急速に進むデジタル化の中で、交通業界も変革を続けています。
地域交通のデジタル化を支えるアプリ「RYDE PASS」では、交通事業者と連携し、チケットのデジタル化を行います。自社の技術だけではデジタル化に踏み切れない交通事業者でも、手軽にデジタル化・効率化を図れる点が土王サービスの大きな特徴です。
本記事では、DX (デジタルトランスフォーメーション) に特化したRYDE株式会社(以下RYDE)が提供するアプリ「RYDE PASS」について詳しく紹介していきます。
事業内容:地域交通のデジタル化支援
RYDEは、東京都代官山に本社を構えるスタートアップ企業で、「RYDE PASS」を軸とした、地域交通のデジタル化を通じて自治体や交通事業者を支援するモビリティプラットフォームを展開しています。
一次交通に比べ規模の小さい二次交通・地域交通などで課題となっているのが、「デジタル化に踏み切れるほどのデータを集められておらず、技術面でも自社で開発するには採算が合わない。」といった悩みです。 「RYDE PASS」はこの問題の解決に役立ちます。
これまでに90以上の交通事業会社に導入され、注目のサービスとなっています。
「RYDE PASS」デジタルチケットの発券
「RYDE PASS」では、フリーパスや観光施設と連携した往復券・定期券など、さまざまな乗車券や乗船券をわかりやすく・使いやすいデジタルサービスとして簡単に変換することができます。
また、「フリーパス+地域特典」など地域の周遊促進を目的とした企画も可能なので、交通事業者と地域が連携した取り組みを行いやすいです。現在、90以上の交通事業者で採用され、300以上のデジタルチケットが発券されており、地域交通や二次交通、自治体で広く活用されています。
RYDE PASSの特徴①:システム開発が不要に
チケットのデジタル化に際して難点となるのがデータの一元化ですが、RYDE PASSを用いると、本来自社で行わなければならないシステム開発のステップを省略することができます。
具体的には、プラットフォームにチケットの発券や管理、利用データの分析など、デジタル化に必要な基本的な機能がすべて組み込まれているため、事業者はゼロから独自のシステムを構築する必要がありません。誰でも簡単にチケットの運用を開始できるため、デジタル化のハードルをぐっと下げることを可能にしています。
また、システム開発には通常、多大な初期費用と、運用後の保守・アップデート費用が必要ですが、RYDE PASSのプラットフォームをそのまま利用することで、初期費用も保守費用も省くことができ、コストが大幅に減少します。
RYDE PASSの特徴②:マーケティング施策を立てられる
RYDE PASSではデジタル化することによって、さまざまな顧客分析が可能です。それをもとにしてマーケティング活動等、新しい売り上げに繋がる仮説検証や、マーケティング施策を立てることができます。
利用者の移動履歴や属性をもとに、特定のユーザーを対象としたキャンペーンを行うことで、利用者の継続的な利用を促したり、利用者数が少ない時間帯や路線の利用を促進したり、さまざまな施策を効果的に行えるでしょう。
それらの分析は管理画面上で行うことができるため、人材を選ばずに誰でも行うことができ、地域交通に寄り添ったコンテンツとなっています。
RYDE PASSの特徴③:各事業者のブランドイメージをアピールできる
RYDE PASSの機能を基盤として活用しながら、各交通事業者ごとにカスタマイズを行うことで、一貫したブランドイメージの中でも優れた技術を提供することができます。
ホーム画面やデザインなどをそれぞれの会社に合わせて変えることで、独自のブランドイメージを反映したアプリを作成し、一貫したニーズやブランド戦略を提供することでブランドの価値をさらに高めることができます。
RYDEが見据えるビジョン
社会で急速に進むデジタル化ですが、地域交通では対応が遅れてしまっているケースも少なくありません。しかし、人手不足や財政難、地域の少子高齢化などの問題に悩まされている地域交通こそ、デジタルの力をより効果的に享受できるとRYDEは考えています。
二次交通のデジタル化によって、交通機関側は業務効率化や新規顧客の獲得などのメリットを得ることができ、顧客側は利便性の高い移動ができるようになります。地域交通の活性化はその地域の活力に直結し、間接的に国力に繋がるとRYDEは考え、地域交通に貢献するサービスを展開してきました。今後も学生とのプロジェクトや新しい取り組みなどを通して、「『地域公共交通』のデジタル化を通じた『社会』のリデザイン」というミッションを達成していく予定です。
資金調達:シリーズBラウンドにて1093万円を調達
RYDEは、シリーズCラウンドにおいて、2023年9月29日に日本ベンチャーキャピタル株式会社や既存投資家であるTHE SEEDを引受先とする第三割当増資を行い、資金調達を実施したことを発表しています。
SV-FINTECH FundやTHESEED、BREW Incを主な引受先としている2021年5月21日の第三者割当増資では、既存のプラットフォームの基盤拡充と、全国展開の加速を主に行いました。
今回の資金調達では、それらの取り組みに加え、利用する顧客の利便性向上とともにデジタル化を推進する企業・自治体様の更なる発展に向けてより多角的なサービス展開をしていく予定です。また、採用の強化も行い、組織拡大も目指すとしています。
引受先からのコメント
- SV-FINTECH Fund 丹野修一氏: 地域交通の課題解決は日本にとって重要であり、代表杉崎さんの推進力とチームの高い開発力に期待。事業成長を共に支援していくことを楽しみにしています。
- THE SEED 廣澤太紀氏: 交通機関の低コストデジタル化は少子高齢化社会に必要不可欠。杉崎さんの真摯な姿勢に共感し投資を決定。「移動」の改善を目指す成長を期待。
- BREW株式会社 小原崇幹氏: RYDEの取り組みは「人々のライフスタイルに影響を与える」というミッションに合致。杉崎さんの挑戦と成果を評価し、地域交通DXで地域経済活性化を成し遂げられると信じています。
企業概要
- 社名:RYDE株式会社(ライド株式会社)
- 代表者:代表取締役 杉﨑正哉
- 設立:2019年9月
- 本社:東京都渋谷区代官山町20番23号 Forestgate Daikanyama MAIN棟3F
- 資本金:135,885,000円
- 事業内容:二次交通に特化したモビリティプラットフォームRYDEの企画・運営
- 取引先:全国各地の自治体、交通事業者、その他
まとめ
本記事では、地域交通のデジタル化を支援するスタートアップ企業「RYDE株式会社」についてご紹介しました。
New Venture Voiceでは、RYDEのような注目スタートアップを多数取り上げています。
RYDEのように国内外の魅力的な企業についてもまとめていますので、ぜひ関連記事もご覧ください!