株式会社センシンロボティクス(以下、センシンロボティクス)は、産業用ドローンなどのスマートデバイス等を活用して、業務のDX化を支援している企業です。
『ロボティクスの力で、社会の「当たり前」を進化させていく』といったミッションを掲げ、 『労働人口の減少』『災害の激甚化』などの社会課題にチャレンジしています。
沿革:ロボティクス技術を生かして3つのサービスを展開中
(引用元:センシンロボティクス HP)
センシンロボティクスは、ブイキューブロボティクス・ジャパンとして2015年に創業し、2018年に現社名へと商号変更しました。 2019年からは、主力事業となっている3つのサービスを提供し始めます。
〈センシンロボティクスの主力事業3つ〉
- 「SENSYN FLIGHT CORE」:業務自動化統合プラットフォーム
- 「SENSYN DRONE HUB」:完全自動運用型ドローンシステム
- 「SENSYN DC」:ドローンコミュニケーションサービス
2023年11月には、過去最高額の22.5億円の資金調達を行い、さらなる事業拡大を目指しています。
成長理由:日本の社会課題にドローンが効果的
センシンロボティクスは、ドローン・その自動化サービスに注目し、成功を収めています。 これは、日本が抱える少子高齢化などの社会問題に、ドローンが有用なためです。 特にインフラの老朽化・人材不足という問題を解決できる、ドローンの自動化に期待が寄せられています。
なぜドローンが必要になっているのか?
日本社会には、危険な作業や労働集約的な作業が溢れています。 少子高齢化に伴い、労働生産人口が減少していく日本では、いかに効率よく簡単に業務ができるかが重要になってくるでしょう。このような状況の中で、近年増加している災害や、インフラの老朽化などに対処しなければなりません。
そこで、社会課題を解決するキーとしてドローンが登場しました。 中でもセンシンロボティクスはドローン事業のパイオニアとして活躍しています。
ドローンの自動化サービスが、人手不足を解消!
ドローン事業の需要の高まりに合わせて、ドローンの自動化も求められています。 通常、ドローンの撮影は「書類申請→撮影地移動→機体セッティング→撮影→データ取り組み」という煩雑なフローで行われています。 また、ドローンの撮影が多く用いられるインフラメンテナンス作業などでは、メンテナンスの担い手である若手入職者の減少や高齢化が顕著です。
このような状況で、単なるドローンのパイロットの派遣では、人へのスキル依存が生まれ、省人化・コストカットができないという課題が浮き彫りになってしまいます。
そして災害時には、災害発生から30分は自分の身を守ることが必要であるといわれており、人間にできることは限られるでしょう。そんな時にドローンの自動化が必要不可欠になります。
上記の課題を解決するために、センシンロボティクスは以下の3つのドローン事業の特に自動化に注力しています。
事業内容:ドローン業務の自動化サービス
(引用元:センシンロボティクス サービス一覧)
センシンロボティクスは、様々な社会的課題をドローンで解決するためのサービスを、主力事業として展開しています。
他にも無人カメラやセンサー、データ活用による業務効率化などの事業にも注力している企業です。
今回は、主力事業であるドローンの自動化サービスについて紹介します。
(引用元:J-Startup センシンロボティクス紹介スライド)
①業務自動化統合プラットフォーム -SENSYN FLIGHT CORE-
(引用元:センシンロボティクス HP)
「SENSYN FLIGHT CORE」は、ドローンなどのデバイスを用いた業務の自動化を推進するプラットフォームです。 プラットフォームである「SENSYN FLIGHT CORE」をベースに、デバイスの用途に合わせて必要な機能選定することでアプリ構築ができます。
アプリケーションに加えることができる機能としては、ロボットの移動経路の計画立てから実績の管理、遠隔配信、データ分析など幅広く対応することができます。 例えばドローンであれば、飛行ルートの設計や撮影データの管理などの自動化が可能です。
そんな「SENSYN FLIGHT CORE」の強みは大きく3つあります。
①短期間×容易にアプリ開発が可能 用途に合わせて機能を追加する形なので、特別な知識や技術がなくても短期間かつ簡単に業務自動化を実現することができます。
