
今回紹介するのは株式会社WonderPalette(以下、WonderPalette)です。同社は、AIやITといった先端技術を活用することで、食品開発や小売業界に革新をもたらしている企業です。
近年、日本では人口減少や新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受け、正社員の採用が困難になる中、業務の効率化や自動化へのニーズが一層高まっています。特に、菓子土産業界においては、業界トップの企業でもエンジニア不足やデータ活用が大きな課題です。
こうした背景を踏まえ、WonderPaletteは、生成AIやIT技術を駆使した需要予測ツール「Wonder予測AI」の提供や、企業の生成AI・DX導入支援を通じて、これらの課題解決に取り組んでいます。
本記事では、その事業内容や資金調達について紹介いたします。
事業内容①:食品業界に特化した需要予測ツール「Wonder予測AI」

WonderPaletteが提供する「Wonder予測AI」は、食品業界に特化した需要予測ツールです。このAIツールは、将来の受注・出荷数量を自動で予測するクラウドサービスで、予測にかかる工数を削減し、予測精度を向上させることができます。その結果、在庫の最適化や廃棄率の削減を実現でき、企業の運営効率を大幅に改善させられるでしょう。
「Wonder予測AI」の特徴
「Wonder予測AI」の特徴は全部で3つです。
1.食品業界に特化した予測モデル

「Wonder予測AI」は、日配食品をはじめとする高頻度で予測が求められる商品群や、季節商品・新商品など参照データが少ない商品にも対応可能です。また、膨大な量の商品に対して、同時に需要予測を行うことができ、業界特有のニーズに特化しています。
2.現場の方が使いやすいサービス設計

「Wonder予測AI」は、ITシステムに不慣れな現場のスタッフでも簡単に操作できるシンプルなインターフェースが特徴です。算出されたデータは、ExcelやGoogleスプレッドシート、さらにはBIツールにも簡単に連携できるため、日常的に利用するツールにそのまま取り込んで活用することができます。
3.導入失敗を防ぐ事前検証の仕組み

導入前に、数商品で事前検証を行い、一定の精度が確保されるまで改善を加えます。これにより、導入後の失敗を未然に防ぎ、スムーズな活用が可能です。
「Wonder予測AI」の導入効果

さらに、「Wonder予測AI」を導入することで、数値で見ても大きな効果が出ていることが明らかになっています。
例えば、廃棄率の面においては、予測精度の向上によって、廃棄率が2.1%(約4.2億円)から1.6%(約3.2億円)に減少し、1億円相当の廃棄ロスを削減することに成功しています。また、従来1か月あたりの工数が240時間(担当者30人×2時間/週)でしたが、自動化によって16時間(担当者4人×1時間/週)に削減され、94%の工数削減を実現しました。
このように、「Wonder予測AI」は業務課題の解決をサポートする仕組みがオールインワン業務のため、業務課題を本質から解決し大きな効果をもたらすことが可能です。
また、「Wonder予測AI」は廃棄や工数の削減にとどまらず、経営計画の精緻化や生産計画の最適化、販促施策の最適化など、さまざまな業務の効率化にも活用できます。これにより、売上機会の損失削減や仕入れ・原料調達の効率化も実現しています。
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事業内容②:法人向け生成AI・DX支援
WonderPaletteは、AI需要予測ツールの提供にとどまらず、生成AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入支援も行っています。
近年、生成AIやDXの技術は目覚ましいスピードで進化しており、これらをいち早く取り入れることが、企業の競争力強化や持続的な成長の鍵です。WonderPaletteでは、こうした先端技術に精通した専門家が、企業ごとの課題や業務環境に合わせて、ITリテラシーの向上を丁寧にサポートしています。
特に、社内にエンジニアが在籍していない企業や、ITに関する知識や経験が不足している企業にとっては、非常に有用な支援内容といえるでしょう。
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資金調達:シードラウンドにて2,100万円の資金を調達

WonderPaletteは、シードラウンドで2,100万円の第三者割当増資を実施し、資金調達を完了しました。
今回の資金は、需要予測ツール「Wonder予測AI」の開発スピードの加速に加え、組織体制の拡充にも活用される予定です。これにより、食品業界のDX化やAI活用の推進が進み、食品廃棄ゼロを目指した取り組みが強化されるでしょう。
WonderPaletteは、AI技術を最大限に活用することで、食品業界全体の利益率向上と、業界が抱える構造的な課題の解決を目指していくとしています。
【資金調達概要】
調達額:
2,100万円
調達先:
・KUSABI
・エンジェル投資家1名
資金使途:
・AI需要予測SaaS『Wonder予測AI』の開発
・人材採用・育成
創業者プロフィール:尾上 寿明

略歴
2016年4月法政大学入学。在学中、株式会社Rainを創業。
2020年8月法政大学卒業。
2020年11月オンライン診療スタートアップの株式会社TENETにて、経営企画、発送部門責任者として薬剤師、配送スタッフの採用、オンボーディング、事業計画の策定に従事。
2022年3月、ノーコード開発プラットフォームを提供する株式会社ゼロワンにジョイン。執行役員CMOとして複数の新規事業立ち上げ、マーケティングを行う。 2024年1月、株式会社WonderPalette(ワンダーパレット)を設立。
創業理由
尾上氏は、菓子土産業界の企業と関わる中で、その製造プロセスの高度さや「おいしい」商品が実際に目に見える形であることにやりがいを感じていました。一方、業界トップ企業でもエンジニアが不足していることや、データ活用の課題に直面していることにも気づきます。加えて、現在日本では、人口減少やCOVID-19による影響で正社員の採用が難しくなる中、業務の効率化や自動化が求められるようになっています。そのため尾上氏は、AIやITの力を活用し、これらの課題を解決することを目指して、WonderPaletteを立ち上げました。
企業概要
- 企業名:株式会社WonderPalette
- 代表者:尾上 寿明
- 設立:2024年1月
- 所在地: 〒103-0025東京都中央区日本橋茅場町1−8−1 茅場町一丁目平和ビル7階
- 公式HP:https://wonder-palette.com/
まとめ
本記事では、株式会社WonderPaletteについて紹介しました。
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