最終更新日 25/01/20
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【NOT A HOTEL】高級ホテル?別荘?住宅?複雑なビジネスモデルから最近の資金調達まで解説!

不動産
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(出典:https://notahotel.com/shop

高級ホテルの快適さと別荘の自由さを融合させた、新しいライフスタイルをご存知ですか?

「NOT A HOTEL株式会社」は、日本各地の「絶景」と呼ばれる土地に唯一無二の建築をつくり、それを複数のオーナーで共有するサービスを提供しています。著名建築家が手がけるラグジュアリーな空間と、柔軟な利用形態を兼ね備えたプラットフォームが、本サービスの大きな魅力です。

本記事では、NOT A HOTELの事業内容や創業背景、資金調達についてくわしく解説します。

事業内容:複数のオーナーでラグジュアリーな物件を共有

(出典:https://notahotel.com/

NOT A HOTELは、著名建築家による唯一無二の建築を複数のオーナーで共有するサービスを展開しています。

同社のビジネスモデルは一見複雑ですが、NOT A HOTEL・オーナー・メンバーシップ会員に分けて考えると、サービスもビジネスモデルも理解しやすいです。

  1. NOT A HOTELの役割
    • 著名建築家やデザイナーと提携し、IoT技術を導入した高品質な物件を開発・建設。物件は日本各地の絶景スポットに立地しています。
    • 開発した物件は、オーナーに対して販売されます
  2. オーナー
    • 物件の購入: オーナーは、物件を丸ごと所有するか、1ユニット(30日分の利用権)をシェア購入します。シェア購入の価格帯は、1ユニットあたり約1000万~2000万円。
    • 収益化の仕組み: オーナーが利用しない日はNOT A HOTELがホテルとして運用。宿泊料金収益の一部がオーナーに還元されます。これにより、資産価値を維持しながら収益も得られる仕組みとなっています。
  3. メンバーシップ会員
    • 利用権の購入: NFTを活用した年間利用権を約100万~200万円で購入。これにより、年間指定された日数(1ユニットあたり約30日)を利用可能。NFTは二次流通市場で売買も可能です。
    • 体験の価値: 一泊あたり約3万円で、通常の高級ホテルでは味わえない独自のラグジュアリー空間を体験できます。

上記をまとめると下図のようになります。

  • NOT A HOTELは物件を開発し、オーナーに販売。オーナーが利用しない日は、物件をホテルとして運用し、メンバーシップ会員が宿泊します。
  • この仕組みにより、オーナーは資産価値と収益化の両方を享受し、メンバーシップ会員は手頃な価格でラグジュアリーな宿泊体験を楽しめます。

公式サイトでは、わかりやすい解説動画も上がっていたので、気になる方はそちらもご覧ください。

オーナーの物件購入について:2分でわかるNOT A HOTEL

メンバーシップについて:90秒でわかるNOT A HOTELメンバーシップNFT

創業の経緯:D2Cで実現した新たな住宅モデル

(出典:https://news.notahotel.com/p/vol27-not-a-hotel-ishigaki

NOT A HOTELは、アラタナ(現ZOZO)を創業し、ZOZOテクノロジーズ取締役も務めた濵渦 伸次(はまうず しんじ)氏によって2020年に設立されました。濵渦氏は2007年の起業以来、一貫して「eコマース」の事業を手がけてきた経験を持ち、とりわけアパレルECの領域で培ったノウハウを活かして「住宅のD2C」というアイデアにたどり着きました。

マンションのカタログをオンラインで眺めることはあっても、実際に「住宅をカートに入れて購入する」という直感的なECサイトはこれまでほとんど存在していません。住宅をオンラインで簡単に購入する感覚を実現したことが、NOT A HOTELの大きな特徴となっています。

また、濵渦氏は仕事で年間100日ほどホテルに泊まるほど「ホテル好き」でしたが、そのたびに「なぜこれほど料金が高いのか?」という疑問を抱いていたそう。調べてみると、空室リスクや銀行借入の金利負担が料金を押し上げる要因であると判明。さらに、別荘に関しては年間20〜40日ほどしか使われないという非効率な事実にも気がついたそう。

こうした「ホテルも別荘も、ビジネスモデル上もったいない部分が多い」という課題を解決するために考案されたのが、NOT A HOTELのサービスです。住宅をオンラインで購入できるD2Cの仕組みと、ホテル・別荘の両方を効率的に活用できる仕組みを組み合わせることで、より自由で持続可能なライフスタイルを目指しているのです。

より具体的な創業の経緯について知りたい方は、『Vol.8 僕が「NOT A HOTEL」を始めた本当の理由』という記事をご覧ください。

Airbnbや既存ホテルとの比較

(出典:https://news.notahotel.com/p/not-a-hotel

NOT A HOTELのサービスを見ると、「Airbnbや今ある高級ホテル、高級リゾートと何が違うのか」という疑問を抱かれる方は多いと思います。ここでは、既存のサービスとNOT A HOTELとの違い、NOT A HOTELの強みについて解説します。

