QPS研究所は、高精細小型SAR衛星の打ち上げに日本で初めて成功した企業です。
小型SAR衛星によって、夜間・天候不良時の撮影や移動体の観測が可能となり、宇宙産業に大きな発展をもたらしています。
※SAR衛星とは、従来まで不可能だった夜間や天候不良時の撮影を可能にした衛星。
会社沿革:九州から日本最高レベルの宇宙技術を目指す
QPS研究所は2005年に、九州大学の小型衛星研究・開発をベースにして創設されました。
2009年に同社の”QSAT-EOSプロジェクト”が、文科省超小型衛星開発事業に採択されたのを皮切りに、宇宙技術の発展に大きく貢献しています。
中でも、QPS研究所は“小型SAR衛星”の打ち上げに幾度も成功し、2021年には日本で最高精細の分解能70cmの画像を取得、2022年に内閣総理大臣賞を受賞しました。
現在は、6度目の“小型SAR衛星”の打ち上げ・最高分解能46cmの画像の取得に成功するなど、小型衛星の研究・開発にさらに尽力しています。
※QSAT-EOSプロジェクト:九州大学が中心となり開発してきた小型衛星QSAT-EOSを打ち上げ、災害観測などを主ミッションとしたプロジェクト
事業内容:夜間・天候不良時でも撮影可能な人工衛星の開発
QPS研究所は、従来の光学センサー技術が課題としてきた、夜間・天候不良時の撮影に挑戦しています。また、同社は、常に観測地点の上空を飛べる人工衛星を目指し、コストと労力を抑える技術の開発に取り組んできました。
世界トップレベルの高精細小型SAR衛星
従来の小型衛星のほとんどは、光を用いて撮影するため夜間・天候不良時の撮影が不可能です。
一方、QPS研究所が開発した高精細小型SAR衛星は、レーダーから発射された電波情報をもとに画像を生成するため、夜間や天候不良時に関係なく撮影ができます。
また、小型SAR衛星の収納性は高く軽量であるため、今までの衛星の20分の1の質量・100分の1のコストで運用が可能です。小型SAR衛星という従来の常識を覆す小型衛星は、QPS研究所の技術が世界トップレベルであることを裏付けています。
地球上のすべてのものを撮影
QPS研究所が開発した小型SAR衛星を用いることで、土地や建物など静止しているものだけでなく、人や車など動いているものもデータとして得ることが可能になりました。
人や車など移動体のデータを活用することで、新しい経済価値の発見や安全な街づくりへの貢献が期待されています。さらに、気象データや市場データ・経済データとの組み合わせにより、国レベルでの将来予測が可能です。
小型SAR衛星が取得した”リアルなデータ”には無限の可能性が秘められており、QPS研究所は先進の未来のために、さらなる運用方法を検討しています。
資金調達:36機のSAR衛星打ち上げに向けて総額142億円を調達
QPS研究所は、2025年を目標に小型SAR衛星を36機打ち上げることを計画しています。
2023年12月に東京証券取引所グロース市場への新規上場を果たし、小型SAR衛星を用いたビジネスモデルの拡大や、技術開発とインフラ構築の推進などに尽力していく予定です。
他にもQPS研究所は過去に、2017年Series Aグラウンドで九州最大規模となる総合23.5億円を調達したことや、2021年にシリーズBファーストクローズとして総額38.5億円を調達したこともあります。
市場規模:SAR衛星は年間10%の成長率が期待されている
宇宙業界における衛星市場は年間約5%の成長が見込まれており、とくに小型SAR衛星は10%以上の高い成長率が予想されている市場です。また、衛星の画像データだけでなく、データを解析する市場や衛星自体の市場も、拡大が期待されています。
また、小型SAR衛星があれば、幅広い地域での天候予測や国家間の情報収集が可能です。幅広い業界での活用が期待されているため、成長はこれからも続くといえます。
将来展望:衛星を通じて人々の暮らしを支える
QPS研究所は衛星から地球を見ることで、人々の暮らしをより安全に豊かにすることを目指しています。また、同社は九州で受け継がれてきた宇宙技術を伝承し、世界でもまだ例のない衛星の開発に勤しんできました。
今後、QPS研究所は、独自の小型SAR衛星を36機打ち上げ、地球上をリアルタイムで観測することを目標に掲げています。QPS研究所は、北九州地方を中心としたパートナー企業とともに、宇宙産業の発展に大きく貢献するでしょう。