リモートワークや多様な働き方が当たり前となった今、福利厚生の在り方も大きな転換期を迎えています。その中で注目されているのが、次世代型福利厚生プラットフォームを展開する 株式会社HQ。
AIを活用した「カフェテリアHQ」や、日本初のリモートワーク環境支援サービス「リモートHQ」を通じて、従業員体験(Employee Experience: EX)の向上を目指し、「福利厚生をコストから投資へ」と進化させています。
本記事では、株式会社HQのサービス内容、創業者の背景、そして将来展望などを深掘りします。
株式会社HQの2つのサービス
株式会社HQは従業員の生産性を最大化するべく、次世代の福利厚生プラットフォームを提供しています。現在提供しているサービスは以下の2つです。
<株式会社HQのサービス一覧>
- カフェテリアHQ(次世代福利厚生プラットフォーム)
- リモートHQ(リモートワーク環境整備プラットフォーム)
カフェテリアHQ(次世代福利厚生プラットフォーム)
「カフェテリアHQ」は、企業が社員に一定額のポイントを支給し、社員がそのポイントの範囲内でメニューを自由に選択・利用できる「カフェテリアプラン(選択型福利厚生)」に、AIを活用したレコメンドエンジンを搭載することで、旧来型福利厚生を”再発明”した、従来の課題を解決する「次世代型の福利厚生」です。
月額200円の低価格で、「1人ひとり違う多様な社員ニーズ」「制度の数が多く運用管理が大変」「用途は娯楽系ばかりで無駄なコストに」といった従来の福利厚生の課題に対して、「AI活用の個別最適なサポート」「ワンストップ福利厚生」「投資対効果の最大化」など、テクノロジーを駆使した解決策を提供します。人材育成や経営戦略の一手としての活用も期待できます
カフェテリアHQ3つの特徴
- AI活用の個別最適なサポート:
簡単なアンケートに回答するだけで、幅広いサービスからAIが個別最適な提案を。 - 使いやすいUI/UX:
Amazon連携商品や書籍も立替精算不要で注文可能。AI-OCRカメラ機能で立替精算プロセスを自動化。 - 投資対効果の最大化:
利用状況は管理者ダッシュボードから随時確認可能で、詳細レポートにより効果を可視化。成果に繋がるPDCAを提案。
詳細は「カフェテリアHQ」プロダクトサイトをご覧ください→https://hq-hq.co.jp/cafeteria
リモートHQ(リモートワーク環境整備プラットフォーム)
リモートHQ(リモートワーク環境整備プラットフォーム)は、日本初のリモートワーク支援プラットフォームとして、社員一人ひとりに最適な在宅勤務環境を提供しています。パソコンデスクや高性能チェア、モニターなど1000点以上のアイテムから選択できるレンタル形式で、返却や交換にも対応。電気代やネット代の精算、学習支援にも利用可能です。
リモートHQ4つの特徴
- 非課税スキーム:
在宅勤務手当をリモートHQに切り替えることで、社員の税金負担と会社負担コストの両方を削減するのみならず、在宅勤務手当の本来の目的である生産性最大化も実現。 - 豊富なラインナップ:
フィットネス機器から高級チェアまで幅広い選択肢で社員のニーズに対応。 - 社員対応や資産管理を一括アウトソース:
選択・注文・発送・返却対応を全てサポート。専門コンシェルジュによる相談サービスも完備。 - コストパフォーマンス:
基本利用料無料で、リユース品を活用したリーズナブルな価格設定。定価10万円を超える高機能チェアも月額1000円〜2000円程度で利用可能に。
詳細については「リモートHQ」サービスサイトや利用イメージ動画をご覧ください
サービスサイト:https://hq-hq.co.jp/remote
↓1分で分かる利用イメージの動画↓
株式会社HQが行った資金調達
シリーズA:約7億円(2022年11月)
- 【調達金額】
- 約7億円
- 【参加投資家】
- リードインベスター: Coral Capital
- 投資家: Spiral Capital、みずほキャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社
- 【手法】
- 第三者割当増資
- 【調達の目的】
- 「リモートHQ」の新機能開発および提供に活用。特に、在宅勤務手当に関する課題を解決する非課税スキームや、成果直結型のリモートワーク支援機能のリリースを実現し、従業員体験の向上を目指す。
シリーズB:約20億円(2024年12月)
- 【調達金額】
- 20億円
- 【参加投資家】
- リードインベスター:グローバル・ブレイン(グローバル・ブレイン9号投資事業有限責任組合)
- 新規投資家:**MPower Partners、ニッセイ・キャピタル(ニッセイ・ストラテジック1号投資事業有限責任組合)、オムロンベンチャーズ(OVC2 号投資事業有限責任組合)、NTTデータ・スマートソーシング、Eclectic Management
- 既存投資家:Coral Capital、Spiral Capital
- 【手法】
- 第三者割当増資
- 【調達の目的】
- 「*EX(Employee Experience、従業員体験)プラットフォーム構想」実現のための新規事業開発などに活用。
*EX(Employee Experience、従業員体験)プラットフォーム構想とは、企業が従業員に提供する体験価値を向上させるための包括的な取り組みを指します。この構想の目的は、従業員がより満足し、意欲的に働ける環境を提供することで、企業の生産性向上や人材の定着率向上を目指しています。
創業者プロフィールと創業の経緯
<プロフィール>
創業者: 坂本 祥二(さかもと しょうじ)
