
近年、多くの企業が人手不足や人件費削減を理由に、AIを接客に導入するようになっています。しかし、AIの精度が向上しているとはいえ、マニュアルにない予期せぬ事態には対応しきれないことが少なくありません。また、AIによる接客は冷たく感じられることがあり、顧客の満足度を損なう可能性も指摘されています。
こうした課題を解決する手段として注目されているのが、タイムリープ株式会社(以下、タイムリープ)が提供する遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」です。
「RURA」は、店員と顧客を遠隔でつなぎ、リモートで接客を行うことができるサービスです。この仕組みにより、企業は少人数で効率的に接客を行いながら、人による温かみのある対応を提供できます。そのため、人手不足の解消と顧客満足度の向上を両立できる点が大きな強みです。
さらに、「RURA」は幅広い業界で活用されており、現在では小売業にとどまらず、ホテル、フィットネスジム、インフォメーションセンター、ネットカフェ、葬祭業、ゴルフ場など、多様な分野で導入が進んでいます。
AIによる接客のみでは不安を感じる企業にとって、「RURA」は人手不足や人件費削減の課題を解決しつつ、顧客対応の質を維持できる有力な選択肢となるでしょう。本記事では、「RURA」の特徴やタイムリープについて詳しく紹介していきます。
事業内容:遠隔接客サービス「RURA」

タイムリープは遠隔接客サービス「RURA」を提供しています。こちらは、店に専用モニターを設置し、スタッフによる遠隔での顧客対応を可能にすることで、店頭スタッフと変わらない接客ができるというサービスです。
最大の特徴:少人数で多くの店舗の接客をカバー

「RURA」では、1人のスタッフが複数の店舗を同時に担当できるため、少人数で多くの店舗を効率的に対応でき、人手不足の解消や人件費削減が可能となります。少人数での対応が難しいと感じられるかもしれませんが、「RURA」にはその課題を解決するための機能が備わっています。
たとえば、複数の店舗の様子を一元管理できる機能があり、これによりスタッフは各店舗の状況をリアルタイムで把握することが可能です。また、スタッフ同士がチャットや会話で情報を共有できるため、コミュニケーションが円滑になります。さらに、顧客の来店を通知する機能があるため、スタッフは来店のタイミングに合わせて柔軟に対応することが可能です。これらの機能を活用することで、少人数でも効率よく接客を行い、複数の店舗を管理することができます。

実際の導入事例で、3人で27店舗を対応しているところもあり、かなり人手不足の解消や人件費削減の解決につながっていることがわかります。
遠隔での接客を可能にする「RURA」の4つの機能
またそれだけでなく、リモートで対面と変わらない接客を実現するために「RURA」には、4つの機能が搭載されています。
<RURAの機能>
- 機能1.客を察知するセンサー
- 機能2.画面共有によるスムーズな接客
- 機能3.インバウンド対応が可能な翻訳機能
- 機能4.表情をリアルタイムで読み取るアバター機能
以下の記事で詳しく説明していきます。
機能1.客を察知するセンサー

1つ目は客を察知するセンサーです。「RURA」には、客が来店した際にそれを察知するセンサーが搭載されており、来店客に対してすぐに接客を開始することができます。
また、客が店員を呼び出すことができるため、接客の取りこぼしを防ぐことが可能です。モニターを通じて、顔を見ながらタイムラグなく接客できるため、顧客の要望に素早く対応することができます。
機能2.画面共有によるスムーズな接客

2つ目は画面共有です。接客中に画像や動画を共有することができ、状況に合わせた案内や説明が可能です。また、「RURA」は、店舗にあるセルフレジなどの端末と連携できるため、操作が分からず困っている客をサポートすることもできます。
機能3.インバウンド対応が可能な翻訳機能

