誰もが宇宙で生活できる未来へ【株式会社ElevationSpace】

株式会社ElevationSpace - 創業4年目、PMF後、スケールアップ - upto4

株式会社ElevationSpace(エレベーションスペース)は、宇宙開発の新時代を切り拓く東北大学発のスタートアップです。国際宇宙ステーション(ISS)に代わる小型人工衛星「ELS-R」を開発し、宇宙環境での実験や製造を可能にする革新的なプラットフォームを提供しています。

同社は、2021年の設立以来、急速な成長を遂げ、宇宙産業の未来を形作る重要なプレイヤーとして注目を集めています。

本記事では、同社の事業内容や資金調達、将来展望等について、詳細に記載しています。

事業内容

ElevationSpaceは、人工衛星の運用と関連サービスを提供する日本のスタートアップです。主に宇宙空間での利用を目的とした技術やサービスの開発に力を入れています。

同社は、「誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにする」というミッションを掲げています。宇宙をより身近なものにし、地球上の人々に役立つ新しい可能性を広げることです。

具体的には、小型宇宙利用・回収プラットフォーム「ELS-R」の提供です。宇宙の最大の特徴である微小重力環境を活かし、科学研究だけでなく、地球では製造できない高品質な材料の製造なども行い、生活の質を向上させます。

さらに、「ELS-R」で培った技術を基に、宇宙ホテルや月面基地といった宇宙建築事業、物資や人を運ぶ宇宙輸送事業へと展開していきます。これにより、軌道上や月、火星に人々が持続的に住める未来を創ります。

宇宙環境利用・回収プラットフォームELS-R

(出典:https://elevation-space.com/els-r

ElevationSpaceの主力事業である宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」は、日本で唯一、宇宙で研究開発や製造を行い、地球に物資を回収することができるサービスです。このプラットフォームは技術実証や高品質材料の製造など、さまざまな用途に利用できます。

ElevationSpaceは、「ポストISS時代」を見据え、無重力環境を利用した実験や実証を無人の小型衛星で行い、それを地球に帰還させる「ELS-R」の提供を目指しています。「ELS-R」では、ISSを中心とした従来の宇宙環境利用で課題となっていた、打ち上げ頻度が低いことや、受注から打ち上げまでが長いことなどの問題を解消することができます。

まとめると、「ELS-R」はこれまでの宇宙環境利用の制約を打破し、より頻繁かつ迅速にデータを取得できるため、多くの企業や研究機関にとって魅力的な選択肢となります。

有人大型の地球低軌道拠点と連携する「ELS-RS」

(出典:https://elevation-space.com/els-rs

ElevationSpaceのもう1つの事業として、無人小型衛星「ELS-R」に加え、有人大型の地球低軌道拠点と連携する「ELS-RS」の開発も進めています。これにより、宇宙環境を利用した実証・実験の場をさまざまな方法で実現・提供し、宇宙市場への民間事業者の参入を促進し、日本の宇宙産業競争力の強化に貢献します。

現在、民間ロケット事業者の躍進により、ISSへの「行きの便」は増えていますが、宇宙から物資を持ち帰る「帰りの便」はまだ多くありません。ELS-RSは、この「帰りの便」を提供するサービスです。具体的には、空の再突入カプセルをISSへ輸送し、必要な時に物資を詰め込んで地球に帰還させることが可能です。これにより、高頻度でかつ実験後すぐに物資を回収することができます。

なお、「ELS-R」のコンセプト動画は、同社のYoutubeチャンネルにて参照することができます。

会社沿革:設立からわずか3年余りで、宇宙開発分野において急速な成長

(出典:https://www.canal-v.com/_ct/17672958

ElevationSpaceの主要な出来事を時系列で紹介します。

2021年2月3日:ElevationSpace株式会社設立。東北大学発のベンチャー企業として、小林稜平氏が代表取締役CEOに就任。

2021年7月:プレシードラウンドで3000万円の資金調達を実施。

2022年3月:シードラウンドで約3.1億円の資金調達を達成。JAXA(宇宙航空研究開発機構)および東北大学学際研と三者間共同研究契約を締結。

2024年7月:シリーズAラウンドで総額14億円超の資金調達を実施。

2025年(予定):「ELS-R」の初号機打ち上げを予定。

ElevationSpaceは設立からわずか3年余りで、宇宙開発分野において急速な成長を遂げています。JAXAや東北大学との連携、革新的な技術開発、そして大規模な資金調達の成功など、同社の歩みは宇宙ベンチャー企業としての躍進を示しています。