坂本祥二氏は、モルガン・スタンレーやカーライルにてテクノロジー業界のM&Aに従事し、その後、LITALICOで取締役CFOを務めました。LITALICOでは、IPOや新規事業開発を推進し、社員数3000名、時価総額1200億円規模の成長を実現するなど、経営の最前線で活躍してきました。
<創業の経緯>
福利厚生業界の「放置された課題」に向き合うきっかけは、坂本氏がLITALICOで福利厚生サービスを見直すプロジェクトを担当したとき出そう。業界が抱えるアナログ運用や画一的なサービスによる低利用率などの問題に直面し、強い危機感を抱いたといいます。
さらに、2020年のコロナ禍がその思いを後押ししました。社会全体が急激な変化を遂げる中で、坂本氏が手掛けていた新規事業も打撃を受け、改めて「社会が求める本質的な課題は何か」を考える機会となりました。そして「自分がやらなければ誰がやるのか」という使命感が、坂本氏に起業への決意を固めさせました。
2021年3月、坂本氏は福利厚生業界の変革を目指し株式会社HQを設立。福利厚生を「コストから投資へ」と進化させる壮大なビジョンを掲げ、長期的な視点を持ちながら理想の実現に向けて挑戦を続けています。
将来展望:福利厚生をコストから投資へ
株式会社HQは、「福利厚生をコストから投資へ」というなビジョンのもと、従業員体験(Employee Experience:EX)を全面的に向上させることを目指しています。EXプラットフォーム構想を推進し、福利厚生産業を単なるコスト領域から、企業の成長を支える投資領域へと進化させる取り組みを進めています。
同社は、新たな時代のニーズに対応する「EXプラットフォーム」を実現するため、2年間で7つの新製品を開発・リリースする計画を立てています。このプロジェクトは、社員一人ひとりの多様なニーズに応えると同時に、企業が福利厚生を戦略的に活用できる環境の構築を目指しています。
今後リリース予定の7つのサービス
- コーチングHQ(2025年2月予定)
柔軟な制度設計とプロコーチによる質の高いコーチングを提供。企業の経営課題に合わせたテーマ選択が可能。 - インセンティブHQ(2025年春予定)
社員のモチベーション向上に特化したポイント利用型の仕組みを搭載。運用工数も大幅に削減。 - トクトクHQ(2025年秋予定)
割引クーポン型福利厚生を刷新。直感的な操作性とAIを活用したパーソナライズ機能を提供。 - 社内制度HQ(2025年冬予定)
資格取得支援や部活動制度などを一元管理し、社員にとって利便性の高いポータルとして機能。 - 子育てサポートHQ(2026年春予定)
子育て支援をワンストップでサポートし、改正育児介護休業法に対応。働く親の負担を軽減。 - サンクスカードHQ(2026年予定)
社員同士の感謝文化を醸成し、組織内のつながりを強化。使いやすいポイントシステムも搭載。 - 書籍ラーニングHQ(2026年予定)
AIによる審査の自動化やシームレスな書籍購入体験を実現。学びの促進を効率的にサポート。
市場規模:多くの課題が残る福利厚生市場に挑む
福利厚生市場は、企業が従業員に提供する重要な価値の一部として、数兆円規模に達する巨大な市場です。この市場の重要性は、経団連の調査結果にも現れています。2019年度のデータによると、企業が負担する福利厚生費(法定福利費および法定外福利費)は、従業員一人当たり月約10万円に達し、現金給与総額の約19.8%を占めています。また、福利厚生サービスのアウトソーシング市場だけでも、2021年時点で約3905億円規模と推定されるなど、この領域が日本企業にとって欠かせない存在であることが伺えます。
しかし、この大きな市場には長年にわたる課題が存在しています。従来の福利厚生サービスはアナログ的な運用が主流であり、画一的な提供方法にとどまっているため、社員が実際に利用する率が低いという問題が顕在化しています。このような状況下で、福利厚生が本来の目的を果たしていない企業も少なくありません。
株式会社HQは、この課題に真正面から取り組み、市場に変化をもたらそうとしています。同社が提供する次世代福利厚生プラットフォーム「カフェテリアHQ」は、AI技術を活用することで、従業員一人ひとりに最適化された福利厚生サービスを提案します。これにより、社員の満足度を高め、企業にとっては投資対効果を最大化できるソリューションを提供しています。
同社のアプローチは、単なるサービスの提供にとどまりません。同社は「福利厚生をコストから投資へ」という新しい考え方を広めることで、福利厚生市場に挑戦しています。巨大な市場規模と深刻な課題に直面する中で、同社が示すビジョンは、日本企業の競争力を支える新しいスタンダードを築く可能性を秘めていると言えるでしょう。
会社概要
- 会社名: 株式会社HQ
- 設立: 2021年3月18日
- 創業者:坂本 祥二
- 所在地: 東京都港区港南1-9-36 アレア品川13階
- 資本金: 11億円(資本準備金含め約28.5億円)
- 従業員数: 35名(正社員)、12名(非常勤社員)
- 事業内容
- 次世代福利厚生プラットフォーム「カフェテリアHQ」
- リモートワーク環境整備プラットフォーム「リモートHQ」
まとめ
本記事では、AIを活用した「カフェテリアHQ」や、日本初のリモートワーク環境支援サービス「リモートHQ」を提供している株式会社HQについて紹介しました。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
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