ナッジ株式会社(以下、ナッジ)は、2020年創業の次世代型の金融サービスを提供するスタートアップです。ナッジは、「ひとりひとりのアクションで、未来の金融体験を創る」をミッションとして掲げ、ユーザーの生活を豊かにするための金融サービスを開発しています。
本記事では、同社の事業内容・創業の経緯・資金調達等について詳しく説明しています。
事業内容:スマートフォン連動型クレジットカード「Nudge」
ナッジの主力サービスは、スマートフォンと連動するクレジットカード「Nudge」です。このカードは、スマートフォンアプリを通じて多くの機能を利用できます。アプリから利用履歴の確認、カードのロック、支出管理が簡単にできるため、ユーザーは常に最新の情報を把握できます。
Nudgeカードの申し込みは、アプリからのみ受け付けています。これにより、独自のIDやパスワードを設定する必要がなく、Apple IDやGoogleアカウントを利用して認証が可能です。この仕組みにより、セキュリティレベルが向上し、安心してカードを利用できます。
Nudgeカードの特徴
- 好きなタイミングで返済OK
- 引き落とし日に口座残高を心配する必要がありません。決済の翌日から返済が可能で、返済後すぐに利用枠が復活します。返済方法はセブン銀行ATM、銀行振込、口座自動引落しから選ぶことができます。
- カフェやコンビニの普段使いで好きを応援
- カフェやコンビニ、スーパーなどでNudgeカードを使うと、好きなアーティストや団体、作品(カード申し込み時に選ぶ「クラブ」)の応援に繋がります。また応援先からの、Nudgeカードだけの特典をもらうこともできます。
- Visaのタッチ決済でスマートに支払い
- Visaのタッチ決済機能を搭載しており、カードをかざすだけで支払いが完了します。暗証番号やサインは不要で、少額決済や急いでいるときでも便利です。
Nudgeカードの便利なポイント
- 基本無料で使える
- Nudgeカード(20種類)の発行や年会費、入会金は無料です(一部、有料発行のカードもあります)。
- カード利用したらすぐに通知
- カードの利用や返済時にすぐ通知が届き、アプリで利用履歴が確認できます。見覚えのない利用があれば、アプリから調査依頼ができます。
- カードを落とした時もすぐ停止
- アプリからすぐにカードを停止できます。不正利用があった場合、7日以内に申請すればナッジが全額補償します。
- うっかり返済忘れ&不正利用防止
- 返済を忘れる前にアプリで通知が届きます。決済直後に速報が届くため、不正利用の防止もできます。
- 最大2ヶ月間は利息がかかりません
- 支払い確定日の翌月末までに支払えば利息はかからないです。利息が発生する前にアプリで通知が届き、返済忘れを防げます。
- かんたん申し込みですぐ届く
- アプリから簡単に申し込みができ、簡易書留で郵送されるため安心です。ユーザーは申し込みから短期間で利用できます。
- 学生やアルバイト、フリーランスでも作りやすい
- AIを用いた独自審査を行い、柔軟にクレジットカードを発行しています。
- クラブ(提携先)機能*
- カード申し込み時に好きなクラブを選び、累計の利用額に応じてクラブの特典がもらえます。
*クラブ機能について
Nudgeカードにはクラブ機能があります。ユーザーは好きなアーティストやブランドを応援するクラブに参加できます。クラブを通じて、デジタルコンテンツやイベントの優先参加権などの特典を得ることができます。
創業の経緯
ナッジ株式会社は、2023年2月に設立されました。創業者の沖田 貴史(おきた たけし)氏は、これまでに複数の企業を立ち上げてきたシリアルアントレプレナーであり、今回が4回目の起業となります。
沖田氏は長年クレジットカード業界に関わってきましたが、金融サービスの提供方法に多くの改善点を見出していました。そこで、既存のサービスに対する不満を解消し、新たな価値を提供するためにナッジ株式会社を設立しました。
沖田氏の創業経緯を以下で詳しく説明していきます。
日本での新しい銀行サービスを目指して
ナッジの創業について、創業者の沖田氏は自身のnote(https://note.com/nudgecard/n/n6955c5b33aac)で以下のように述べています。