特に、2023年から2024年にかけては、技術開発の成功や大型資金調達など、重要な節目を迎えており、今後の更なる成長が期待されています。

資金調達:累計調達額約21億円達成

誰もが宇宙で生活できる世界」目指すElevationSpace、シリーズAラウンドで14億円超の資金調達を実施。累計調達額は21億円に | 株式会社 ElevationSpaceのプレスリリース
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000074085.html

ElevationSpaceは、2024年7月に大規模な資金調達を実施しました。シリーズAラウンドにおいて、Beyond Next Ventures株式会社をリード投資家とした第三者割当増資と金融機関からの融資により、総額14億円超の資金を調達しました。

この資金調達により、ElevationSpaceの2021年2月の創業以来の累計調達額は約21億円に達しています。

同社の資金調達の歴史を振り返ると、以下のような段階的な成長が見られます。

  • 2021年7月:プレシードラウンドで3000万円を調達
  • 2022年3月:シードラウンドで約3.1億円を調達
  • 2024年7月:シリーズAラウンドで14億円超を調達

また、調達した資金は、主に以下の目的で活用される予定です。

  1. 宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」の開発体制強化
  2. 宇宙から地球への帰還便「ELS-RS」事業の加速
  3. 日本の宇宙開発競争力向上を目指す「Co-Creation」事業の推進

これらの取り組みを通じて、ElevationSpaceは「誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにする」というミッションの実現を目指しています。

この資金調達の推移は、同社の事業の進展と、投資家からの信頼の高まりを反映しています。特に最新のシリーズAラウンドでの大型調達は、同社の技術と事業モデルが市場で高く評価されていることを示しています。

この資金調達により、同社の今後の技術開発や事業展開が注目されます。

将来展望

(出典:https://elevation-space.com/posts/news_20230621

株式会社ElevationSpaceは、今後も宇宙技術の発展と応用に力を入れていく予定です。

宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」の拡充

ElevationSpaceは、2025年に「ELS-R」初号機「あおば」の打ち上げを予定しています。初号機ははすでに完売しており、2026年には2号機の打ち上げも計画されています。今後も、同社は「ELS-R」の拡充をしていくことでしょう。

宇宙から地球への帰還技術の強化

「ELS-RS」事業では、宇宙から地球への帰還技術をさらに強化し、宇宙での活動をより効率的にすることを目指しています。宇宙での実験結果や製造物を迅速に地球に持ち帰るためのさらなる技術開発を行っていくことでしょう。

ElevationSpace Inc.
株式会社ElevationSpaceは、誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにすることを目指している東北大学発の宇宙スタートアップです。桒原研究室でこれまで開発してきた小型人工衛星の知見を活かし、人工衛星内で実験や製造等を行うこ...

市場規模:世界宇宙関連市場規模は、2040年までに約240兆円規模に

(出典:https://www.fipo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2024/03/%EF%BC%88HP%E6%8E%B2%E8%BC%89%E7%94%A8%EF%BC%89ElevationSpace_%E7%99%BA%E8%A1%A8%E8%B3%87%E6%96%99_0226%E6%9C%80%E7%B5%82.pdf

ElevationSpaceが関わる宇宙産業の市場は、今後ますます拡大することが予想されています。特に、宇宙関連ビジネスを行う民間企業の台頭などにより、その市場規模は加速度的に拡大しています。

2016年時点で約60兆円だった世界宇宙関連市場規模は、2040年までに約240兆円規模になると試算されています。

さらに、宇宙技術の進歩により、新しいビジネスモデルやサービスが次々と生まれてきています。これにより、ElevationSpaceはさらに多くの市場機会を見出し、成長を続けることが期待されています。

会社概要

会社名:株式会社ElevationSpace(ElevationSpace Inc.)

設立:2021年2月3日

代表:小林稜平

本社:宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1 東北大学マテリアル・イノベーション・センター401号室 青葉山ガレージ

事業内容:宇宙環境利用・回収プラットフォーム事業、宇宙輸送事業、宇宙建築事業

目次に戻る

コメント

タイトルとURLをコピーしました