Airbnbとの違い

  • 視点の違い
    Airbnbは宿泊者向けに設計されていますが、Not A Hotelはオーナー視点を重視しています。オーナーが収益化しやすい構造を備えている点が大きな特長です。
  • 運営負担の違い
    Airbnbでは旅館業法の届け出や清掃管理など運営の手間が課題になりがちですが、Not A Hotelは物件運営を一括して請け負うため、オーナーの負担が大幅に軽減されます。
  • 収益化の仕組み
    オーナーが利用しない日は自動的にホテルとして運用されるため、稼働率を高めやすく、収益化がスムーズに行えます。

既存のホテルとの違い

  • 空室リスクの軽減
    オーナーが宿泊日を購入済みであり、また、オーナーが宿泊しない日はホテル運営で補うため、年間の空室リスクが低減されます。これにより、料金を安定的かつ効率的に抑えられます。
  • 別荘としての柔軟な利用が可能
    ホテル運営だけでなく、オーナー自身の別荘としての利用も想定しているため、多目的なライフスタイルを実現できます。

NOT A HOTELを利用するメリットや強み

これらを総合すると、NOT A HOTELは「オーナー視点を重視した運営モデル」と「高級ホテルのようなサービス体験」を兼ね備えた、全く新しい形態の宿泊・居住プラットフォームといえます。

  • 資産としての魅力: シェア購入やNFTを活用することで、オーナーは資産価値を維持しながら利用しない日を収益化でき、無駄を最小限に抑えられます。
  • 運営コストの最適化: 物件管理や集客をNot A Hotel側が担うため、オーナーの手間が少なく、高い稼働率を期待できます。
  • 柔軟なライフスタイル: 高級ホテル並みの快適さを日常として楽しむことも、旅行先の拠点として活用することも可能で、利用目的によって自由に切り替えられます。
  • テクノロジー活用: 直感的なオンラインサイトで購入できる「住宅のD2C」をはじめ、IoT技術の導入などデジタル領域に強みがある点も特徴です。

このように、Airbnbや既存のホテルが抱える課題点を補いながら、オーナーや宿泊者にとっての新しい価値を生み出していることが、NOT A HOTELの最大の強みです。

資金調達:デットファイナス含め累計200億超を調達

(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000080389.html

NOT A HOTELは、創業以来複数のラウンドを通じ、大規模な資金を確保して事業の拡大を図っています。

シリーズAラウンド(2023年2月)

  • 調達額: 約28.5億円
  • 累計調達額: 約50億円
  • 調達目的: ソフトウェア開発・建築部門の採用拡大、新規拠点開発
  • 投資家: ANRI、株式会社オープンハウスグループ、SMBCベンチャーキャピタル、ニッセイ・キャピタル、KDDI Open Innovation Fund 3号 など

シリーズBラウンド(2024年7月)

  • 調達額: 約55億円
  • 累計調達額: 約105億円
  • 調達目的: 新規拠点開発、地域観光の発展、デザイン性の高い物件拡充
  • 投資家: 私募(約44億円)、J-KISS転換(約11億円)、特定投資家向け銘柄制度(J-Ships) など

デットファイナンス(2024年12月)

  • 調達額: 総額約105億円
  • 累計調達額: 約223億円
  • 調達目的: 国内外拠点の拡大、新規プロジェクトの実施、グローバル展開の強化
  • 融資元: 三井住友銀行、千葉銀行(シンジケートローン)、広島銀行(シンジケートローン)、みずほ銀行、三井住友信託銀行、群馬銀行 など

【最新情報】IEO(2024年12月)

NOT A HOTEL DAOが、2024年12月、国内最大規模のIEO(Initial Exchange Offering)で20億円の資金調達を成功させ、大きな注目を集めています。

NOT A HOTEL DAO株式会社が発行する暗号資産「NAC(NOT A HOTEL COIN)」は、2024年10月31日からGMOコインで申込みを開始し、調達目標の20億円を満額で達成しました。これにより、NACは国内過去最大規模かつ、日本初のRWA(現実資産)対応のIEOとなっています。

NOT A HOTEL DAOの詳細な情報について知りたい方は、『【NOT A HOTEL DAO】暗号通貨を持つだけで、NOT A HOTELに泊まれるサービスとは?』の記事をご覧ください。

参照:NOT A HOTEL COIN (NAC)、目標金額20億円を満額調達。国内過去最大のIEOを実現。

会社概要

  • 会社名: NOT A HOTEL株式会社
  • 設立: 2020年
  • 代表者: 濵渦伸次
  • 所在地: 東京都渋谷区
  • 事業内容: ラグジュアリー物件の設計・開発、販売および運営
  • 主な投資家: ANRI、KDDI Open Innovation Fund、SMBCベンチャーキャピタル など

まとめ

本記事では、唯一無二の建築を日本各地の絶景に展開し、オーナー同士で共有するサービスを提供する「NOT A HOTEL」についてご紹介しました。高級ホテルの快適さと別荘の自由さを融合させた新しいライフスタイルは、多くの注目を集めています。

New Venture Voiceでは、NOT A HOTELのような注目スタートアップを多数取り上げています。

NOT A HOTELのように国内外の魅力的な企業についてもまとめていますので、ぜひ関連記事もご覧ください!

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