今回紹介するmatsuri technologies株式会社(以下、matsuri technologies)は、「意味ある新産業を創り続ける」をミッションに掲げソフトウェアを軸とし、ソフトウェアが生み出す価値を最大化するために、自社での細かなオペレーションの構築や法律への深い理解、時にはファイナンスを活用し、リアルな産業に深くソフトウェアを実装することを生業としている会社です。
本記事ではその事業内容などについて詳しく解説していきます。
事業内容:無人管理ソフトウェア事業
matsuri technologiesは、無人管理ソフトウェア事業を提供しています。これは、施設運営を無人で行うことを可能にするソフトウェアを開発し、自社のオペレーション事業での利用と外部販売を行う事業です。
ゲストが施設を利用する際は、多言語メッセージ対応、決済、チェックイン、本人確認、チェックアウトがワンストップで行うことができます。オーナーが施設を管理運営する際は、施設の物品/在庫管理、清掃手配、資産管理、収支管理などのデータを一元管理しているため、リアルタイムでデータが更新されます。
様々な場所に点在する施設を無人で運営することができ、有人では成り立たない立地においても施設運営が可能になりました。
登録物件数は18,300件を突破し、登録物件数No.1の民泊管理ツールを誇っていましたが、現在新規受付を停止しています。
事業内容:集客プラットフォーム事業
matsuri technologiesは、集客プラットフォーム事業を提供しています。これはオンラインで住宅、宿泊共に予約が完結するプラットフォーム事業です。これによる主なサービスは3つあります。
スマホ1つで住宅、宿泊共に予約が完結する短期賃貸プラットフォーム「Sumyca」
1つ目は、スマホ1つで住宅、宿泊共に予約が完結する短期賃貸プラットフォーム「Sumyca」です。
「Sumyca」では、施設の検索、本人確認、契約、支払い、スマートロックの鍵番号の受け渡しまで、全てオンラインで完結することができます。また、都内のマンションを中心に、全国の施設を掲載しているため、どの地域にお住まいの方でも利用することができます。
海外を拠点にされている方が日本へ一時帰国される際の滞在先を提供するサービス「一時帰国.COM」
2つ目は日本へ一時帰国される際の滞在先を提供するサービス「一時帰国.COM」です。
希望のエリアや予算、間取りなどを決めると、生活に必要な家具家電やアメニティが完備された全国の施設を提案してくれます。必要な手続きは帰国前にオンラインで全て完結する為、帰国後すぐに滞在先に泊まることが可能です
初期費用0で気軽にカップルが同棲を始められるサービス「おためし同棲」
3つ目は初期費用0で気軽にカップルが同棲を始められるサービス「おためし同棲」です。
家具家電付き、1か月単位で契約が可能な短期賃貸なので、新しく住むための準備をすることなく、同棲ができます。施設が気に入った場合は、継続して住むことも可能です。
事業内容:宿泊施設のオペレーション/ブランド事業
matsuri technologiesは、宿泊施設のオペレーション事業、ブランド事業を提供しています。こちらは1つの空間を様々な用途に対応させる「StayX」オペレーションによって、空間の価値を顧客に届けていく事業です。
「StayX」とは、ソフトウェアを主軸に、空間の価値を最大化するソリューションのことです。これは、1つの空間をフレキシブルに変化させ、様々な用途に対応させることで、新たな利益が見込めるようになるというものです。例えば、2年でしか貸し出すことができなかった賃貸の物件を、1泊単位の宿泊や、1か月単位の短期賃貸で運営できる施設に変化させることで、今までになかった様々な用途で利用できるようになり、オーナー収支が増大した例があります。
このようにオペレーション事業では開発した無人管理ソフトウェア/集客プラットフォームを用いて、生産性を高め、多様な用途に対応したオペレーションを構築しています。
ブランド事業では無人で運営され、滞在に必要な全てが整った空間を準備し、フレキシブルに変化させた空間を提供しています。主なブランドは、都市型宿泊施設ブランドの「stayme」と地方型宿泊施設ブランドの「S-villa」の2つです。
