【Wayve】GenerativeAIで自動運転を実現するイギリスのスタートアップ

(引用:https://wayve.ai/)

Wayve(以下、ウェイブ)は、AI技術を駆使して自動運転事業を中心に展開する、ロンドンに拠点を置くスタートアップです。

同社は「エンボディードAI*によって、自律走行モビリティの未来を再構築する」というミッションを掲げています。

※エンボディードAIとは、ロボットや車両にAIを組み込むことで、環境の変化に適応し、自ら学習して進化していくロボット・車両の実現を目指す技術のこと。

画期的な自動運転技術「AV2.0」

(引用:https://www.paloaltoinsight.com/2022/11/01/wayve/)

ウェイブは、従来の技術とは異なる新しい自動運転技術「AV2.0」を開発しました。

ここでは、「AV2.0」の特徴を解説していきます。

従来の自動運転技術「AV1.0」

AV2.0は、従来の技術を「AV1.0」として、それよりも進んだ段階であることを強調する名称です。AV1.0では、「あらゆることに対して個別の対応が必要」であることが課題となっています。AV1.0のアプローチでは、どのような状況でどんな運転をするのか、すべて人の手でコーディングされていました。たとえば、「前方に人が飛び出してきたら停止する」などのルールが細かく決められ、大量に実装されてきたのです。その結果、システムが大規模で複雑になり、メンテナンスに苦労するようになってしまいました。また、周囲の状況の把握には、高精度3次元地図(HDマップ)データが大きな役割を果たしている点も、AV1.0の特徴です。HDマップデータがない都市では安全な走行が難しいため、多くの都市に展開できない原因のひとつとなっています。

スタートアップ企業「Wayve」の開発する新たな自動運転技術アプローチ「AV2.0」を解説 – パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC.

GenerativeAIを活用した「AV2.0」

AV2.0では、周囲の状況把握やあらゆる判断を、ディープラーニングを行ったAIに任せます。人がルールを決めるのではなく、カメラなどのセンサーから集めたデータをどう扱うのかをAIが判断し、適切だと思われる運転操作に反映させるのです。

このように入力から出力までを一貫して処理する手法は、「end to end」のアプローチと呼ばれます。個々のルールや操作をモジュールのように組み合わせるのではなく、AIにすべてを任せることで、自動運転の汎用性を高めることが狙いです。

AV2.0であれば、AIは過去に別の状況で学んだことを、初めての状況にも応用できます。人は初めて訪れた都市でも、問題なく運転できます。適切なディープラーニングを行ったAIであれば、同じことが可能なのです。

スタートアップ企業「Wayve」の開発する新たな自動運転技術アプローチ「AV2.0」を解説 – パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC.

沿革:ケンブリッジ大学発の企業

ウェイブは2017年2月にケンブリッジ大学の自動運転研究グループによって設立されました。

同社はこれまで、CO-FOUNDER & CEOのAlex Kendallを中心に、AI技術を駆使した自動運転事業を中心に展開してきました。

2019年2月には、ウェイブはイギリスの公道で自動運転車の走行に成功した初の企業になりました。

さらにシリーズAで2000万ドルの資金を調達し、ロンドンに本社を開設しました。

2021年3月には、イギリス最大級の食料品小売業者であるOcado GroupとAsdaとの業務提携を結びました。

この提携では、都市での自動運転配送の試験を行うことが発表されました。

2022年2月には、異なる都市や車両タイプに合わせて一般化できる初のAI運転モデルを開発しました。

さらにシリーズBで2億ドルの資金を調達し、カリフォルニア州マウンテンビューに2つ目のオフィスを開設しました。 また、Microsoftとのパートナーシップを拡大することも発表しました。

2023年には、年初めにビル・ゲイツをロンドンでのデモライドに招待。

さらに同年9月には自動運転向けの画期的なAIモデルであるGAIA-1とLINGO-1を発表しました。

2024年5月には、ソフトバンクグループをリードとしてシリーズCで10億ドル(約1590億円)の資金調達を実施しました。

資金調達:シリーズCで約1590億円を調達 ソフトバンクGが主導

ウェイブはこれまで複数回の資金調達を実施しており、シリーズCラウンドで10億ドル(約1590億円)を達成しました。(2024年5月)

今回の資金調達では、ソフトバンクグループがリード投資家になり、既存投資家としてMicrosoftが出資しました。また、新たに米国の半導体メーカー大手NVIDIAも投資に参加しています。

ウェイブは今回の資金を活用し、新しい市場での事業とパートナーシップを拡大することを目指します。

WayveがシリーズCで約1,590億円を調達、ソフトバンクGが主導する投資で開発・販売へ – Advanced Technology X
英スタートアップのWayveがシリーズCでb(約1590億円)を調達。同社はEmbodied AIによる自動運転を目指すユニコーン企業。今回、ソフトバンクやNVIDIA、Microsoftが投資した。

市場規模:自動運転システム市場は2035年までに約26490億ドルまで拡大

(引用:https://www.sdki.jp/reports/automatic-driving-system-market/114399#survey_location)

SDKI.jpの「自動運転システム市場調査-予測2023-2035年」によると、2022年の世界の自動運転システム市場は2022年に約1260億ドル

同市場は予測期間中に約39%の年平均成長を見せ、2035年までに約26490億ドルに達すると予測されています。

将来展望:世界100都市に自動運転車を走らせる

ウェイブは、「100都市に自動運転車を走らせる最初の企業になる」ことを目指しています。

自動運転の研究開発で競争相手となる企業は、「Waymo」や「Cruise」など、世界中にたくさんあります。すでに複数都市で自動運転車を運用している企業も少なくありません。しかし、いずれの企業も自動運転をより大規模には展開できていない状況です。

Wayveは従来とは違ったアプローチで開発を進めることで、自動運転車を運用できる都市を一気に広げようとしています。

スタートアップ企業「Wayve」の開発する新たな自動運転技術アプローチ「AV2.0」を解説 – パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC.

会社概要

会社名:Wayve Technologies Ltd.

所在地:Headquarters, UK 230-238 York Way London, N7 9AG United Kingdom

設立年月日:2017年2月

代表:Alex Kendall

HP:https://wayve.ai/

まとめ

本記事では、ロンドンを拠点にAI技術を駆使した自動運転事業を展開するWayveについて紹介してきました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

ウェイブのように生成AIを扱う企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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