2012年、東京大学大学院在学中にGunosyを立ち上げた福島良典氏がCEOを務めるLayerXを紹介します。
「LayerXってどんな企業?」「LayerXはブロックチェーンの会社?」「コンパウンドスタートアップって?」など、LayerXについて気になっている人も多いでしょう。
そこで本記事では、LayerXの会社概要や事業内容、沿革などを紹介し、LayerXが挑戦するコンパウンドスタートアップについても解説します。
LayerXとは
LayerXは「すべての経済活動を、デジタル化する。」をミッションとし、2018年8月に福島良典氏が設立した企業です。現在は、法人支出管理SaaSのバクラクを中心に、Fintech事業、AI・LLM事業を運営しています。
LayerXの企業沿革
LayerXは設立当初、ブロックチェーン事業を行なっていましたが、2021年の8月に福島氏が法人支出管理SaaS事業へのピボットを宣言し話題となりました。
ブロックチェーン事業からバクラクへのピボット
福島氏は当時トレンドであったブロックチェーンにビジネスチャンスを感じ、Gunosyの新規事業として金融機関向けの事業を始め、MBOという形でLayerXを起業しました。ブロックチェーン技術を用いて企業のDXを支援するコンサルティングやシステム開発をしており、ある程度の売上も立っていた一方で、限界も感じていたそうです。
福島氏が感じたと語る限界を3つ紹介します。
- ブロックチェーンの特性を活かすためには、複数社が一つのシステムに乗る必要があり、日本中の地方銀行とメガバンクが全て乗る銀行の決済ネットワークをつくるといった規模感となる。
- 日本では、依然として紙や印鑑、FAXなどでの取引が多く、ブロックチェーン技術が企業間の取引に利用されるための基盤である経済活動全般のDXが進んでいない。
- ブロックチェーンコンサルという売上軸では、不況に弱く、将来性が危うい。
以上の理由から、福島氏は30名ほどの従業員たちを説得し、ブロックチェーン事業から撤退しました。そして、同事業での学びを活かしてソフトウェアを開発しようと、地方銀行とのプロジェクトの中で出てきたアイデアを原型に、バクラクが構想されました。
LayerXの事業内容「バクラク」
バクラクでは、法人支出データの部署間での連携の悪さから起こる課題を、法人支出データを中心としたサービス群で一本化することで解決します。また、AIでの入力補助により、現場のユーザーの業務が削減されます。
LayerXが挑戦するコンパウンドスタートアップとは
従来のSaaSは部署の機能ごとに最適化されたものが多く、企業は単一の機能に最適化されたSaaSを複数の提供元から導入していたため、各SaaSに入力したデータ同士の連携性の悪さが課題となっていました。コンパウンドスタートアップでは1社がデータを中心としたプロダクト群を提供することで、部署間でのデータの連携をシームレス化します。LayerXのバクラクは、法人支出データを中心とするコンパウンドスタートアップです。
バクラクのマネタイズモデル
バクラクでは、「バクラク経費計算」「バクラク申請」「バクラク請求書受取」「バクラク請求書発行」「バクラク電子帳簿保存」の5つのSaaSの年間契約による使用料(各SaaSは個別の導入が可能)と、「バクラクビジネスカード」利用時の決済収益の2軸でマネタイズを行なっています。
LayerXの資金調達と事業成長
2020年5月の30億円はブロックチェーン事業を運営していた時の調達で、ピボット後、2023年2月にはシリーズAの累計調達額は101.8億円となりました。2021年1月にサービスを開始したバクラクシリーズの累計導入社数は、2024年2月には10000社を突破しました。
LayerXの将来展望
DXはデータの入力先が変わっただけで現場の業務量は変わっておらず、一部の現場の人に苦手意識を感じさせました。しかし福島氏は、AX(AI Transformation)は実際に現場の業務を無くし、AIを意識させないような体験を作り出すことができると考えています。そこでLayerXは、AIを意識させないAI-UX*を追求し、AXを推進することで日本の労働生産性に革命を起こすことを目指しています。
AI-UX*:AIもAI以外のあらゆる手段を総動員して作り出す「AIを前提とした理想のUX」