最終更新日 25/01/29
国内スタートアップ

【Dragon Brewing】教員が挑むクラフトビール革命!教育×ビジネスの新境地

製造
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(引用:PR Times)

ビール離れが進む中、新たな市場を切り開く注目のクラフトビールメーカー「株式会社Dragon Brewing」(以下、Dragon Brewing)が誕生しました。

愛知県名古屋市の中学校・高校の教員5名が中心となり設立された同社は、若者や女性に支持される“飲みやすく健康的なビール”を開発し、持続可能なアップサイクル素材を活用した製品で注目を集めています。

さらに、学校の保護者やOBとのネットワークを活用し、地域に根差したビジネスモデルを構築。

本記事では、注目を集めるDragon Brewingについて、その事業内容や創業経緯などを解説します。

事業内容:飲みやすく健康的なフルーツビールを制作

(引用:PR Times)

Dragon Brewingは、愛知県名古屋市にある私立東海中学校・高校の教員5名が中心となり設立されたクラフトビール醸造・販売を手がける企業です。現代のビール離れを解決するため、若者や女性を含む幅広い層に支持される「飲みやすく健康的なビール」の開発に取り組んでいます。

具体的には、カットフルーツの残渣や摘果などをアップサイクル*1したフルーツビールの醸造を目指しています。この取り組みは、持続可能性への配慮とともに、新たな価値を創造する試みです。

同社のチームは、島根県のマイクロ・ブリュワリー*2「石見麦酒」で醸造技術を学び、現在は醸造所の整備や資格取得に向けて準備を進めています。フルーツビールの製造・販売は2024年夏に開始される予定です。

また、Dragon Brewingはクラウドファンディングによる資金調達にも注力しています。具体的には、Webページの制作が完了しており、返礼品のサンプル作成やプロジェクト内容の相談を経て、2024年2月初頭にプロジェクトが公開される見込みです。なお、会社の登記は完了しており、正式な設立日は2024年1月15日とされています。

*1 アップサイクル:本来であれば捨てられるはずの廃棄物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること

*2 マイクロ・ブリュワリー:主にクラフトビールをつくっている小規模醸造所のこと

最大の特徴:学校のネットワークを活用した独自のビジネスモデル

Dragon Brewingの最大の特徴は、学校の保護者やOBとのネットワークを活用して事業を展開している点です。

たとえば、醸造所の物件探しでは、学校行事の際に写真撮影をいつも依頼している「永井写真館」が、裏手に所有する未使用の社宅を提供してくれました。この物件は、学校に近く、商業地域に立地し、広さやコストの面でも理想的な条件を備えていたそうです。Dragon Brewingの宣材写真の撮影も永井写真館に依頼するなど、つながりを意識して事業を展開しています。

(引用:PR Times)

さらに、ロゴデザインは保護者が経営するデザイン会社に依頼。完成したロゴはかわいらしいタツノオトシゴをモチーフに、ビールの原料であるホップをイメージしたデザインが特徴です。

(引用:PR Times)

また、製造されたビールの販売先は、保護者やOBが経営するレストランなどを中心に検討しているそう。このように、学校の教員がクラフトビール事業で保護者やOBとの繋がりを強め、その学びを教育現場に還元しようという先例のない新たな取り組みに注目が集まります。

創業経緯:生徒にアントレプレナーシップ(起業家精神)を示す

(引用:PR Times)

Dragon Brewingが設立された背景には、生徒たちに「正解のない課題解決への挑戦」を促したいという思いがあります。2023年、校内で「ビジネス愛好会」を立ち上げた教員たちは、「まずは自分たちが挑戦すべき」と考え、理科・英語・国語の教員に加え、社会人のメンバーも巻き込んで起業に挑みました。

このVUCAの時代において求められるのは、リーダーシップや課題解決能力、そして仲間と協働する力です。しかし、中学・高校の教育現場では、依然として学力が最重要視されており、「将来自らがどのように社会に貢献したいか」を考えることなく、漠然と偏差値の高い大学を目指す生徒が多くいます。

そのような古いキャリア観に風穴を開けるべく、教員自らが起業に挑戦し、その学びを生徒たちに還元することで、本当のアントレプレナーシップ(起業家精神)を身につけさせようというのが、事業の目標の1つだそうです。

市場トレンド:クラフトビールが新たなブームを形成

(引用:ONE for BUSINESS)

クラフトビール市場は近年、新たな成長を遂げています。レシート買取アプリを運営するONEが10億枚以上の購買データをもとに行った分析によれば、クラフトビールの検索指数は10年前と比較して約10倍に拡大。

キリンビールの調査では、2021年時点でクラフトビールは国内ビール市場全体の1.5%を占めており、特に伝統的な製法や原材料へのこだわりが高く評価されています。メーカー各社は、多様な楽しみ方を提案することで、消費者に新たな価値を提供しているようです。

(引用:ONE for BUSINESS)

従来、「ビール」といえば家庭や居酒屋での消費が主流でしたが、クラフトビール市場では「特別な体験」を重視したブランディングが進んでいます。たとえば、価格帯がプレミアムビールと同等であることから、日常的な消費に加え、イベントや特別なシーンで「こだわり」を持って楽しむライフスタイルが提案されています。

さらに、若年層・Z世代の支持も市場拡大の追い風となっているようです。2023年にキリンビールが主催したクラフトビールイベントでは、参加者の多くが20代でした。この世代は、通常のビールとは異なる味わいや風味を楽しむ傾向が強く、クラフトビールの個性が支持を集めています。

2024年2月の日経記事によると、キリンビールは今後さらにクラフトビール市場への注力を強める意向を示しています。こうした動きは、クラフトビール市場が成熟期に向かう中で、他の大手メーカーや新規参入企業にとっても参考となるでしょう。

企業概要

  • 企業名:株式会社Dragon Brewing
  • 代表者:杉本有優
  • 設立:2024年12月
  • 所在地: 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3-18-1 ナゴヤイノベーターズガレージ内
  • 公式HP:https://www.instagram.com/dragon_brewing_co/

まとめ

本記事では、学校のネットワークを活用した独自のビジネスモデルを展開する株式会社Dragon Brewingについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社Dragon Brewingのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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