「Impossible foods(インポッシブル フーズ)」は代替肉を取り扱うスタートアップ企業です。スタンフォード大学の生化学者パトリック・ブラウン博士が、2011年に設立しました。同社の事業は植物由来の原料から肉の風味や食感を再現した、代替肉製品の開発・販売です。
本記事では、代替肉製造の先駆者として注目度の高い、アメリカのスタートアップである同社を紹介します。具体的には、どのような製品なのか・どのように代替肉を製造しているのか・非代替肉との違いなどを解説しています。また、代替肉市場の規模についても触れています。
まるで牛肉!代替肉バーガー「Impossible Beef Meat From Plants」
「Impossible foods(インポッシブル フーズ)」は、2016年に最初の製品となる「Impossible Beef Meat From Plants」(当時は「Impossible Burger」)を発売しました。
バーガーに使われる代替肉である「Impossible Beef(インポッシブル ビーフ)」は植物由来の製品です。「Impossible Beef」は、栄養価の高い植物性の代替肉として注目されています。2016年にニューヨークのレストランで初めて提供され、現在は米国やマカオ、香港の5,000以上の飲食店で販売されています。
「Impossible Beef」は、牛肉と比べて、食感と栄養面で特徴があります。
まず食感について、ヘムという肉の風味成分を含むため、ジューシーで肉らしい食感が特徴となっています。
次に栄養面について、タンパク質は大豆由来で、4オンス(約113g)あたり19gと、牛肉と同程度の含有量です。また、コレステロールが0mgと低く、鉄分は1日の推奨量の25%を含んでいます。加えて、抗生物質や動物ホルモンは一切使用されていません。
このように、「Impossible Beef」は、植物性の代替肉でありながら、栄養価が高く牛肉に近い味わいが魅力の製品です。
2023年7月4日現在、米国には56,801店舗があります。その中でも、カリフォルニア州が最も店舗数が多く、8,000店舗にのぼります。
資金調達:15億ドル以上の資金を調達
「Impossible Foods」は、2021年に、既存の株主である「Mirae Asset Global Investments」による、約5億ドルの資金調達を完了しました。
また、「PitchBook」によると、同社は、大手ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家・著名な富裕層から、13億7000万ドル以上の株式資金を含む15億ドル以上の資金を調達したと推定されています。
この資金調達によって、同社は2011年の設立以来、米国で最も評価されている代替肉のスタートアップとなりました。創業者のブラウン博士は上場(IPO)を視野に入れているとの発言もあります。
この資金調達は、代替肉に対する、投資家の関心の高まりを反映しているといえます。
Impossible Foods is one of the world’s leading plant-based meat companies, having raised over $1.5bn.
https://www.seedrs.com/impossiblefoods
代替肉の市場規模:代替肉の市場規模は2035年までに5兆円まで拡大
株式会社矢野経済研究所は、国内外における代替タンパク質(植物由来肉・植物由来シーフード、培養肉・培養シーフード・昆虫タンパク)について、市場調査の結果を発表しました。 同リサーチによると、2022年の代替タンパク質の世界市場規模は、メーカー出荷金額ベースで、約6400億円(推計)でした。
世界の人口増加に伴い、食肉需要は今後も増加すると見込まれています。しかし従来の畜産業は、温室効果ガスの排出や飼料・水資源の大量消費など、地球環境に多大な影響を与えています。将来的に畜産だけでは需要を満たせなくなる可能性があります。
そこで注目されているのが、代替肉・代替タンパク質です。豆類や野菜を原料とした植物由来肉、動物細胞から培養した培養肉、さらには昆虫タンパク質などが開発されています。
こうした需要が増加している中、2027年の代替肉・代替タンパク質の世界市場規模は、約1兆7220億円に到達すると予想されています。また、その後も拡大傾向は変わらず、2035年には約4兆円以上になるものと見込まれます。
代替タンパク質 (植物由来肉、植物由来シーフード、培養肉、培養シーフード、昆虫タンパク)世界市場に関する調査を実施(2023年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3325
代替肉ジャーニー:「Impossible Foods」の会社沿革
「Impossible foods(インポッシブル フーズ)」は、スタンフォード大学の生化学者パトリック・ブラウン博士が2011年に設立しました。
2016年に最初の製品となる「Impossible Beef Meat From Plants」(当時は「Impossible Burger」)を発売しました。
2019年には、米国を中心に約17,000以上の直営店を展開しています。 2023年には、約1,000以上の食料品店での販売に成功しています。
会社概要
Impossible foods
設立年月日:2011年7月16日
CEO:Peter McGuinness
従業員数:750