
企業の規制対応や補助金活用、官民連携プロジェクトの重要性は年々高まっています。しかし、適切な政策情報を把握し、適切な窓口へアプローチすることは依然として難しく、多くの企業が課題を抱えているのが現状です。
LobbyAI株式会社(以下、LobbyAI)は、こうした政策渉外の課題を解決するため、AIを活用した公共情報分析プラットフォームを開発。政策提言や自治体営業の効率化を支援し、企業の成長と社会課題の解決を両立する新たな仕組みを提供しています。
本記事では、LobbyAIの事業内容や提供するサービスについて詳しく解説し、企業と行政の関係をどのように変革していくのかをご紹介します。
事業内容:AIによる公共情報分析で企業の政策渉外を支援

LobbyAIは、政策渉外や公共政策、テクノロジー、データ解析、AIエンジニアリングに精通した専門家集団です。
「公共政策を企業の成長の機会に変える」というミッションを掲げ、最新の生成AI技術を活用した公共情報分析プラットフォームを提供しています。これにより、民間企業が政府・自治体との関係をより迅速かつ的確に構築できるよう支援し、規制対応や政策提言、自治体との連携強化を促進している点が最大の特徴です。
現代の日本では、地域活性化や環境対策、デジタル・トランスフォーメーション(DX)など、さまざまな社会課題が浮上し、企業と行政の協力がますます重要になっています。しかし、実際には、企業の多くが「適切な自治体・省庁の担当部署を特定するのが難しい」「政策提言のタイミングを逃してしまう」「自治体営業に多くの時間と労力を要する」といった課題を抱えています。
そこで、LobbyAIはこうした企業と行政の「すれ違い」を解消するため、データ解析とAI技術を駆使し、最適な政策渉外戦略の実現をサポート。自治体や政府との関係構築をスムーズにし、政策提言や規制対応、自治体営業の効率化を支援することで、企業の成長と社会課題の解決を両立する新しい仕組みを提供しています。
主要サービス:「LobbyAI」公共情報分析プラットフォーム

「LobbyAI」は、企業の政策渉外業務を効率化するためのAI搭載の公共情報分析SaaSです。自治体や政府の最新の政策情報をリアルタイムで分析し、企業が適切なタイミングで政策提言や自治体営業を行えるように支援します。
従来、企業が自治体や政府と連携するためには、政策の動向を把握し、適切な窓口を探すために膨大な時間と労力を要していました。しかし、「LobbyAI」を活用することで、こうした調査業務の負担を大幅に削減できます。

「LobbyAI」の主な機能
- 自治体の政策動向をリアルタイムで分析
- 全国の自治体の議会議事録や基本計画を自動で収集・整理し、関連する政策トピックを瞬時に把握できる機能を搭載。これにより、企業は自治体ごとの最新の課題や関心領域を即座に理解し、適切な提案が可能になります。
- 最適な自治体・政府機関の選定
- 企業の事業内容や提供サービスに基づき、最も相性の良い自治体や政府機関をAIが自動で特定。従来、企業が適切な提案先を見つけるには時間がかかりましたが、「LobbyAI」を活用することで、データに基づいた的確なアプローチが可能になります。
- 競合・類似サービスの採択状況の分析
- 競合企業や類似サービスがどの自治体・省庁と連携しているかを分析し、自社の渉外戦略に活かすことが可能。競争環境を把握し、自社の強みを最大限に活かした提案を行うための有力な情報源となります。
- 営業リストの自動作成とエクスポート機能
- 「人口」「都道府県」「地方」などの条件で検索し、営業リストをCSV形式でエクスポートすることが可能。これにより、営業活動の効率化が図れ、適切なターゲットに迅速にアプローチできます。
- キーワード通知機能
- 事前に設定した政策関連キーワード(例:「再生可能エネルギー」「スマートシティ」など)が自治体の議会議事録で言及された際に、メールで通知を受け取ることができます。また、通知履歴を管理できるため、過去の情報を振り返りながら継続的な戦略立案が可能です。
「LobbyAI」の導入メリット
「LobbyAI」を導入することで、以下のような具体的なメリットを得られます。
- 政策情報の収集にかかる時間を大幅に短縮
- 企業の自治体営業における商談準備時間を週18時間から1時間へと削減することが可能になります。
- 政策提言・自治体営業の成功確率を向上
- 最新の政策情報に基づいた提案を行うことで、企業と自治体のニーズがより合致し、採択の可能性が高まります。
- 自治体の最新ニーズをいち早くキャッチし、競争優位性を確保
- データ分析により、他社よりも早く自治体のニーズを把握し、先行者利益を得ることができます。
その他のサービス①:政策渉外・ロビイング支援事業
LobbyAIは、政府や自治体との関係構築を目指す企業向けに、政策渉外・ロビイングの戦略策定から実行までを包括的に支援します。経験豊富なロビイストと最先端のAIツールを組み合わせ、企業が政策決定プロセスに効果的に関与できるようサポートしている点が特徴です。
<具体的なサービス>
- 最適な政策提言戦略の設計
- 企業の事業内容を踏まえ、規制や政策動向を分析し、最も効果的な提言内容を設計します。
- 適切な窓口の選定とアプローチ戦略の策定
- AIの分析結果とロビイストの知見を組み合わせ、最適な省庁・自治体の担当部署を特定します。
- 政策提案書・プレゼン資料の作成支援
- 行政機関が求める形式に合わせた提案書や資料作成を支援し、実際の提言・交渉を円滑に進めることができます。
その他のサービス②:AIチャットボット&政策文書作成支援
LobbyAIは、政策渉外業務をさらに効率化するために、AIを活用したカスタムソリューションの開発も行っています。特に、AIチャットボットや政策提言文書の自動作成ツールを提供し、企業の業務負担を軽減します。
<具体的なサービス内容>
- AIチャットボットの導入
- 法規や審議会資料、過去のQ&Aデータを活用し、迅速かつ正確な情報提供を行います。
- 政策提言文書の自動作成
- 提案書や規制対応資料の作成をAIが自動化し、作業時間を削減します。
資金調達:2025年3月にプレシードラウンドで4000万円を調達