ナッジの創業には、日本における「金融包摂」という考えがあります。「金融包摂」とは、誰もが金融サービスを利用できるようにするということです。最近のデジタル技術の進展により、世界中でデジタル・トランスフォーメーション (DX) が進んでいます。特に金融のデジタル化によって、「チャレンジャーバンク」と呼ばれる新しい銀行が成長しています。
しかし、日本では銀行口座やクレジットカードの保有率が高く、銀行やATMも多くあります。また、国民の銀行に対する信頼度も高いです。そのため、新しいサービスが市場に浸透するのは難しいと考えられています。
それでも、「キャッシュレス」や「資産運用」など、新しい金融サービスを使ってみたいと思っても、なかなか行動に移せない人が多いです。金融サービスは生活を豊かにしますが、そのメリットを実感するのは難しいです。
このような金融に対する抵抗感がある中で、ナッジの創業者である沖田氏は、25年以上のFintech業界の経験を活かしたいと考えたといいます。
彼は、「顧客目線に立ち、デジタルネイティブに使いやすいサービスを作ること」を目指しました。ナッジという名前には、「多くの人に金融サービスの恩恵を知ってもらい、一歩踏み出す手助けをしたい」というメッセージが込められています。
資金調達
資金調達の概要
ナッジは、TIS株式会社(以下「TIS」)と資本業務提携契約を締結し、シリーズAの第二次追加調達を実施しました。これにより、シリーズAラウンドの調達額は30億円を超え、累計資金調達額は約50億円となりました。
シリーズAラウンドの詳細
シリーズAラウンドは、2022年10月に以下の企業からの追加調達に成功しています。
- KDDI Open Innovation Fund
- 伊藤忠商事
- 住商ベンチャー・パートナーズ
- 三菱商事
- 三菱UFJイノベーション・パートナーズ
- 博報堂DYベンチャーズ
- ベルシステム24ホールディングス
- SMBCベンチャーキャピタル
- みずほキャピタル
- NOBUNAGAキャピタルビレッジ
今回の資金調達の2つの目的
今回の資金調達の目的は、プロダクトおよび社内体制の強化にあります。
- プロダクト開発体制の強化:基本機能の強化と新機能の迅速な提供
1つ目の目的は、Nudgeの技術基盤「Nudge Platform」を強化し、次世代クレジットカード「Nudge」をさらに発展。 - オープンイノベーションと人的交流の促進:株主各社との連携を強化し、スタートアップ間での事業連携を推進
ステークホルダー各社とのオープンイノベーションを推進し、未来の金融体験を創出。
投資家概要
TIS株式会社
TISは金融、産業、公共、流通サービス分野などの3,000社以上のビジネスパートナーとして、成長戦略を支えるITを提供しています。日本・ASEAN地域でのITサービスを通じ、豊かな社会の実現を目指しています。
日本のキャッシュレス化の鍵は、Z世代
ナッジは、日本のキャッシュレス普及率を上げることに挑戦します。日本のキャッシュレス普及率は、世界に比べて遅れています。政府もキャッシュレスを推進していますが、ナッジはその動きをさらに加速させたいと考えています。
その中でも、特に重要なのは10代と20代の若年層です。この世代は電子マネーやコード決済を使い始めています。しかし、キャッシュレス決済の主力であるクレジットカードの利用率は低いです。クレジットカードは約80%の人が利用していますが、若年層の利用は少ないのです。
ナッジは、この若年層にもっとキャッシュレス決済を使ってもらうことで、日本のキャッシュレス普及率を高めたいと考えています。
会社概要
会社名:ナッジ株式会社 (Nudge Inc.)
住所:100-0004 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル4F FINOLAB
設立:2020年2月12日
代表:沖田 貴史
資本金:35億8907万円(資金準備金等含む)
まとめ
本記事では、金融サービスを提供するナッジ株式会社について紹介してきました。
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