最終更新日 25/01/17
国内スタートアップ

【RadioNano Therapeutics株式会社】「がん治療に、確かな光を。」革新的ながん治療を研究する大学発ベンチャー企業を紹介!

医療大学発
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(引用:PRTIMES)

今回紹介するのはRadioNano Therapeutics株式会社です。この会社は、「サイエンスに根ざした新たな放射線治療の研究開発により、がん患者とそのご家族の健康と未来へ貢献します」をミッションに掲げて活動しています。京都大学大学院人間・環境学研究科の小松直樹教授と京都大学複合原子力科学研究所の鈴木実教授が開発した「高親水性含ホウ素無機ナノ粒子を用いた中性子捕捉療法」の社会実装を目指す、京都大学発ベンチャー企業です。

本記事では、その療法がどのようなものなのか詳しく解説していきます。

事業内容:2つの技術を独自に掛け合わせた革新的ながん治療

(引用:公式HP)

RadioNano Therapeuticsは、ホウ素中性子補足療法(BNCT)ナノテクノロジーという2つの技術を独自に掛け合わせた革新的ながん治療を行っています。

以下の記事でその2つの技術について詳しく説明していきます。

ホウ素中性子補足療法(BNCT)

(引用:公式HP)

ホウ素中性子補足療法(Boron Neutron Capture Therapy)とは、生体に対して無害な熱中性子と「ホウ素(Boron-10)」の核反応を利用し、生じたα粒子とリチウム原子核によりがん細胞を殺傷する放射線治療法です。

ホウ素を含む薬剤を体内に投与し、中性子を照射すると、ホウ素から放出されたエネルギーでがん細胞が破壊されます。

ナノテクノロジー

(引用:公式HP)

ナノテクノロジーとは、ナノメートル(1メートルの10億分の1)というごくごく小さい単位を制御することで、このスケールで材料や物質を作り出すというものです。

またRadioNano Therapeuticsはナノテクノロジーを用いて、BNCTの治療効果をさらに高めるためホウ素を豊富に含む無機ナノ粒子を用いた新しい製剤「RN-501」を開発しました。

この2つの技術を掛け合わせてできた本治療法の特徴は以下の通りです。

  • 影響範囲は局所的で、正常な細胞へのダメージを最小限に抑えつつ、がん細胞を破壊することが可能。
  • 複数回の照射が必要な従来の放射線治療に対して、1回でも高い効果が期待できる。
  • 薬剤ががん細胞に集中的に届くように設計して副作用を軽減できるだけでなく、これまで治療が難しかったがん腫にも適用できる。
  • 集積性・蓄積性の高さから、従来の薬剤よりも低用量・短時間の治療が可能。

BNCTの利点をナノテクノロジーで強化し課題点を克服した本治療法は、がん治療の第一選択肢となりうる次世代の放射線治療であり、これからの活躍が期待されます。

資金調達:約1.5億円の資金調達を完了シリーズA累計調達額約6億円に

RadioNano Therapeuticsは、2024年12月23日に第三者割当増資により、約1.5億円の資金調達を完了しました。また今回の資金調達により、9月に実施した資金調達とあわせてシリーズAで約6億円の資金を調達しています。引受先は以下の通りです。

<引受先一覧>

  • 京都キャピタルパートナーズ株式会社の運営するKCAPベンチャー1号投資事業有限責任組合
  • 中信ベンチャーキャピタル株式会社が運営する中信ベンチャー・投資ファンド7号投資事業有限責任組合
  • SMBCベンチャーキャピタル株式会社が運営するSMBCベンチャーキャピタル産学連携3号投資事業有限責任組合

今回調達した資金は、リードパイプラインであるRN-501の臨床試験に向けた開発の加速化に利用されます。

(引用:Uniqorns

市場規模:がん治療市場2032年までに約4523億米ドルに達すると予測

(引用:BusinessResearch

世界のがん治療薬市場規模は、2024 年 2,303 億 8,000 万米ドルで、2032 年までに 4,523 億 5,000 万米ドルに達すると予測されています。

がんの治癒生存期間の延長生活の質の向上ががん治療の 3 つの主な目的です。腫瘍の発生は免疫細胞によって大きく影響されます。がんを治療および予防するには、免疫システムを刺激することが理にかなっているため、市場をリードする企業は、さまざまな悪性腫瘍を治療するための免疫療法の研究と開発に投資を行っています。一例として、2019 年 3 月、富士フイルム株式会社国立がん研究センターは、リポソーム製剤を用いた新しいがん免疫療法に関する共同研究の開始を発表しました。

免疫療法は、患者の転帰を改善する効果的な治療という点で成功を収めているため、市場での受け入れ率が高くなります。したがって、これが市場拡大の要因となります。

需要を促進するがん罹患率の増加

がんの罹患率が上昇しているため、がんは現在、心血管疾患に次いで世界第 2 位の死因です。この現象に寄与しているのは喫煙、栄養の変化、都市化、生殖後の寿命の延長などの環境要因です。例えば、世界保健機関(WHO)は、がんの負担が増大し、新たな症例数が増加すると予測しており、その結果がん治療に使用される医薬品の需要は、予測期間中に増加すると推定されています。

市場の衰退につながるマイナスの副作用

化学療法で使用される薬剤はがん細胞を殺しますが、健康な体の細胞もダメージを受けるため、患者はさまざまな副作用を経験します。最も一般的なマイナスの副作用には、骨髄抑制、消化器疾患、神経障害、脱毛、疲労、皮膚の問題などです。これは、がん治療の悪影響が市場の成長を制限していることを示しています。さらに、予測期間中、高価な医薬品、政府による厳格な管理、特許の失効は、世界市場の成長を制限する重要な要因の一部です。

このように様々な要因がありますが、市場の拡大が見込まれている現在、がん治療の技術はこれからも需要が高まっていくと考えられます。

市場規模:放射線治療市場2036年までに約440億米ドルに達すると予測

(引用:NEWSCAST)

また、放射線治療市場の規模は 2023年約 80 億米ドルと記録され、2036年までに市場の収益は約 440 億米ドルに達すると予測されました。さらに、市場は予測期間中に最大 14% の CAGR で成長する態勢が整っています。

Research Nester の放射線治療に関する市場調査分析によると、放射線治療関連の研究開発努力の増加による市場拡大の結果、市場は大幅に成長すると予想されています。世界中の研究開発支出は約1.7兆米ドルという過去最高額にまで増加しました。

しかし、市場の潜在的な拡大は、放射線治療の入手可能性が限られているために妨げられる可能性があります。

企業概要

  • 企業名:RadioNano Therapeutics株式会社
  • 代表者:千葉 雅俊
  • 設立:2024年(令和6年)4月1日
  • 所在地:〒606-8317 京都府京都市左京区吉田本町36番地1
  • 公式HP:https://www.radionano-tx.com/

まとめ

本記事では、RadioNano Therapeutics株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

RadioNano Therapeutics株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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