【シンクサイト】総額100億円を調達した東大発スタートアップ!世界初の技術で再生医療に革命

引用:https://thinkcyte.com/jp/

難病に苦しむ人々にとって「再生医療」は、希望の光となっています。2006年に山中伸弥教授らによってiPS細胞が発明され、この分野は飛躍的な進歩を遂げました。最近では、京都大学が2025年にiPS細胞を用いた1型糖尿病の治験を実施予定であると発表しており、再生医療は着実に発展を続けています。

しかし、再生医療の実用化にはまだ多くの課題が残されています。特に、再生医療で使用する「細胞医薬品」(治療に用いる高品質な細胞)の選別を再現性高く行い、低コストかつ大量に安定供給することが大きな課題です。

今回紹介する「シンクサイト株式会社」(以下、シンクサイト)は、東京大学発のスタートアップであり、この課題解決に挑戦しています。同社が世界で初めて開発した「ゴーストサイトメトリー技術」は、細胞を染色することなく、個々の細胞を詳細かつ高速に分析し、目的とする細胞を高精度で分離できる画期的な技術です。

シンクサイトは、これまでに約110億円もの資金を調達しており、今後ますます注目されるスタートアップといえるでしょう。本記事では、そんなシンクサイトの詳細について掘り下げていきます。

事業内容:ゴーストサイトメトリー技術の研究開発

引用:https://thinkcyte.com/jp/ghost-cytometry-jp/

シンクサイトの事業内容は、「ゴーストサイトメトリー技術」(GC技術)の研究開発です。GC技術では細胞を染色することなく、個々の細胞を詳細かつ高速に分析し、目的とする細胞を高精度で分離することができます。

従来は、単一細胞から取得する情報量と分離スピードを両立させることが困難だったそう。そこで、シンクサイトは革新的な高速イメージング技術と機械学習、マイクロ流体技術を融合。この試みでGC技術の開発を世界で初めて成功させ、2018年にその成果を科学誌Scienceに発表しています。

高品質な細胞を集めたり、細胞の形態変化を確認したりすることが得意なので、創薬研究や医薬品開発、がん検出を効率化することができるそうです。

引用:https://thinkcyte.com/wp-content/uploads/dlm_uploads/VisionSort_brochure_JP.pdf

代表製品:日立と共同開発した「VisionSort」

引用:https://thinkcyte.com/jp/visionsort-jp/

シンクサイトは世界中の大学や企業と共同開発を行なっており、中でも特筆すべきは日立と共同開発した代表製品「VisionSort」です。

光学、マイクロ流体、AI分野における先端技術を駆使した「VisionSort」によって、細胞形態に関する高解像な情報を高速に測り、より高度な解析結果を研究者に提供します。

ゴーストサイトメトリー技術を搭載した「VisionSort」は、これまでの蛍光フローサイトメトリーから得られる情報だけでなく、独自の光学・AI技術により、ラベルフリーの細胞形態詳細プロファイリングやインサイトも提供してくれるそう。「VisonSor」による新たな視点を通じて、これまでの分析方法からさらに踏み込んだ細胞解析やソーティングを実現できます。

資金調達:2024年8月シリーズCラウンドにて45億円を獲得

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000036405.html

シンクサイトは2024年8月29日に、シリーズCラウンドとして総額45億円の資金調達に成功したと発表しました。今回の資金調達により、助成金も含めたこれまでの累計調達額は111.5億円となります。

同社のゴーストサイトメトリー技術を搭載したVisionSortの販売を2023年6月に開始して以来、大手製薬企業やバイオテック企業、著名な大学・研究機関等への納入が進み、グローバル市場で好評を得て、販売は好調に推移しているそう。

今回の資金調達により、VisionSortのグローバル市場での販売・マーケティング体制の更なる強化を図り、より多くの製薬企業・バイオテック企業や研究機関への導入を目指すと発表。同時に、シンクサイトが有する技術的な強みを生かした新たな製品開発や、VisionSortで取得できる膨大な細胞形態情報データを活用した新たなサービスの開発を積極的に進めていくそう。

シリーズCラウンド

  • 発表時期:2024年8月29日(ファーストクローズは2023年11月)
  • 主な投資家:株式会社脱炭素化支援機構、株式会社日本政策金融公庫etc
  • 調達金額:45億円

シリーズBラウンド

  • 発表時期:2021年5月19日
  • 主な投資家:未来創生2号ファンド、ジャパン・コインベスト3号投資事業有限責任組合etc
  • 調達金額:28.5億円

シリーズAラウンド

  • 発表時期:2020年5月29日
  • 主な投資家:未来創生2号ファンド、テクノロジーベンチャーズ5号投資事業有限責任組合etc
  • 調達金額:16.5億円

市場規模:再生医療の国内市場は2050年に2.5兆円まで成長

引用:https://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000R01/200302_regenerative_medicine_1st/regenerative_medicine_1st_05.pdf

経産省によると、再生医療の市場規模は2050年までに国内市場2.5兆円、世界市場38兆円まで成長するそう。中でも幹細胞技術・遺伝子治療・組織工学が、政府による支援政策や技術革新を促進する規制によって後押しされ、この急成長市場の柱となっています。

企業概要

  • 企業名:シンクサイト株式会社
  • 代表者:代表取締役CEO 勝田 和一郎
  • 設立:2016年
  • 所在地: 東京都文京区本郷7-3-1
  • 公式HP:https://thinkcyte.com/jp/

まとめ

本記事では、ゴーストサイトメトリー技術の研究開発を行うシンクサイト株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

シンクサイト株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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