最終更新日 25/03/20
国内スタートアップ

スマホ発エンタメで市場を席巻!デジタル出版社「taskey」の挑戦とその未来

エンタメ
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(引用:taskey公式HP)

スマホに特化したエンターテイメントアプリ「peep」と、自社スタジオ「taskey STUDIO」を軸に急速に存在感を高めているtaskey株式会社(以下、taskey)が、2023年7月に3.2億円の資金調達を果たしました。

ノベル・マンガ(Webtoon)を連携させてIP(知的財産)を生み出す独自のビジネスモデルは、キャラクタービジネス市場が約2.7兆円規模へと拡大する流れの中で、大きな注目を集めています。

本記事では、taskey代表の想いや事業内容、さらには国内外を視野に入れた戦略の要点をわかりやすく解説し、新たな出版社像としての可能性を探ります。

事業内容①:「peep」デジタルIPコンテンツプラットフォーム事業

(引用:taskey公式HP)

taskeyは「文化の襷をつなぐ」という理念のもと、スマホユーザーが気軽に楽しめるエンターテイメントを提供するべく、アプリ「peep(ピープ)」を運営しています。

2017年12月のリリース当初は、チャット形式でテンポよく物語が進む「チャット小説」を中心にスタートしましたが、現在ではマンガ(Webtoonを含む)や映像、イラストを活用した「シネマノベル」「イラストノベル」など、多彩なコンテンツを展開し続けています。

リリース以降、ユーザー数を着実に伸ばし、2019年には「Google Play ベスト オブ 2019 アプリ エンターテイメント部門」を受賞。これまでに400万ダウンロードを突破しており、スマホに特化した次世代のエンターテイメントアプリとして人気を集めているのが大きな特徴です。

「peep」では、これまで約3000作品を超えるコンテンツを配信しており、なかでもヒットしたノベルは他社との協業を通じてマンガや書籍化、ボイス(サウンド)コンテンツ化などにも展開されています。さらに定期的にコンテストを開催するなど、読者・クリエイター双方の参加意欲を高める取り組みにも注力しているとのことです。

こうして「peep」は、国内で生まれたIP(知的財産)をさまざまな形でメディアミックスし、新しい読書体験を創出しながらエンターテイメントを広く届けるプラットフォームとして進化を続けています。

事業内容②:「taskey STUDIO」IP創出事業

(引用:PR Times)

「peep」で生まれる人気ノベルを、マンガ(モノクロデジタルコミック)やWebtoon(縦スクロールのカラーマンガ)へコミカライズし、さらなるIPを創り出しているのが「taskey STUDIO」です。

2021年の設立以降、「21世紀、世界でもっとも読まれる物語を生み出す」というビジョンを実現するため、原作シナリオの開発から編集・制作まで一貫して手がけています。

Webtoonはスマホでの閲覧を意識した縦スクロール形式であり、従来のマンガと比べて制作工程が多いのが特徴です。taskey STUDIOでは、その複雑な工程を専門のクリエイターやディレクター、編集者、プロデューサーらがチームを組んで分担し、作品のクオリティとスピードの両立を図っています。peepでヒットした作品のノウハウ(ユーザーの反応やデータ分析)をもとに最適化したストーリー構成を行うため、Webtoonやマンガ化で成功する確率を高めているのも注目すべき点です。

(引用:taskey公式HP)

さらにtaskey STUDIOでは、日本からグローバルなエンターテイメント作品を多数輩出する未来をつくるために、編集者(プロデューサー)やビジネスサイド、クリエイターなど幅広い人材を積極的に募集しています。こうした体制拡充により、国内のみならず海外展開をも視野に入れたIP制作を推進しているとのことです。

実際に、peepでのヒット作品を起点としたコミカライズやWebtoon化が続々と進行しており、taskeyの独自スタジオならではの総合力が大きなアドバンテージになっています。

創業背景と代表の想い:21世紀に挑むデジタル出版社の姿

(引用:note|taskey)

「日本にはもっと出版社が増えるべき」。そう語るのは、taskey代表取締役CEOの大石ロミー氏です。大石氏は、創業当初から「21世紀、世界でもっとも読まれる物語を生み出す」というビジョンを掲げ、国内外でWebtoonやマンガを大きく展開できる出版社こそが、これからの日本に不可欠だと強調しています。

