Web3やブロックチェーン技術などが発展する今日、それらの技術を活用した次世代の組織形態「DAO(ダオ)」が注目を浴びています。
本記事では、世界初の資金調達スキームである「合同会社型DAO」を構築したRe. Asset DAO合同会社と、その事業について紹介します。
不動産管理・売買および分散型ホテルを展開する同社は、第一弾プロジェクトとして小豆島の古民家を改修し、2025年春に一棟貸しでオープンすることを発表しました。Re. Asset DAO合同会社のこうした取り組みから、あなたの会社にも役立つヒントが見つかるかもしれません。
そもそもDAOとは?
「DAO(ダオ)」とは日本語で「分散型自律組織」と訳され、ブロックチェーン技術を用いることで、特定の管理者がいなくても事業やプロジェクトが推進できる組織のことを指します。
国内では地域創生や、娯楽やスポーツ、アーティストのファンクラブ等の組織運営に活用されています。
DAOの特徴
【ブロックチェーン技術を活用】
DAOは、デジタル情報を安全に管理するための技術であるブロックチェーン技術を活用しています。管理者を介さずにユーザー同士が自由にデータをやり取りできるため、国籍や年齢、学歴に関係なくDAOに参加することができます。
【管理者が存在しない】
DAOの最大の特徴として、特定の管理者が存在せず、参加者によって自律的に組織が運営されています。組織全体の方針や意思決定は、DAOの参加ユーザーが「ガバナンストークン」と呼ばれる投票権を購入し、投票による多数決で決定します。
【利益は参加者に平等に分配される】
DAOの運営で得られた収益は参加者に平等に分配されます。また、参加者の貢献度に応じて、異なる量の報酬を分配することもできます。
DAOの特徴についての詳細:https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/post_192.html
世界初の資金調達スキーム「合同会社型DAO」
Re. Asset DAO合同会社が構築した「合同会社型DAO」 は、これまでのDAOに法人格を付与した新しい形のDAOのことを指します。
合同会社型DAOの構成
合同会社型DAOの構成は以下の通りです。
- 業務執行社員
- その他の社員
- DAOメンバー
それぞれ特徴や役割は以下の通りです。
【業務執行社員】
DAOの初期フェーズでは創業メンバーとして、初期立ち上げやコミュニティの運営を行います。
業務執行社員になるには単にトークンを購入するだけではなく、他の社員による選任や承認のプロセスが必要です。また、経営や事業に関する投票の結果が公的良俗に反することや違法行為だと判断される場合に、そのストッパー役として拒否権を発動することができます。
【その他社員】
合同会社の社員として地位を持ち、業務執行社員と協力してプロジェクトを中心的に進める。
【DAOメンバー】
投票や提案、タスクの実行などを通じてプロジェクトの発展に貢献する。
合同会社型DAOと従来のDAOとの違い
従来のDAOとは異なり、合同会社型DAOは法人格として実在しています。
また、合同会社型DAOの社員は重要事項(例えば、定款変更や解散など)について議決権を持つ一方で、DAOメンバーはこれらの法的意思決定に直接関与できません。
加えて、業務執行社員であれば出資額を超える収益分配も受けることが可能です。
このように、合同会社型DAOは従来のDAOとは異なる特徴を持ちます。
項目 | 従来のDAO | 合同会社型DAO |
---|---|---|
形態・実体 | エンティティ不在 | 法人格として実在 |
議決権 | トークン保有者 | 社員(基本的には社員による投票を尊重するが、業務執行社員は拒否権を持つ。) |
配当 | 原則不可能(体験価値を対価とすることの還元は可能) | 業務執行社員については出資額を超える収益分配が可能。その他社員については出資額までの収益分配に限られる。 |
金商法内閣府令の改正により実現
今回Re. Asset DAO合同会社が合同会社型DAOを構築できるようになった背景には、2024年2月に発表された、金商法内閣府令の改正が関係しています。
この改正によりトークンを活用した資金調達が容易になり、金銭的な収益分配が可能になりました。
これまでDAOがエクイティートークン(株式のような権利を持つトークン)を発行するには、金融庁の規制(業登録・開示義務など) が必要でした。しかし、今回の改正で一部のトークンの規制が緩和されたことにより、必要な法律で定められた手続き(業登録など)を踏まずに、トークンを活用した資金調達やDAOの運営が可能になりました。
参考:https://www.gaiax.co.jp/blog/llc-dao/
Re. Asset DAO合同会社:合同会社型DAOを活用し、古民家を再生
Re. Asset DAO合同会社は合同会社型DAOを活用し、築100年以上の古民家(照季庵)を改修して、古民家一棟貸し「囲み宿 こわね」を小豆島に2025年春にオープンすることを発表しました。
古民家は日本の歴史や文化を感じることのできる資産であるにもかかわらず、老朽化や改修費の問題でこれまで十分に活用されてきませんでした。
しかし合同会社型DAOを活用することで、そのような収益実績のない古民家でも、金融機関からの融資等に依存することなく資金調達が可能になったのです。そのため、従来のシステムでは活用しづらかった古民家の再活用ができるようになりました。
投資募集概要は以下のとおりです。
- 募集金額:1口 20万円
- 募集期間:2025年1月15日~2025年2月15日
- 出資特典:社員権トークンの付与、議決権の付与、リワードトークンの付与
- 購入リンク:https://pay.nmkr.io/?p=7fa27d3ac2b846178867b45d6a228e8d&c=1
会社概要
- 会社名: Re. Asset DAO合同会社
- 所在地:〒760-0017 香川県高松市番町2丁目8の25番町ハイム402
- 設立:2024年8月
- 共同代表:山田 健太郎 本嶋 孔太郎
まとめ
本記事では、合同会社型DAOを構築したRe. Asset DAO合同会社の事業について紹介してきました。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
NOT A HOTEL DAOのように、DAOを活用している企業等についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。