最終更新日 25/03/29
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地方の“遊休地”が資源に!アースボートが提案する新たなアウトドア宿泊モデル

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(引用:アースボート公式HP)

都市で暮らす人々が、自然と共にある時間を求める時代。そんな中、注目を集めているのが「Nature Escape(ネイチャーエスケープ)」という新しいアウトドア体験を提案する株式会社アースボート(以下、アースボート)です。

サウナ付きトレーラーハウス型宿泊施設「Earthboat」を核に、遊休地の活用、地域事業者との連携、さらにはポータブルサウナの制作・販売までを展開。単なるアウトドアビジネスにとどまらない、新しい宿泊インフラのかたちを描こうとしています。

本記事では、そんなアースボートの事業構造と成長戦略を、資金調達動向や施設設計の特徴を交えながら詳しくご紹介します。

事業内容:自然と都市をつなぐトレーラーハウス型アウトドア事業

2024年度グッドデザイン賞を受賞した、サウナ付きトレーラーハウス型宿泊施設「Earthboat」(引用:PR Times)

アースボートは、「自然と向き合う時間を通じて、生きている実感を取り戻す」ことをコンセプトに、都市生活者に向けたアウトドア宿泊体験を提供するスタートアップです。手軽なキャンプとも、贅沢なグランピングとも異なる、新しい自然体験「Nature Escape(ネイチャーエスケープ)」を提案しています。

その中核となるのが、サウナ付きトレーラーハウス型宿泊施設「Earthboat」です。大自然の中に設置されたキャビンで、自ら火を起こし、満天の星を眺め、自然とともに過ごす体験を通じて、現代人に“自然に溶け込む時間”を提供しています。2025年3月時点で全国7拠点31部屋を展開しており、年内には20拠点体制を目指すなど、急速に事業を拡大中です。

「Earthboat」は2025年3月時点で全国7拠点31部屋を展開中(引用:アースボート公式HP)

トレーラーハウス型宿泊施設「Earthboat」の特徴

断熱性が高く、真夏以外の季節でも快適にアウトドアを楽しめるトレーラーハウス(引用:アースボート公式HP)

Earthboatは、木材CLT(直交集成板)を使った断熱性の高い構造により、雪深い地域でも快適に過ごせるトレーラーハウスです。ベッドルームやキッチン、トイレ、シャワーを完備し、ペット同伴も可能。薪ストーブ式のプライベートサウナが標準装備されており、衣服を着たまま何度も出入りできる設計で、真夏以外の季節でも快適にアウトドアを楽しむことができます。

キャビンは土地に直接基礎を打たず、設置・撤去が容易なローインパクト仕様自然環境を壊すことなく運用できる点も特徴です。また、拠点ごとに複数台を設置する「Earthboat Village」構想も進行しており、長野県信濃町の黒姫エリアを皮切りに、地域の未活用地を有効活用した“村づくり”を全国で展開していく方針です。

土地の提供については、長野県・新潟県・関東近郊を優先エリアとしており、3,500㎡以上の広さ、首都圏からのアクセス、視界の開けた山間地や湖畔・川沿いなどの自然条件が整った場所を中心に、土地の売却・賃貸を受け付けています。

「Earthboat Village」構想が反映されている長野県信濃町の黒姫エリア(引用:アースボート公式HP)

宿泊事業以外の取り組み:制作・販売・予約・地域連携

アースボートが手掛けるポータブルサウナ「Earthboat Sauna」(引用:アースボート公式HP)

アースボートの事業は、宿泊施設の運営にとどまりません。現在、以下4つの柱で事業を展開しています。

  1. サウナ付きトレーラーハウスの制作・販売
    1. 自社で設計・製造したキャビンを他施設や個人向けに提供。四季を楽しめる自然の中で快適に過ごせる空間を提供しています
  2. 施設の運営および運営サポート
    1. 自社で土地を取得・借地したうえで直営拠点を展開するほか、土地所有者と提携して「Earthboat Village」として開発・活用しています
  3. 自社予約サイトの運営
    1. Earthboat専用の予約サイトを運営し、顧客との直接接点を持つことでブランド体験を統一。集客面でも安定した仕組みを構築しています
  4. ポータブルサウナ「Earthboat Sauna」の制作・販売
    1. 代表・吉原ゴウ氏(The SaunaやLAMPの創業者)が監修したポータブルサウナを販売。厚さ90mmの国産杉CLT材を使用した本格仕様で、断熱材を使わず木の厚みだけで高い蓄熱性を実現しています
    2. サウナストーブには、フィンランドのNarvi社製の高性能モデルを標準装備。柔らかく広がる熱と快適な換気設計により、息苦しさのない理想的なサウナ体験を実現します。さらに、教会建築に着想を得た“スリット窓”のデザインを取り入れることで、最小限の光が室内をやさしく照らし、瞑想的な空間を演出。約2m×2.9mのコンパクトな設計で、全国への配送・設置にも対応しており、個人宅や宿泊施設への導入も進んでいます。

アースボートは今後、自然と人をつなぐ宿泊体験を軸に、未活用地の再活用、アウトドア文化のアップデート、環境に配慮した建築技術の革新といったテーマを横断的に推進していきます。“自然の中で快適に過ごす”という新しい選択肢を、より多くの地域・人々に届けることが、同社の次なる挑戦です。

資金調達:2025年3月に2.5億円を調達

(引用:PR Times)

2025年3月21日、アースボートは総額2.5億円の資金調達を実施しました。出資を行ったのは、観光振興を目的とする以下の4社です。

  • ALL-JAPAN観光立国ファンド2号投資事業有限責任組合(以下3社が運営会社)
    • 八十二インベストメント株式会社
    • 第四北越キャピタルパートナーズ株式会社
    • 地域創生ソリューション株式会社
  • 株式会社ブルーインキュベーション(西武ホールディングスの連結子会社)

今回の調達により、関東圏および甲信越地域を中心とした拠点展開の加速が期待されており、直営型モデルの導入を本格化させる方針を明らかにしています。

資金調達の狙い:拠点拡大と直営モデルへの転換

アースボートは2024年に長野県と群馬県で計5拠点を開業し、2025年1月には7拠点目となる「Earthboat Minakami Hodaigi」をオープンしました。現在は2025年中に20拠点体制の構築を目標としており、その実現に向けて、フランチャイズ型から直営型への転換を進めています。

アースボートは自社で土地を取得または借地し、施設の開発から運営までを一貫して行うことで、各拠点の品質を横断的に向上させ、顧客満足度の最大化を図る方針です。すでに栃木県那須においては土地の売買契約を締結しており、「Earthboat Village Kurohime」に続く2つ目の直営拠点としての開業を予定しています。また、2025年7月には長野県白樺湖に新拠点を開業する計画も進行中です。

資金活用と今後の展望

今回の調達資金は、拠点の開発だけでなく、採用・人材育成にも活用される予定です。拠点ごとの運営体制を整備しつつ、全体として品質向上を推進することで、顧客満足度の向上を目指しています。

また、出資元との連携を通じて、地域との協働や新たな立地候補の選定も進めており、資金面とネットワークの両面から持続的な成長を後押しする体制が整いつつあるといえるでしょう。

企業概要

  • 企業名:株式会社アースボート
  • 代表者:代表取締役 吉原 ゴウ
  • 設立:2022年
  • 所在地: 〒389-1312 長野県上水内郡信濃町富濃1856
  • 公式HP:https://earthboat.jp/

まとめ

本記事では、自然と都市をつなぐトレーラーハウス型アウトドア事業を運営する株式会社アースボートについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社アースボートのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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