2025年3月13日、LobbyAIはプレシードラウンドにおいて、ON&BOURD投資事業優先責任組合、East Venturesから4000万円の資金調達を実施しました。本ラウンドの資金を活用し、プロダクトの開発を加速させることで、より多くの企業が政策との接点を持ち、より簡単に自治体や政府と連携できる世界の実現を目指すとしています。
資金調達の背景:政策渉外のDXニーズが拡大
企業の行政対応は、規制対応や補助金・助成金の活用、官民連携プロジェクトの推進など、多岐にわたる領域で重要性を増しています。しかし、これらのプロセスは未だに属人的で、適切な政策情報を得るのに膨大な時間と労力を要することが課題でした。
LobbyAIは、生成AIを活用した自治体・政府情報の収集・分析プラットフォームを提供し、企業が政策動向を迅速に把握し、適切なアクションを取れる環境を整えることを目的としています。今回の資金調達は、こうした市場のニーズに応え、プロダクトの市場投入を本格化させるために行われました。
調達資金の用途:プロダクト開発と市場展開の強化
LobbyAIは、本資金を活用し、以下の3つの領域で事業を加速させる計画です。
① データインフラの強化とAIによるインサイト提供
全国の自治体議会議事録や政策データを体系化し、AIを活用して政策動向をリアルタイムで把握できる機能を強化する予定です。これにより、企業は関心のある規制テーマや自治体の動向を迅速に把握し、政策渉外戦略を効率的に策定できるようになります。
② 2025年5月のα版リリースと初期顧客の獲得
スタートアップや規制産業の大手企業向けに、政策分析や提案機能をさらに充実させたプロダクトを開発するとしています。2025年5月にはα版をリリースし、初期顧客からのフィードバックを反映しながらブラッシュアップを進める予定です。
③ 市場開拓と政策渉外支援サービスの拡充
LobbyAIは、単なるデータ提供ツールではなく、政策渉外の専門家と連携し、BPaaS(Business Process as a Service)型の支援を拡充するとのこと。これにより、企業の政策提言や自治体営業のハードルをさらに下げ、官民連携の促進を支援します。
今後の展望:企業の政策戦略をより効率的に
LobbyAIは今回の資金調達を通じて、政策渉外のDXを推進し、企業がよりスムーズに政策決定プロセスに関与できる環境を整える予定です。自治体や政府の動向をリアルタイムで把握し、適切な提案・交渉を行うことで、新たなビジネス機会の創出を支援します。
今回の資金調達は、LobbyAIが「企業と政策をつなぐ仕組みを本格的に社会実装する」フェーズへ進む重要なステップでしょう。今後の成長に期待が高まります。
企業概要
- 企業名:LobbyAI株式会社
- 代表者:代表取締役 髙橋京太郎
- 設立:2025年1月
- 所在地:
- 渋谷オフィス:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-27-1 100BANCH 2F
- 新宿オフィス:〒163-0223 東京都新宿区西新宿2丁目6-1 新宿住友ビル18F GROWTH新宿
- 公式HP:https://lobbyai.co.jp/
まとめ
本記事では、AIによる公共情報分析で企業の政策渉外を支援しているLobbyAI株式会社について紹介しました。
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