便利な生活の裏で、大量のゴミがいまだ問題になっています。環境省によると、日本のゴミの総量は毎年少しずつ減少しているそう。しかし、OECDのデータでは、日本のリサイクル率は約20%と、他の先進国と比べて低い水準です。このままでは、地球温暖化などの深刻な環境問題がさらに進行してしまうでしょう。
そこで、こうした問題に取り組んでいる企業の1つが「株式会社komham」(以下、komham)です。同社は、特殊な微生物「コムハム」を使った生ごみの高速分解技術を研究し、バイオマスリサイクルシステムを開発しています。この技術を使えば、生ごみを最短1日で98%まで分解し、温室効果ガスの排出を実質ゼロに抑えることが可能です。
2024年の「すごいベンチャー100」にも選ばれ、注目を集めるkomhamについて紹介します。
事業内容:微生物「コムハム」を用いた分解処理技術の研究
komhamの事業内容は、「コムハム」という微生物で生ごみを分解処理する技術の研究、そして研究技術を用いたバイオマスリサイクルシステムの販売です。実際に同社は「コムハム」を搭載したコンポスト「スマートコンポスト」を販売しています。
komhamの最大の特徴である「コムハム」とは、komhamが独自開発した、生ごみを高速分解する能力を持つ微生物群です。生ごみを最短1日で最大98%まで分解することが可能で、通常数週間かかる堆肥化を高速処理できます。
なお有害性評価にて、「コムハム」の主要構成細菌は有害微生物リストに非該当であることが確認されており、安全性にも問題ありません。
代表製品「スマートコンポスト」:環境に優しく効率的な分解処理を実現
Komhamが開発する「スマートコンポスト」は、AC電源や排水処理を必要とせず、ソーラー発電で自動稼働する革新的な生ごみ処理装置です。
便利な点として、生ごみの投入量やバッテリー残量といったデータはクラウドに自動アップロードされるため、管理者はダッシュボードから簡単に状況を確認できます。操作もシンプルで、ドアを開けて生ごみを入れるだけで、自動的に分解がスタート。
処理速度も優れており、コムハムの高い分解力を活用することで、1日10リットルの生ごみをわずか1~3日で2~3%の堆肥にまで減らします。一般的なコンポストでは、生ごみの分解から熟成まで数週間から数か月かかるため、非常に高速な処理が可能です。
現在、主な顧客は自治体や大手企業で、「スマートコンポスト」の販売とともに、分解に使用される「コムハム」の定期販売も行っています。分解処理を行う中で「コムハム」が徐々に減っていくため、定期的な補充が必要だそう。
2024年9月に「スマートコンポスト」のレンタル事業を開始
komhamは2024年9月9日に、「スマートコンポスト」のレンタル事業を開始したと発表しました。
「環境に配慮したイベントで利用したい」「購入前に短期間で試してみたい」など、これまで短期利用について多くの問い合わせがあり、量産開発体制が整ったことから、本サービスを開始するに至ったそう。
資金調達:2024年3月にKOBASHI HOLDINGS等から獲得
komhamは2024年3月に、New Commerce Ventures、KOBASHI HOLDINGS他4社から資金調達を達成したと発表しました。特にKOBASHI HOLDINGSとは、既にモノづくりにおける包括的な業務提携を開始しており、その後さらに事業成長を加速するため資本提携を行なったそう。なお今回の資金調達について、詳しい調達金額は明らかにされていません。
またkomhamは以前にも資金調達を行なっており、今回が4回目になります。
新規サービスや商品の開発を積極的に推進し、だれもが意識せずとも環境にやさしい暮らしができるようなインフラ作りを目指す「株式会社komham」に今後も期待です。
企業概要
- 企業名:株式会社komham
- 代表者:西山 すの
- 設立:2020年1月29日
- 所在地: 北海道札幌市厚別区下野幌テクノパーク1丁目1-10 札幌市エレクトロニクスセンター 211号室
- 公式HP:https://komham.jp/
まとめ
本記事では、「コムハム」という微生物で生ごみを分解処理する技術を研究する株式会社komhamについて紹介しました。
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