エリーパワー株式会社は蓄電池および蓄電システムの専業メーカーだ。同社はミッションとして「私たちの会社の夢は人類 社会に役立つ仕事をすることだ」を掲げている。主な事業として大型リチウムイオン電池の開発・製造・販売を行う。
沿革:蓄電池の開発と大企業との提携を通じて成長中
エリーパワーは、2006年9月に吉田博一氏ら慶應義塾大学研究室メンバー4人によって設立された。2007年にはリチウムイオン電池セル第一号が完成した。2014年9月にはポータブル蓄電システム「ELIIY ONE(エリーワン)」を発売。同システムは2014年度「グッドデザイン賞 ベスト100」を受賞した。
2016年4月には室内用蓄電システム「POWER YIILE 3(パワーイレ・スリー)」の開発を発表。
同システムは2016年度「グッドデザイン賞」など、複数の賞を受賞。
2019年2月には屋内壁掛蓄電システム「POWER YIILE HEYA(パワーイレ・ヘヤ)」を発売。
同システムは「2019年度グッドデザイン・ベスト100」を受賞した。
2023年11月にはスズキ株式会社と業務提携契約を締結し、250億円の資金調達を実施。
事業内容:大型リチウムイオン電池および蓄電システムの開発・製造・販売
エリーパワー株式会社は大型リチウムイオン電池および蓄電システムの開発や製造、販売を行う。同社は主に災害時のバックアップ電源として住宅・法人用に、また再生可能エネルギーの供給安定化を図るために公共・産業用にも販売。
主な製品
POWER YIILE HEYA S(パワーイレ・ヘヤ・エス)
可搬型蓄電システム
住宅・法人用
非常時のバックアップ電源に特化
蓄電容量:1.3kWh 出力:500W
Power Storager X (パワーストレージャー・エックス)
汎用型産業用蓄電システム
公共・産業用
バックアップ電源として、また電力使用量の調整など様々な用途で利用可能
蓄電容量 16.2kWh~129.6kWh
エリーパワーの実績
小型のリチウムイオン電池は、軽量・大容量という特性を持つ一方、使用中に発煙・発火するなどのリスクが問題視されていた。
しかしエリーパワーの蓄電システムは、過充電をしても発煙・発火しない等の、厳しい安全基準をクリアした自社国内工場製造の電池セルを搭載。
2006年の創業以来電池起因の重大事故ゼロという実績が、同社の蓄電システムの安全性を裏付けている。
同社の蓄電システムの安全性と信頼性が評価され、国内主要メーカーの小型蓄電システム(1-3kWh未満)出荷台数において長年トップシェアを維持し続けている。
(※2)一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)自主統計と当社出荷データに基づく(2017~2021年度実績)。対象製品:POWER YIILE 3、POWER YIILE HEYA、POWER YIILE HEYA S。
資金調達:2023年にスズキから主に設備投資・共同開発費用として合計250億円を調達
エリーパワーは、2023年11月14日に自動車大手のスズキからあわせて250億円を調達すると発表した。スズキは2012年、同社に10億円を出資していた。今回さらに100億円を追加出資し、エリーパワーが発行する転換社債型新株予約権付社債150億円分を引き受ける。
資金調達額推移
市場規模:2023年度の国内家庭用蓄電池市場は約1200億円
東日本大震災後の2012年に、導入のための補助金制度が開始した。さらに2019年ごろから太陽光で発電した電気の自家消費が増加し蓄電池の需要が高まったことが、市場の活性化につながっている。
将来展望:蓄電社会の構築
エリーパワーは蓄電池を中心とした「蓄電社会」の構築に取り組み、環境負荷軽減・災害時の安定的な電力供給の確保に貢献する。
- VPP(virtual power plant バーチャルパワープラント:仮想発電所)
- 各地に分散された蓄電池をまとめて制御することで、ひとつの発電所のように運用するサービスである。このサービスは現在関西電力、東京電力とともに実証実験を実施している。
- loTサービス
- 蓄電池を無線ルーターと融合させ、「情報」と「エネルギー」のプラットフォームとして活用し、各種センサーを付加することで、遠隔監視や操作を可能にする。
- SDGs
- 2006年の創業当初より、安全な大型リチウムイオン電池の普及を通して持続可能な社会を実現する。
- 災害対策
- 無瞬断UPS(停電時も蓄電したエネルギーを使用し安定的に電力を供給するシステム)を搭載したモデルを用意し、災害時にバックアップ電源として使用可能にする。
- カーボンニュートラル
- 蓄電池を広げていくことで、脱炭素社会を目指している。