都市型宿泊施設ブランドの「stayme」
「stayme」は、“ワンランク上のマンションステイ”をコンセプトに掲げています。
デザイナーが全室のインテリアを監修し、ほぼすべての施設が、最寄り駅から徒歩10分圏内というアクセスの良さと20㎡以上の広さを兼ね備え、ホテルに比べ安価に利用することが可能です。
全室に洗濯機 / 乾燥機が完備されており、食器類や調理器具も備え付けで、自宅で過ごすような快適さを提供しています。
地方型宿泊施設ブランドの「S-villa」
「S-villa」は、“旅先のプライベートリゾート”をコンセプトに掲げています。 大都市近郊の観光資源が豊富なロケーションで、100㎡超えの施設も多く展開しており、1グループ10,000円程度の予算で利用することが可能です。
1棟貸切りのため、家族や友人とプライベートな時間を過ごせます。敷地内でBBQができ、ゲスト専用のドッグラン付き施設、サウナ付き施設、ボルダリング付き施設など、多様な要望に応える施設を運営しています。
資金調達:総額13.4億円の資金調達を完了
matsuri technologiesは、2024年6月13日シリーズD でシナジーがある複数の事業会社から総額13.4億円の資金調達を完了しました。
本ラウンドのセカンドクローズでは、新規投資家に加え、既存投資家のBRICKS FUND TOKYO(三菱地所株式会社のCVCファンド)及び他2社より追加出資を受け、資金調達を行いました。新規投資家は以下の通りです。
<新規投資家一覧>
- Vertex Ventures SEA Fund V Pte. Ltd.
- 日本郵政キャピタル株式会社
- 三菱商事株式会社
- ZFP第1号投資事業有限責任組合
matsuri technologiesは、
今回の調達では、ファーストクローズ同様にStayX事業とシナジーがある事業会社様及びVertex社より長期保有を前提とした出資合意となりました。
シリーズDを通して、シナジーのある事業会社からご出資いただくことができ、事業成長と協業の発展へ強く期待を感じるラウンドとなりました。ご出資頂いた皆様からの成長期待に応えるとともに、観光立国に向けて、新しい宿泊のインフラを提供すべく尽力して参ります。
と述べています。
実績:テクノロジー機能成長ランキング「Technology Fast 50 2024 Japan」で成長率438.9%を記録
matsuri technologiesは、2025年1月23日デロイト トーマツ グループが発表したテクノロジー・メディア・通信(以下、TMT)業界の収益(売上高)に基づく成長率のランキング、「Technology Fast 50 2024 Japan」において、過去3決算期の収益(売上高)に基づく成長率438.9%を記録し、50位中12位を受賞しました。
Technology Fast 50 2024 Japanは、デロイト トーマツ グループが世界規模で開催しているTMT業界における成長企業を表彰する国毎のランキングプログラムの日本版です。TMT業界での成長性や成功のベンチマークであり、今回で22回目の開催です。上場・未上場企業を問わずTMT業界に含まれる企業からの応募をもとに、過去3決算期の収益(売上高)成長率の上位50社がランキングされます。
プログラムの詳細は、こちらをご覧ください。
また、このような成長の原因としてmatsuri technologiesは訪日客(インバウンド)と国内客の動きが活性であったことを挙げています。コロナ後、インバウンドや国内客の数は増加しているため、matsuri technologiesのテクノロジーは今後も成長を続けていくことが期待されます。
企業概要
- 企業名:matsuri technologies株式会社
- 代表者:吉田 圭汰
- 設立:2016年8月1日
- 所在地: 〒162-0825東京都新宿区神楽坂4-8神楽坂プラザビル3F
- 公式HP:https://www.matsuri.tech/
まとめ
本記事では、matsuri technologies株式会社について紹介しました。
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