最近の飲食店では、スマートフォンから注文するお店が多くなっていると思います。今回紹介する株式会社ダイニー(以下、ダイニー)も、そんなモバイルオーダーサービスを手掛けるスタートアップの1つです。
しかし、同社が他の飲食関連サービスの企業と違うのは、ダイニーが飲食産業全体を支えるインフラを目指している点。単に、モバイルオーダーサービスをはじめとする*POSを提供するだけでなく、**CRMや決済面、勤怠管理、広告等まで、サービス領域が広いことが特徴です。
直近では、2024年10月3日に開始の新サービス「ダイニー勤怠」の提供を開始しています。
*POS:「Point of sales」の略。「いつ・どの商品が・どんな価格で・いくつ売れたか」単品単位で記録し、集計するシステムを指す。
**CRM:「Customer Relationship Management」の略。製品やサービスを提供する企業が、顧客との信頼関係を築き、その顧客をリピーターへと成長させ、最終的にファン化を目指す活動を指す。
本記事では、ダイニーが手掛ける広いサービスの内容や最新の資金調達等について、紹介していきます。
ダイニーの事業内容:外食産業のあらゆる課題を解決
株式会社ダイニーの事業内容は、外食産業のあらゆる課題を解決するサービスの提供です。事業領域は主に3つで、SaaS領域、Fintech領域、Media領域を手掛けています。
同社の会社紹介資料によると、サービスのコンセプトについて以下のように書かれています。
SaaSでオペレーションに入り込みリアル店舗領域をデータ化、FinTechで信用を創造しお金の流れを滑らかにした上で、Mediaで新たな接点を創り出し、収益源や楽しさを創出する
上記からもわかるように、ダイニーは単にモバイルオーダーサービスだけを提供する会社を目指していません。ここからは、同社の具体的なサービス内容について、以下に記載していきたいと思います(なお、画像の引用元は公式サイトから)。
ダイニーPOS
ダイニーのPOSシステムは、飲食店経営の基盤となるソフトウェア。メニューやテーブル、注文、会計情報を一元管理し、顧客データと組み合わせて新たな価値を提供しています。現在、数千店舗で24時間・365日稼働中です。
ダイニーモバイルオーダー
消費者がスマートフォンで注文できるモバイルオーダーシステムです。滑らかなUXにより、客単価向上や店舗の評判向上に貢献。また、オンライン顧客化を促進し、リピート率向上のための販促が可能になります。
ダイニー顧客管理
顧客の注文履歴をデータベース化し、来店頻度や好みのメニューに基づいたクーポン配信が可能。この仕組みにより、大規模な顧客管理を実現し、現代的な飲食店経営を支援。
ダイニーキャッシュレス
ダイニーPOSと連動し、モバイル決済と端末決済の両方に対応。モバイルオーダーから会計までをシームレスに繋げ、消費者に便利な決済体験を提供。
新サービス:「ダイニー勤怠」
「ダイニー勤怠」とは、2024年10月3日に開始された新サービスです。
本サービスは、飲食店のシフト・勤怠・給与・従業員満足度(ES)・従業員のスキルなどを一元管理し、飲食店のバックオフィス業務にかかる時間を削減することができます。ここでは、具体的な機能について説明していきます。
<「ダイニー勤怠」の主な機能>
①シフト機能
「ダイニー勤怠」を利用する店長は、ポジションと人数を入力するだけでシフトを生成することができます。また、そのシフトの「募集時」と「確定時」に、従業員へLINEを自動送信する便利な機能も付帯しています。
② 勤怠機能
「ダイニー勤怠」の勤怠機能では、1日の営業終了時に、人件費率を算出できます。また、店舗の目標確認、振り返り、フィードバックを効率よく行う機能もついています。
出勤時に店舗の目標を確認、退勤時に振り返り、上長からのフィードバックメッセージを送信可能で、従業員満足度(ES)の向上が期待できます。
③ 給与機能
従業員の給与を自動計算する機能もついています。また、給与が確定したタイミングで、各従業員に給与明細をLINEで自動で送信し、お知らせしてくれます。
さらに、「ダイニー勤怠」は、さまざまな機能をアップデートする予定です。具体的には、従業員満足度(ES)のアンケートや給与明細発行、従業員の給与を当日払い、前払いを可能にする機能等。
ダイニーの創業の経緯:アルバイト・インターンの経験から創業
ダイニーの創業の経緯について、会社HPを参考に、紹介していきたいと思います。
ダイニーは、山田真央氏が2018年に創業しました。山田氏は学生時代、飲食店でアルバイトをしていた経験から、業界の非効率さを痛感したそう。
これをきっかけに、飲食業界の改革を目指すようになります。また、メルカリやDeNAでのインターンシップを通して、テクノロジーが飲食業界に与える影響に可能性を見出し、飲食店向けのインフラ整備に取り組む決意を固めたと述べています。
ダイニーの資金調達:2024年にシリーズBで総額74.6億円を調達
ダイニーは、設立以来順調に資金調達を進めています。直近では、2024年9月に、シリーズBで総額74.6億円を調達。これには、海外大手VC(Bessemer Venture Partners、Hillhouse Investment Management)が参加しています。
海外大手VC2社、Bessemer(ベッセマー)、Hillhouse(ヒルハウス)にとっては、日本のスタートアップに対する初の投資となっていて、多くの投資家から注目を集めています。
以下がこれまでの資金調達の内容です。
- 2021年5月: シリーズAで累計4.8億円を調達
- 目的:採用強化とマーケティングへの積極投資です。
- 引受先:
- グロービス・キャピタル・パートナーズ(新規)
- Coral Capital(新規)
- ANRI(既存)
- 2024年9月: シリーズBで総額74.6億円を調達
- 目的:新規事業としてFinanceやHR領域への進出。飲食業界全体のインフラ構築を目指すプロダクト開発や、採用活動の強化。
- 引受先:
- Bessemer Venture Partners
- Hillhouse Investment Management
- Flight Deck Capital
- Eclectic Management
参照:飲食向けPOSを提供する日本のダイニーが約75億円調達、米中の大手VC2社が主導
ダイニーの将来展望:日本の外食産業を強みとし、海外市場を開拓へ
ここでは、ダイニーの将来展望として、会社紹介資料から抜粋した内容を紹介していきます。
- 短期目標(日本国内)
これまで東京や大阪を中心にサービスを展開してきましたが、今後は名古屋や福岡といった主要な地方都市にも進出を加速させます。圧倒的な成長速度で、日本国内の市場シェアを大幅に拡大していく予定です。
- 中期目標(東アジア)
1〜2年以内には、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インドなど東アジア地域への進出を計画しています。日本の外食産業を強みとし、広大な海外市場を開拓しながら、更なる成長を目指しているそう。
会社沿革
ダイニーの主要な出来事について、ここではまとめています。
- 2018年:ダイニー設立
- 2020年9月:POSシステムを提供開始。
- 2021年5月:シリーズA資金調達を完了。
- 2023年7月:串カツ田中全店舗へのCRM導入を達成。
- 2024年:シリーズB資金調達を実施し、新たなキャッシュレスサービスをリリース 。
会社概要
- 会社名:株式会社ダイニー
- 設立年:2018年6月
- 創業者:山田 真央
- 拠点:【東京本社】〒105-0023 東京都港区芝浦1丁目1-1 浜松町ビルディング 15F
- URL:https://about.dinii.jp/
まとめ
本記事では、外食産業のあらゆる課題を解決する株式会社ダイニーについて紹介しました。
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