「病院に行ったが、医師の説明を理解するのが難しかった」「診察の時間よりも待ち時間の方が長かった」といった経験が一度はあるのではないでしょうか。しかし、医師・患者間のコミュニケーションに悩まされているのは患者側だけではありません。
Contrea株式会社(以下Contrea)は、医療現場で生まれがちなこのギャップを埋めるための「MediOS」というサービスを提供しています。このサービスによって、患者も医師もより効率的で納得できる、スムーズな医療コミュニケーションを実現している点が同社の大きな魅力です。
この記事では、Contreaとその事業内容、今後の展望などについて詳しく紹介します。
事業内容:医患連携システム「MediOS」
MediOSは、Contreaが提供するプラットフォームで、医療者と患者をつなぐ医患連携システムです。このサービスは、患者さんへの説明に時間がかかっている、同意書の管理業務が煩雑で現場を圧迫しているといった悩みを解決するために開発されました。
患者説明動画や電子同意書、電子問診などの機能を提供することで、医療現場の業務効率化と患者エンゲージメントの向上を目指しています。
MediOSサービスの詳細
MediOSのサービスでは、通常医師が行う標準的な医療説明を、動画として患者に提供し、事前に視聴してもらいます。医師は限られた時間を個別の説明に割り当てることができ、患者の意思決定をサポートすることに専念できるようになります。
そのため、業務効率化や説明の質の向上、さらには患者側の満足度向上も実現することが可能です。
また、MediOSは患者の理解度や質問事項を事前に収集することもできるため、MediOSだけで動画説明以前の準備から視聴後までトラッキングすることができます。
①MediOS説明支援
麻酔科や眼科、泌尿器科、消化器内科、消化器外科、検査、入院説明など、各診療科や手技に特化した説明動画を提供しています。例えば、麻酔科の説明動画では、患者1人当たりの説明時間を3分の1の、30分から10分へ短縮することができ、年間で約1,333時間もの業務削減を達成した事例もあります。
②MediOS電子同意書
MediOS電子同意書は、患者への説明から同意書の取得・管理までを一気通貫で行うサービスです。同意書の提示、署名、確認の手順にMediOSが介入することで、従来の方法で同意書を取得するよりも早く、正確に行うことができるようになります。
③MediOSアナムネ/問診票
MediOSアネムネ/問診票で、患者の理解度や質問事項を事前に収集し、診察前に医療従事者が把握できるようにする機能も備えています。これにより、診察時のコミュニケーションが円滑になり、患者さんの不安軽減や治療への理解促進につながります。
④MediOS入院支援
MediOS入院支援は入院業務にかかわる情報収集、説明、案内を最適化するサービスです。入院時の手続きや準備、入院中の生活に関するアニメーション動画を提供しています。これにより、入院オリエンテーションの効率化が図られます。
また、医療現場で患者の入院に際して頻発するのが、患者の情報収集ができておらず、入院当日に準備不足が発覚するという事例です。服薬やアレルギーに関する情報の共有漏れで検査や手術の日程に支障が出てしまうことへの対応の他、ベッドコントロールの機械化、他部署との連携の円滑化などにも役立てることができます。
①~④のサービスを利用することの共通結果として、医療現場での短縮できる部分は省略し、より高度で専門的な仕事に回ることで業務効率化・品質向上が実現されました。また、 動画視聴後の理解度調査では、5段階評価で平均4.8という高いスコアが得られています。87%の患者が動画を視聴することで「安心した」「不安が軽減された」と評価しています。
Contrea株式会社の概要
Contreaは、「医療にかかわる全ての人に安心を。」をミッションに、安心して医療を受けられる環境づくりに取り組んでいる会社です。医療現場は専門的な知識が必要であり、医療関係者ありきな現場であることも要因となり、人手不足への対処が簡単ではない業界です。Contreaはその現状を改善していくことを目標としています。
また、バリューを「Reach Hands、Go V Fight、Make Domino Wave」と設定しています。
「Reach Hands」個人の特性を表していて、巻き込み、自ら巻き込まれる、という双方向性の姿勢を体現しながら越境し、自分の役割を拡張していくことを表しています。
「Go V Fight」は、全員が同じ方向を向いて進むということを表していて、渡り鳥のように仲間と進んでいる、ということを念頭に置き、チームとしての成長、成功に価値を置いています。
「Make Domino Wave」は、意思決定軸や考えのコアな部分を表現していて、正解がないプロジェクトの中で、自分たちで考え、影響範囲を広げていく、という意思を表しています。
Contrea株式会社の将来展望
Contreaは、消化器疾患における患者説明動画制作事業でEAファーマ株式会社と業務提携を行い、患者エンゲージメントの向上と医療従事者の業務効率改善を目指しています。このような取り組みにより、MediOSのコンテンツ拡充とサービス向上を行っていく予定です。
資金調達:プレシリーズAで約1.4億円を調達
Contreaは、2023年11月16日にプレシリーズAの資金調達で、約1.4億円の資金調達を行ったことを発表しました。
【新規投資家】
・Coral Capital
・千葉道場ファンド
・株式会社まぁてぃヘルスケアの代表取締役である藤本修平氏
【既存投資家】
・East Ventures
今回の資金調達では、インフォームドコンセントの支援というコンセプトはこれまでと変わらずに、動画コンテンツの拡張、システム開発、営業・マーケティング体制の強化のバージョンアップを行う予定です。またContreaは今後、日本国内での事業基盤を強化するとともに、アジア太平洋地域への展開も視野に入れているため、その準備段階に入るとしています。
■代表者コメント
「今回の資金調達により、私たちのビジョンである『顧客理解の革新』に向けて、大きく前進することができます。AIの力を活用し、企業と顧客のコミュニケーションをより深く、より効果的なものにしていきたいと考えています」
会社概要
- 社名:Contrea株式会社 (コントレア)
- 所在地:
- 東京本社
- 〒160-0023東京都新宿区西新宿2丁目6-1 新宿住友ビル 18階
- 〒173-0036東京都板橋区向原3-7
- 関西拠点
- 〒530-0005大阪府大阪市北区中之島3丁目2-18 住友中之島ビル 1階
- 東京本社
- 設立:2020年1月
- 代表者:川端一広
- 事業内容:医師と患者さんをつなぐプラットフォーム『MediOS』の開発・運営
- 企業ホームページ:https://www.contrea.jp/
- 株主:Coral Capital, 千葉道場, East Ventures
まとめ
この記事では、「MediOS」という、効果的な医患コミュニケーションを可能にするサービスを提供するContrea株式会社について取り上げました。
New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。
Contrea株式会社のように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。