中国の生成AI業界で注目を集める智譜AI(Zhipu AI)は、清華大学からスピンオフした革新的なスタートアップです。2019年の設立以来、大規模言語モデル(LLM)の開発を通じて、国内外で高い評価を得ています。
この記事では、智譜AI(Zhipu AI)の事業内容、代表的な生成AIモデル、資金調達状況、アメリカとの関係性、そして会社概要を紹介します。
智譜AI(Zhipu AI)の事業内容
智譜AI(Zhipu AI)は、清華大学から誕生した生成AIの企業です。大規模言語モデル(LLM)の開発を通じて、国内外で高い評価を得ています。同社は特に以下の3つの分野に力を注いでいます。
- 大規模言語モデル(LLM)の開発
ChatGLMやGLM-130Bといった最先端モデルを通じて、自然言語処理の新たな可能性を追求しています。 - 生成AIの研究と商業化
テキスト生成、コード補完、画像生成など、多岐にわたる生成AIモデルを提供。 - 学術研究の実用化
清華大学の研究成果を基に、最先端の技術を産業界へと応用。
智譜AI(Zhipu AI)の生成AIのモデル紹介
智譜AI(Zhipu AI)は以下のような先進的な生成AIモデルを提供しています。これらは、OpenAIのモデルと比較しても独自の強みを持ちます。
- GLM-4(OpenAIのGPT-4に相当):
- 最新のマルチモーダル対応モデルで、テキストや画像の処理が可能。
- GPT-4と比較して、特に中国語での性能が高いとされています。
- ChatGLM(ChatGPTに相当):
- 対話型AIに特化したモデル。
- コンシューマー向けGPUで動作可能で、低コスト運用を実現。
- GLM-130B(GPT-3に相当):
- 1300億パラメータを持つ中英バイリンガルモデル。
- 汎用性が高く、複雑なタスクに対応可能。
- CodeGeeX(Codexに相当):
- コード生成に特化したモデル。
- 多言語対応で、開発者向けツールとして活用可能。
- CogView(DALL·Eに相当):
- テキストから画像を生成するモデル。
- 高解像度の画像生成が可能。
智譜AI(Zhipu AI)のモデルは特に中国語環境に最適化されており、現地市場において競争力があります。
より詳しいモデルの内容など知りたい方は、公式サイトをご覧ください。
智譜AI(Zhipu AI)の資金調達:新たに660億円調達
智譜AI(Zhipu AI)は多くの投資家から資金を調達し、事業を拡大しています。以下に、資金調達状況についてまとめました。なお、シリーズAラウンドに関する具体的な情報は公開されていないようです。また、調達後の目的についても明確な情報はありませんでした。
<シリーズBラウンド(2022年9月)>
- 出資元:テンセントやアリババの戦略投資部門
- 調達額:数億元(数十億〜百数十億円)
<シリーズBラウンド(2023年7月)>
- 出資元:中国の生活関連サービス大手「美団(Meituan)」
- 調達額:不明
<直近の資金調達:2024年9月>
- 出資元:政府系投資機関、アリババグループを始めとする中国のテック大手、石油大手サウジアラムコのベンチャーキャピタル部門「プロスペリティ7(Prosperity7)」
- 調達額:数十億元(数百億円超)
<最新の資金調達(2024年12月)>
- 投資元:既存株主の君聯資本(Legend Capital)を含む、複数の戦略投資家および国有資本。
- 調達額:30億元(約660億円)
智譜AI(Zhipu AI)とアメリカとの摩擦
智譜AI(Zhipu AI)は、米国政府のエンティティリスト(輸出規制リスト)に追加され、米中技術競争の中で注目されています。
- エンティティリスト追加: 米商務省は、智譜AI(Zhipu AI)が中国の軍事進展に寄与していると主張。
- 智譜AI(Zhipu AI)の反応: 事実に基づかないとして強く反発。事業運営への影響は限定的と主張。
- 規制の影響: NVIDIA製の半導体輸入制限がAI開発コストを増大させる一方、独自技術で対抗しています。
参照:https://www.techinasia.com/news/adds-chinese-ai-startup-zhipu-trade-blacklist
会社概要
- 設立年: 2019年
- 本社所在地: 中国北京市
- 創業者: 唐杰(Tang Jie)教授(清華大学)
- 主な事業: 大規模言語モデルの開発、生成AIの研究と商業化
- URL:https://www.zhipuai.cn/en/
まとめ
智譜AI(Zhipu AI)は、中国の生成AI分野で現在最も注目を集める企業です。清華大学との密接な連携と、美団をはじめとする大手投資家からの支援により、競争の激しい市場で独自の地位を確立しています。一方で、米中技術競争の影響も受けており、今後は規制を克服しつつ成長を続ける戦略が求められるでしょう。そんな智譜AI(Zhipu AI)から今後も目が離せません。