今回紹介する企業は、株式会社COUNTERWORKS(以下、カウンターワークス)です。商業スペースの貸し手・借り手をつなぐ存在として、双方に向けたプラットフォーム・SaaSを提供しています。
「すべての商業不動産をデジタル化し、商いの新たなインフラをつくる。」というミッションを掲げる同社。2023年10月にはシリーズCとして総額12億円の資金調達に成功しており、今後の成長が期待されています。
この記事ではカウンターワークスの沿革や事業内容、将来展望について紹介します。
沿革:イオンなど大手商業施設と提携して事業を拡大中
カウンターワークスは、2014年10月に三瓶 直樹氏によって創業されました。
同社は2015年5月に、商業スペースの貸し借りを可能にするマーケットプレースとして、「SHOPCOUNTER」をローンチ。ECの流行に伴い、商流がオンライン化される中で、ポップアップストアという、店舗でのリアルな体験を追求しました。
その後も順調に事業を拡大させ、2018年にはイオンやマルイ、ルミネなど、主要な商業施設でのポップアップストア出店支援を手がけるに至ります。
しかし、カウンターワークスはここで歩みを止めることなく、既存サービスの強化・新規サービスの開発に注力しました。
実際に同社は2022年1月に新たなサービスとして、「SHOPCOUNTER Enterprize」をリリース。商業施設のテナント管理を効率化する同社のSaaSは、大規模な商業施設が抱える、非効率な運営を改善しました。
2023年11月には「Life Design Fund」の第1号案件として資金調達を達成しており、カウンターワークスの今後の成長に目が離せません。
事業内容:商業施設の空きスペースを有効活用するSaaSを提供
カウンターワークスが手がける事業は、大きく2つです。
【カウンターワークスが手がける2つのサービス】 ・SHOPCOUNTER:商業スペースを検索・予約できるプラットフォーム ・SHOPCOUNTER Enterprise:商業施設に向けたテナント管理システム |
ポップアップストアを開きたい事業者と、商業スペースを保有する商業施設をつなぐことで、空きスペースの効率的な運用・テナントの迅速な展開を実現しています。
商業スペースを検索・予約できるプラットフォーム「SHOPCOUNTER」
カウンターワークスが提供する「SHOPCOUNTER」は、商業スペースの検索や予約、利用を可能にするプラットフォームです。ポップアップストアや販促、展示スペースなど、主に事業用途の短期貸しスペースに対応しています。
同サービスはエリアや利用用途から商業スペースを絞り込むことができ、事業者は自身のニーズに合わせて、効率的に出店場所を探すことが可能です。また利用申込のフローがすべてオンライン上で完結するため、迅速な承認作業を実現できます。
加えて同サービスの大きな特徴は、商業スペースを保有する商業施設にとっても大きなメリットがある点です。オンライン上で場所を貸し出すことができるので、販売チャネルの拡大はもちろん、スペースを持て余していた商業施設にとっては、新たな売上創出につながります。
商業施設に向けたテナント管理システム「SHOPCOUNTER Enterprise」
カウンターワークスが提供する「SHOPCOUNTER Enterprise」は、商業施設による効率的なテナント管理を実現するシステムです。テナントの稼働状況を管理したり、出店意欲のあるテナントに向けて誘致活動を行ったりすることができます。
同サービスのメリットは、高い成約率を実現できる点です。テナントがあらかじめ出店条件を確認したうえで問い合わせるため、ミスマッチングのリスクを低減することができます。成約につながらない非効率な商談を削減することができる分、効率的な貸出業務が可能です。
資金調達:現在に至るまで23億円超の資金調達を達成
カウンターワークスは、現在に至るまで23億円超の資金調達を達成しており、ジャフコをはじめとした、多くのファンドから資金援助を受けています。
直近2023年に調達した資金を使って、以下の5つに着手する予定です。
【カウンターワークスが着手する5つの目標】 ・「SHOPCOUNTER Enterprise」の開発強化に向けた人材採用 ・「SHOPCOUNTER」の取り扱いスペースとテナントカテゴリの拡大 ・商業不動産領域における新規サービスの開発 ・イオンモールのアジア拠点におけるサービスの展開 ・地域のステークホルダーとともに地域の魅力を発信できる施設づくり |
ECが拡大する中で、D2Cブランドの店舗出店も増加
経済産業省によると、2022年時点でECによる物販は全体の9.13%を占めています。年々ECを利用する人は増えており、今後もEC販売が拡大する模様です。
しかし、EC販売のシェアが15%を超えるアメリカでは、D2Cブランドによる実店舗出店が増えています。これは「実際に商品に触れたい・確かめたい」と考える顧客のニーズに応えるためであり、実店舗だからこそ解決できる問題です。また「商業施設で販売している」という事実自体が、顧客の信頼獲得につながると考えられています。
その中でも特に注目を集めているのが、ポップアップストアです。商業施設のスペースを借りるため、短期間での出店が可能であり、準備費用を抑えることができます。「『商品に触れる』という体験価値をコスパよく提供できる」手段として、多くの場所で利用が拡大しています。