②ドローンだけではなく、様々なデバイスへの対応が可能 スマートグラスや自律走行ロボット、ドローン基地などさまざまなデバイスに対応することができます。
③デバイスの用途に合わせて自由にアプリ構築ができる ドローンであれば、例えば太陽光パネル点検アプリケーション・送電設備点検アプリケーションなどの開発が可能です。 地理情報システムや資産管理システムなどの豊富な外部システムと組み合わせることができ、用途に最適な業務アプリを開発することができます。
②完全自動運用型ドローンシステム -SENSYN DRONE HUB-
(引用元:J-Startup センシンロボティクス紹介スライド)
完全自動運用型ドローンシステム 「SENSYN DRONE HUB」はドローンでの業務自動化を推進するシステムです。
ドローン機体、自動発着装置や自動充電に対応する基地(ドローンボート)に加えて、制御ソフトウェア・業務アプリケーションが一体となったシステムとなっています。
基地には、防水・防塵機能や、飛行可否を自動判断できる気象センサーなどの取り付けが可能です。
③ドローンコミュニケーションサービス -SENSYN DC-
(引用元:センシンロボティクス HP・J-Startup センシンロボティクス紹介スライド)
「SENSYN DC」は、ドローンを通したコミュニケーションを可能にするサービスとなっています。 ドローンで撮影中の映像を、複数の拠点間でリアルタイムで共有しながら、コミュニケーションをとることが可能です。 「SENSYN DC」の特徴として、以下の4つの機能が挙げられます。
- 飛行位置情報表示の機能があり、拠点から飛行しているドローンの位置情報やテレメトリ情報(ユーザーの利用データ)を確認することができます。
- カメラのリモート操作が可能で、拠点から直接カメラの方向変更やズーム操作ができます。
- マルチプラットフォーム対応型で、各プラットフォームでアプリ提供しています。
- 複数機体の映像表示が可能で、災害発生時などドローン映像の集中管理ができます。
これらの特徴を通して、ドローンで撮影した映像をリアルタイムで見るべき人に届けることが可能です。大規模災害時における被災エリアの監視をする際や、危険区域での点検業務において役立ちます。
資金調達:2023年に22.5億円調達で事業拡大加速
(引用元:センシンロボティクスHP・CNET-Japan)
センシンロボティクスは以下の資金調達に成功しています。
2016年 | 2億円 |
2018年 | 12億円 |
2020年 | 22億円 |
2023年 | 22.5億円 |
累計58.5億円の資金調達を通して、着実に事業を拡大していくでしょう。現在は調達した資金を活用し、サービス開発投資や人員増強を行っているそうです。
市場規模:ドローンの市場規模は2028年度には9000億円超へ
(引用元:インプレス総合研究所)
インプレス総合研究所によると、2022年度のドローンビジネス市場規模は、前年比33.7%増の3,086億円レベルへと成長しました。
2028年度はドローンの市場規模が9,000億円を超えることが見込まれています。 近年、ドローンの活用に関する新しいルールが施行され、物流をはじめ様々な用途で使用することが可能になったことが市場規模の拡大要因だと考えられるでしょう。
今後、2022年度から2028年度の市場規模は、年約20%で増加していく見込みだそうです。 ドローンを活用した新しいサービスがさらに生まれていくことが期待されています。
将来展望:ドローン領域以外の強化×海外展開
(引用元:センシンロボティクスHP・日本経済新聞・J-Startup センシンロボティクス紹介スライド)
センシンロボティクスは、将来展望として、ドローン領域以外の強化・海外展開を考えています。
現在はセンシンロボティクはドローン向けのサービスに注力しています。
今後は、ドローン以外での業務領域や民間企業向け事業だけでなく、地方自治体へ向けたサービスへの展開を強化していくそうです。
今後の成長戦略としては、海外展開を掲げています。 既に営業もかけ始めており、海外でも課題となっている設備保全の省人化や効率化へと取り組み始めています。
中でも、産業設備などが多い東南アジアの市場を開拓する方向性だそうです。