学習における成果の差が、授業後の定着の差によって生じているという課題意識があります。たとえ同じ授業を受けても、定着の方法や習慣には個人差があり、多くの学習者が自ら効果的な方法を見つけるのは難しい状況です。

さらに、記憶定着の方法は長年にわたり変わらず、個人の努力に依存してきたという実態もあります。Monoxerは、こうした状況をテクノロジーで変えようとするアプローチであり、記憶定着を科学的に支援することで、学習者の可能性をより確かなものにしようとしています。

資金調達:デッドファイナンスで総額8億円を調達

デットファイナンスにより総額8億円の資金調達を達成したモノグサ(引用:PR Times)

モノグサ株式会社は、2025年2月までに総額8億円の資金調達を実施したことを発表しました。調達手段はデットファイナンス(融資)であり、出資ではないため、株式の希薄化を抑えつつ資金を確保した点が特徴です。今回の資金提供元には、株式会社商工組合中央金庫、株式会社SBI新生銀行、株式会社福岡銀行、株式会社静岡銀行の4社が含まれています。

なかでもSBI新生銀行、福岡銀行、静岡銀行からの融資は、新株予約権付融資という形式で実施されています。これは、モノグサの将来的な事業成長に応じて条件が変動する仕組みとなっており、株式の希薄化を抑えながら資金を調達できる柔軟性の高い設計が特徴です。

今回の資金調達により、モノグサの累計調達額は約36.8億円に達しました。同社は創業以来、「記憶を日常に。」というミッションのもと、教育領域での事業を展開してきましたが、近年ではリスキリングや人材育成といったHR領域への利用も広がりを見せています。今回の資金調達を通じて、同社は教育分野に加え、HR領域でのさらなる事業拡大を進める方針です。

国内eラーニング市場の現状と今後の展望

(引用:矢野経済研究所)

矢野経済研究所の調査によると、2023年度の国内eラーニング市場規模は、提供事業者売上高ベースで3690億円と推計され、前年度比0.9%の減少が見込まれています。これは、個人向け市場(BtoC)の落ち込みが全体の成長を押し下げたことによるものです。

BtoB市場はリスキリング需要に支えられ堅調に推移

eラーニング市場の内訳を見ると、法人向け(BtoB)市場は1140億円(前年比6.0%増)と拡大傾向です。新型コロナウイルスの感染拡大による一時的な特需は落ち着いたものの、企業におけるDX推進やリスキリング(再教育)への関心の高まりが、引き続き需要を下支えしています。企業研修の効率化やコスト削減を目的としたeラーニングの導入は、今後も安定して継続する見込みです。

BtoC市場は塾・通信教育の停滞で減少基調

一方、個人向け(BtoC)市場は2550億円(前年比3.8%減)と縮小しており、全体のマイナス成長の要因となっています。この背景には、学習塾・予備校の生徒数や通信教育の受講者数が伸び悩んでいることが挙げられます。eラーニングという学習手段自体は広く一般化しているものの、従来型の教育サービスにおける利用がやや停滞している状況です。

ただし、資格取得・語学学習といった分野では引き続き一定の需要があり、特に海外出張や旅行機会の回復に伴って、英語学習系のサービスは堅調に推移すると予測されています。

生成AIの活用が拡大する中、課題と可能性が混在

2022年11月に公開された「ChatGPT」をはじめとする生成AIの普及により、eラーニング分野でもAIを活用したサービスの開発が加速しています。具体的には、テストや教材の自動作成、授業音声の文字起こし、学習アドバイスの生成、語学の発話トレーニングなど、さまざまな用途で導入が進んでいる状況です。

一方で、生成AIを活用したサービスはまだ模索段階にあるものも多く、著作権管理の課題や、サービスのコモディティ化による差別化の難しさといった懸念も指摘されています。また、生成AIを活用することで、企業や教育機関が外部サービスを利用せず、自社内で教育を完結させやすくなる点も、事業者にとっては競争環境の厳しさにつながる要因とされています。

2024年度は横ばい推移の見込み

2024年度のeラーニング市場規模は、前年度比0.1%増の3693億5000万円と予測されています。BtoB市場は引き続き堅調な推移が見込まれる一方で、BtoC市場は学習塾・予備校などの不振が続くと見られ、全体としては成長率が鈍化する見通しです。また、顧客層の広がりによる小規模導入の増加に伴い、顧客単価の下落や競合の激化といった課題も浮上しています。

企業概要

  • 企業名:モノグサ株式会社
  • 代表者:代表取締役CEO 竹内 孝太朗、代表取締役CTO 畔柳 圭佑
  • 設立:2016年8月10日
  • 所在地: 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル 7階
  • 事業内容:記憶のプラットフォーム Monoxer の開発と運営
  • 公式HP:https://corp.monoxer.com/

まとめ

本記事では、記憶の定着を支援する学習プラットフォーム「Monoxer」を開発・提供するモノグサ株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

モノグサ株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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