今回紹介するのは、川崎重工株式会社が提供する新規事業、ヘリコプター手配サービス「Z-Leg」(ゼータ・レグ)です。
Z-Legは、2023年3月から始まり、新しい空の移動手段としてビジネスや旅行に利用されています。
この記事では、Z-Legの詳しい事業内容、沿革、川崎重工の新規事業制度などについて紹介していきます。
事業内容:ヘリコプターでしか味わえない唯一無二の価値体験
Z-legの名前の由来は、ヘリコプターの長所である垂直方向(Z軸)の航路(航空用語でLeg)です。
この魅力が最大限に発揮されることを願って名付けられ、Zの読み方であるゼータには、セーフティとダイレクトの意味が込められています。
Z-legでは、ウェブで申し込むだけで、簡単にヘリコプターが迎えに来てくれます。
運転手なども合わせて手配され、国内を最短距離で移動することが可能です。
ビジネスシーンでも旅行でも利用することができ、空の移動の贅沢さを味わえるサービスとなっています。
Z-legの3つの特徴
- 圧倒的な便利さと速さ
Z-legを利用することで、飛行機や電車のダイヤにかかわらず、国内の任意の2点を最短距離で移動することができます。東京~草津間は、約50分で移動できるなど(電車・車:約180分)、航路によっては圧倒的なタイムパフォーマンスを出せるため、現地での時間を有効活用することができます。 - 唯一無二の価値体験
ヘリコプター独自の高度で、街並みや地形美を空から眺めることができます。F1や花火大会など、混雑するイベント会場に直接空から降り立つことが可能で、利便性と特別な価値を体感することができます。 - 信頼と実績を活かしたサービス設計
単発エンジン機と比較し、安全性、飛行速度や積載量などの点で優れている、川崎重工が手掛ける双発エンジン機のみでサービスを提供しています。
(https://www.z-leg.com/cont12/45.html より)
プラン紹介
次に、Z-legが提供しているサービスの中でも、人気の旅行プランについて紹介していきます。
沖縄アイランドホッピング
沖縄では、本島から離島に移動する場合、フェリーや車を使うと、半日~1日を要することもあります。
しかし、Z-legのヘリコプターを使うことで、30分で離島へと移動することができます! 那覇空港から慶良間諸島へなら13万2千円で15分で到着、粟国空港へは26万4千円で30分で到着することができます。
また、ヘリコプターで周遊することも可能で、上記のようなプランで美しい海を堪能することもできます。
ニセコ俱知安へのフライト
新千歳空港からダイレクトにニセコへ30分で移動することができます。 往復のチャーター便で、212万円~で利用することが可能です。 車で約2時間半かかる道のりを、雪景色を楽しみながら30分で移動できるのが魅力です。
沿革:革新的なサービスで事業拡大中
Z-leg発案者の堀井知弘氏は、2018年の川崎重工社内の新規事業検討会で、ヘリコプターでの手配サービスを着想します。
その後、 を経て2023年に本格的にサービス提供を開始しました。 2024年は、F1観戦者に向けた送迎サービスの提供や、沖縄の県内各地を結ぶサービスなどさまざまなシーンに向けてサービスを拡大しています。
Z-legの創業ストーリー
ここでは、SIGNATUREに掲載された、Z-legの発案者である川崎重工の堀井知弘氏へのインタビューからZ-legの創業ストーリーを紹介していきます。
堀井知弘氏がZ-legを思いついたきっかけは「ヘリコプターの平均稼働時間は、1機につき1日1時間を切る」というデータを見た時だそうです。日本では現在31社が事業用ヘリコプターを保有し、420機のヘリコプターがありますが、平均稼働時間は1日1時間を切っています。
稼働していないヘリコプターをもっと有効利用できないものかと考えた際に、ヘリコプターの手配サービスが頭に浮かびました。
社内では、空飛ぶクルマの開発の話もでていたそうですが、まだ少し飛躍した発想だったため、堀井知弘氏は、現時点で空飛ぶクルマに一番近い存在としてヘリコプターに注目しました。
その後、自社で新たに旅行業の免許を取得するための社内調整から、提携する航空運送事業者、離着陸場となるへリポート、ヘリコプターから先の移動を担う道路運送事業者との調整、国や自治体との交渉など、多くの困難を乗り越えました。
そして、ヘリコプターを保有する航空運送事業者8社と、35都道府県の道路運送事業者の協力のもと、新規事業を立ち上げることができました。
ヘリコプター利用が普及することで増える選択肢
SIGNATUREに掲載された、Z-legの発案者である川崎重工の堀井知弘氏へのインタビューによると、Z-Legのサービスが浸透し、移動の選択肢が増えることで解決できる課題について言及されています。
レジャーやビジネスシーンでの利用はもちろんですが、病院への通院や通勤・通学など、あくまでも個人で利用されることで、地域課題の解決手段となることも目指しているそうです。
中でも国立公園オフィシャルパートナーとしての活動にも言及されていました。
「日本の観光地は、陸路では時間がかかる国立公園内に所在するところも多いですが、国土交通省の調査研究で、要介護者が旅行に出かけない理由には、目的地までの移動が大変だという理由が多いのです。そういった方々にヘリコプターを利用していただければ、ご自身はもとより、家族の負担が軽減されます。そして、先ほども言いましたが、需要が増えれば料金も抑えることができます」
今回は、川崎重工発のベンチャーについて紹介してきましたが、New Venture Voiceではさまざまな社内スタートアップについて紹介しています。
他にも川崎重工のような、機械・部品メーカー発のベンチャーについて紹介している記事があるので、リンクからご覧ください。
企業情報
会社名 川崎重工株式会社
代表者 橋本 康彦
本社所在地 東京都港区海岸1丁目14-5
設立年月日 1896年10月15日
資本金 1億448万円(2023年3月31日現在)
従業員数 38,254人(2023年3月31日現在)