3つ目は翻訳機能です。「RURA」には翻訳機能も備わっており、日本語を話せないインバウンドの客にも問題なく対応できます。英語や中国語、韓国語など、複数の言語をリアルタイムで翻訳し、文字として表示することができるため、客の要望を正確に伝えることが可能です。また、店員の日本語もリアルタイムで翻訳されるため、言語の壁を感じることなくスムーズな会話をすることもできます。
機能4.表情をリアルタイムで読み取るアバター機能

4つ目はアバター機能です。これを使うと、接客スタッフの表情や上半身の動きをリアルタイムで読み取ったアバターが映し出されるため、スタッフは顔を映すことなく接客でき、客にもまるでアニメや映画の中のキャラクターと会話をするような新しい体験を提供できます。
「RURA」の便利機能:接客を可視化する分析機能

さらに、「RURA」には接客を可視化する分析機能があります。接客数や対応にかかった時間などを記録し、データを分析することが可能です。また、各店舗・各スタッフがそれぞれ何回接客したのかをグラフで確認したり、比較・分析したりすることもできます。

さらに、録音機能も付いており、接客した音声データの確認によってどのような接客をしていたのかを確認することもできます。たとえば、クレームがあった接客だけを抽出・確認することで、オペレーションの改善につなげることが可能です。
「RURA」が気になった方はこちらをご覧ください。
資金調達:グローリー株式会社と資本業務提携

タイムリープは2024年7月10日、「RURA」事業の拡大を目的として、グローリー株式会社(以下、グローリー)を引受先とする第三者割当増資を実施しました。
同社は2022年3月にグローリーと業務提携契約を締結し、金融業界やサービス業向けに「RURA」の普及を共同で推進してきました。その過程で、グローリーのクライアントから「RURA」に対する高い評価を得ており、これを受けて今回の資本業務提携に至りました。両社はこの提携を通じて、より強固な協力体制を構築することを目指します。
今後、両社は金融業界およびサービス業における業務の省力化・省人化を支援し、日本が直面する人手不足という課題の解決に向けて、それぞれのリソースをより効果的に活用していく方針です。
市場規模:遠隔接客市場の成長と展望

遠隔接客市場の2016年度の売上金額は17億円で、前年度比142.9%増と急速に成長しました。新規ベンダーの参入により競争が激化し、市場の認知度が高まったことが要因です。2017年度も主要ベンダーが高成長を維持しており、売上は前年を上回る129.4%増が見込まれています。この市場の年間平均成長率(CAGR)は、2016~2021年度で34.6%と予測され、非常に高い成長を見せています。
コロナによる影響

また、コロナウイルスの影響により、遠隔での接客需要が一層高まりました。上記の図は、Googleのキーワードプランナーから取得した「オンライン・リモート接客」に関する検索データを集計したもので、緊急事態宣言の発出とともに検索数が急増したことが確認できます。これは、店舗ビジネスがコロナ対策としてリモート接客を取り入れ始めたことを示しています。
さらに、近年ではAI技術が遠隔接客サービスに参入し、さらに市場が盛り上がっています。


画像の通り、遠隔接客サービス市場は参入企業数や市場規模が増加しており、2018年には11社が参入し市場規模は17億円に達しました。その後、2020年には21社で34億円、2022年には35社で81億円に達し、2025年には45社が参入し、市場規模は127億円に達する見込みです。
このように、遠隔接客サービスの市場規模は数年前から拡大しており、コロナやAI技術などの要因によりさらに成長が見込まれています。さらに、遠隔接客サービスは地域や国境を越えてビジネス展開がしやすいため、グローバル市場での競争力が高まると予想。現在、タイムリープは「RURA」を活用して国を超えた遠隔接客の展開を計画しており、この展開により今後さらに事業が拡大することが期待されています。
企業概要
- 企業名:タイムリープ株式会社
- 代表者:望月 亮輔
- 設立:2019年6月3日
- 所在地: 東京都千代田区岩本町1-9-1 アイアンビルヂング3F
- 公式HP:https://timeleap.co.jp/
まとめ
本記事では、タイムリープ株式会社について紹介しました。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
タイムリープ株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。