最終更新日 24/09/18
国内スタートアップ注目企業

【AlgaleX】泡盛粕で旨味とDHAが豊富な藻を生産!魚に依存しない、持続可能なDHA生産を目指すフードテックスタートアップ

サステナブル食品
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引用:https://umamo.jp/shop/pages/umamo-story

DHAは血流や脳機能の改善に重要な栄養素であり、体内で合成できないため、魚や魚由来のサプリメントから摂取する必要があります。同様に魚も成長するためにDHAが欠かせず、タイやマグロなどの養殖魚は成長するために、多くの天然魚を食べてDHAを補っています。

しかし、農林水産省が示すように漁獲量は毎年下がり続けており、現在はピークの1/3程です。このままではScience誌が予測するように、2048年には天然の海産魚は食卓に上がらなくなるでしょう。

そこで減りゆく水産資源の状況を憂慮し、魚を使わずにDHAを生産する技術を開発したスタートアップが「株式会社AlgaleX」(以下、AlgaleX)です。同社は海中にてDHAを最初に作り出す存在である藻に着目し、沖縄で捨てられている泡盛粕を用いた安定生産にチャレンジ。DHAだけでなく、風味や旨味も豊富なスーパーフード「Umamo」(うま藻)を作り出すことに成功します。

未来の市場をつくる100社【2023年版】」「すごいベンチャー100 2024年最新版」に選ばれるなど、注目を集めるAlgaleXについて紹介していきます。

事業内容:泡盛粕から生まれた奇跡の藻「うま藻」の生産販売

引用:https://beyondnextventures.com/jp/news/3146

AlgaleXの事業内容は、藻を泡盛粕で発酵することで生産される、大量のDHA・旨味を含んだ「うま藻」の販売です。他にも「うま藻」を使用した醤油麹・だし醤油といった製品も販売しています。

「うま藻」の特徴はDHAを豊富に含むだけでなく、カラスミのような濃厚な旨味と五感を刺激する芳醇な香り。ミシュラン星付きレストランで「うま藻」を使ったイベントを実施するなど、植物性ながら強い旨味を持つ新食材として注目を集めています。

また栄養面も非常に優れており、サバの10倍のDHAを含むだけでなく、GABAやBCAAといった現代人に嬉しい栄養素が豊富に含まれます。加えて植物性であるため、ヴィーガン・ベジタリアンの方も食べることが可能です。まさに健康成分と旨味を兼ね備えたスーパーフードといえるでしょう。

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000076018.html

泡盛粕を使用することでアップサイクル・事業再生を達成

引用:https://umamo.jp/shop/pages/umamo-process

AlgaleXは、泡盛の製造過程で生じる泡盛粕を利用し、DHAを豊富に含む微細藻類「オーランチオキトリウム」を世界で初めて安定的に生産することに成功しました。通常は味がまずく食べられない藻を、泡盛粕によっておいしく仕上げた点は特筆すべき点と言えるでしょう。

しかし、本事業の真の魅力は、沖縄の未利用資源である泡盛粕を使って生産していること自体にあります。

実は泡盛の生産量は年々減っており、沖縄の伝統産業としてかなり厳しい状態です。しかし、通常は廃棄されてしまう泡盛粕を使用することで、アップサイクルはもちろん、この伝統産業に新たな可能性をもたらすことに成功しています。

このビジネスモデルは、魚の消費を減らすという本来の目標に加え、資源の有効活用や産業の再生を同時に達成している点で、大きな魅力があるといえるでしょう。

創業秘話:商社時代に養殖の限界を体験

引用:https://xtech.mec.co.jp/articles/10437

AlegaleXの創業者である高田 大地氏は、もともと商社でタンパク質を扱うチームに在籍しており、新規事業として「魚を餌として使わずに養殖をするビジネス」を考えていました。

2014年にペルーでの大不漁で魚粉の輸出規制がかかり、日本の魚粉がとても高騰した時期があります。その結果、体力のない養殖業者は廃業を余儀なくされてしまったことから、海外の魚粉に頼らない養殖方法を模索する新規事業がスタートしたそうです。

その過程で藻がDHAを作ることが分かり、その中でも生産技術に強みを持つ企業に投資していました。しかし、商社からだとなかなか事業がやり難いことも多く、よりこの課題にコミットしたいと感じた高田氏は、投資先の1つにCFOとして転職します。ただ、その会社に転職して1年ほど経った頃に、創業者が急逝するという事態が発生してしまいました。

しかし、その会社自体は途絶えてしまったものの、その会社のコア技術はしっかりと残ったそう。それが該社の研究実務トップであり、当社の現CTOである多田氏が持つAI藻類発酵技術です。多田氏の持つAI藻類発酵技術を「絶対に世に出す」と誓い、高田氏は2021年にAlgaleXを沖縄で設立し、会社をスタートさせました。

資金調達:2023年10月にPre-Aラウンドで2.5億円を調達

引用:https://local-link.professional-studio.co.jp/archives/89

AlgaleXは2023年10月25日に、Pre-Aラウンドで2.5億円の調達を実施したと発表しました。本資金調達は第三者割当増資によるものであり、千葉道場ファンド、Beyond Next Ventures株式会社、食の未来1号投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、他エンジェル投資家数名を引受先としています。

調達した資金で「うま藻」のブランディング・販売拡大を進めると共に、未利用食品から各種機能性成分を有する藻を生産する独自のAI発酵技術「Brewer24」の開発を加速させると発表。

企業概要

  • 企業名:株式会社AlgaleX
  • 代表者:高田 大地
  • 設立:2021年3月
  • 所在地: 904-2234 沖縄県うるま市州崎12-75 沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター内 研究棟201号室
  • 公式HP:https://umamo.jp/shop

まとめ

本記事では、藻を泡盛粕で発酵することで生産される、大量のDHA・旨味を含んだ「うま藻」の販売を行う株式会社AlgaleXについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社AlgaleXのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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