その背景には、日本が経済的に伸び悩む一方で、韓国や中国を中心にアジアのIT・エンターテイメント企業が世界市場を席巻し始めている現状に対する、強い危機感があるとのことです。大石氏は「日本の経済を発展させる原動力は日本人のクリエイティビティにこそある」と考えており、アニメやゲームに比べて参入ハードルの低い「出版」からIPを創出していくことが、日本の再興への鍵になると見ています。

また、taskeyではデジタル領域を活かした多彩なコンテンツ制作を進めるだけでなく、ヒット作品のデータ分析やマーケティング手法を活用した戦略的なプロデュースにも力を注いでいるそうです。グローバル市場を見据えつつ、ノベル・Webtoon・マンガを軸に新たな出版社像を確立し、ゆくゆくはアニメや映画などの映像化にも挑戦する構想を描いているとのこと。

こうした大石氏の想いと戦略は、現在のtaskeyが取り組む経営方針にも深く根付いており、今後の国内外での展開に大きな期待が寄せられています。

資金調達:2023年7月シリーズEラウンドにて3.2億円を調達

2023年7月に3.2億円の資金調達を発表したtaskey(引用:PR Times)

taskeyは2023年7月6日、シリーズEラウンドにおいて以下の4社を引受先として総額3.2億円を調達しました。

<シリーズEラウンドでの資金調達の引受先>

  • i-nest 1号投資事業有限責任組合
  • PKSHA アルゴリズム 2号投資事業有限責任組合
  • D4V 2号投資事業有限責任組合
  • 株式会社HykeComic

これまでエクイティやデッドの調達を含めた累計調達額は約21億円にのぼり、資金力がいっそう強化されています。これを機に、自社ノベル作品のマンガ化・Webtoon化を中心としたメディアミックスに加え、ホラー以外の多彩なジャンルへの挑戦にも積極的に取り組んでいるとのことです。

また、海外展開を視野に入れながら組織体制を拡充し、マンガやWebtoon事業の成長を一層加速させる方針も明らかにしています。

市場規模:キャラクタービジネス市場は約2.7兆円へと拡大

(引用:矢野経済研究所)

矢野経済研究所の調査によると、2023年度のキャラクタービジネス市場規模(商品化権・版権)は前年度比2.2%増の2兆6969億円に達すると推計されています。

アニメ主題歌とメディアミックス展開が相互に影響して大きなヒットとなった「推しの子」や、「鬼滅の刃」「進撃の巨人」などの商品化が市場をけん引しているとのことです。さらに、「ポケモン」「ONE PIECE」「スーパーマリオ」なども幅広い世代を取り込み、商品化権・版権の売上を好調に押し上げています。

最近では、SNS発のキャラクター「ちいかわ」のように、若年層から中高年層まで多様なファンを獲得する事例が増え、キャラクタービジネスは“モノ消費”から“コト消費”へと広がりを見せています。

具体的には、グッズや書籍だけでなく、カフェや展示会、体験型イベントなどの企画が盛り上がり、キャラクターを中心とした世界観を体験そのものに価値付けする流れが顕著です。こうした「コト消費」の拡大によってキャラクターブランドの認知度やファン層がさらに広がり、その結果として関連グッズやライセンス収入も増加する好循環が生まれています。

同調査によれば、2024年度にはキャラクタービジネス市場規模が前年度比1.8%増の2兆7464億円に拡大すると予測されています。「ちいかわ」「おぱんちゅうさぎ」のようにSNSを起点に人気が広がったキャラクターに加え、「シティハンター」「キン肉マン」など中高年世代に支持されるコンテンツも勢いを保つ見通しです。

こうした背景から、IP(知的財産)の創出・活用を軸に事業を展開する企業にとって、今後さらに大きな成長機会があると考えられます。

企業概要

  • 企業名:taskey株式会社
  • 代表者:代表取締役CEO 大石ロミー
  • 設立:2014年8月
  • 所在地: 〒160-0023 東京都新宿区西新宿3丁目7-30 フロンティアグラン西新宿501
  • 公式HP:https://taskey.co.jp/

まとめ

本記事では、デジタルIPコンテンツプラットフォーム「peep」を運営するtaskey株式会社について紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

taskey株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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