Songtradrは2015年にPaul Wiltshire氏によって設立された、音楽ライセンス市場のリーディングカンパニーだ。
同社は世界最大の音楽ライセンスプラットフォームを運営しており、音楽クリエイターが自分の作品を簡単に有償提供(ライセンシング)できる環境を用意している。他にもSongtradrの音楽を利用しているブランドや企業が、そのマーケティング効果を検証することができるよう「分析機能」を搭載するなど、機能は盛りだくさんだ。
本記事では音楽クリエイターから企業まで、幅広いユーザーに対して、包括的な音楽ソリューションを提供しているSongtradrについて紹介する。
事業内容:音楽ライセンスプラットフォームを運営
Songtradrは、世界最大の音楽ライセンスプラットフォームを運営している。音楽クリエイターが作成した楽曲を、ストリーマーや広告会社など、さまざまなプレイヤーに提供することで、利用料を稼いでいるのだ。
なお企業に対してはコンサルティングサービスも提供しており、オリジナルの楽曲制作や、マーケティングにおける音楽のROI分析など、その支援は多岐に渡る。
特徴①:多種多様な音楽のライセンスを提供
Songtradrの主要な事業は、音楽ライセンスの提供だ。
音楽クリエイターはプラットフォームを通じて自分の楽曲をアップロードし、映画やテレビ、広告など、さまざまなメディアと自由にライセンス契約を結ぶことができる。世界中のさまざまなプレイヤーに自分の音楽を届けることができるので、多くの収益機会を得ることが可能だ。
またSongtradrはライセンス契約の詳細を明確にし、クリエイターがどのような条件で報酬を得られるかを明らかにしている。この透明性の高さから、多くのクリエイターが安心して利用しているそうだ。
特徴②:AIで音楽データを管理・最適化
Songtradrは、AI技術を活用して音楽のメタデータを管理・最適化するサービスを提供している。同サービスは2022年に買収したMusicubeによるもので、音楽の自動タグ付けやメタデータが強化されたため、楽曲を効率的に管理・検索することが可能だ。
特徴③:音楽の効果についてデータ分析が可能
Songtradrは、音楽の利用状況やリスニングデータを分析し、ブランドや企業が音楽を効率的に使えるようインサイトを提供してくれる。たとえば再生回数や視聴時間、リスナーの反応といったリスニングデータを収集することが可能だ。
そのため「狙いたい顧客層に対してどの音楽が最も効果的か」「どの音楽スタイル・ジャンルがブランドイメージと合致するか」など、マーケティングに有益な情報を得ることができる。
特徴④:ライブストリーミング向け音楽を提供
Songtradrはライブストリーマー向けに、*DMCA対応の音楽を提供するサービスを展開している。Pretzelを買収したことで、本サービスはさらに改善され、TwitchやYouTubeでも合法的に音楽を使用できる環境が整ってきたそうだ。
昨今TwitchやYouTubeが人気を集め配信が増える中、BGMとして音楽が利用される場面も多い。同社がライブストリーミング向けに音楽を用意しているのは大きな強みと言えるだろう。
*DMCA:Digital Millennium Copyright Act の略。「デジタルミレニアム著作権法」のことを意味し、Web上のあらゆる著作物に対するアメリカの法律。
特徴⑤:カスタマイズされた音楽ソリューションを提供
Songtradrはブランドや広告代理店、スタジオなど、企業向けにカスタマイズされた音楽ソリューションを提供している。
1.戦略的音楽ブランディング: ブランドのイメージに合った音楽を選定し、戦略的に活用するための支援 2.オリジナル音楽制作: 特定のプロジェクトやキャンペーンに合わせたオリジナル楽曲の作成 3.音楽管理: ライセンスの管理やメタデータの最適化、使用状況の追跡など、音楽の全般的な管理をサポート |
本サービスはMassiveMusicを2021年に買収したことがきっかけだ。MassiveMusicはブランド向けの音楽ソリューションを提供する世界的な音楽エージェンシーであり、NikeやHeineken、Appleなど大手ブランドと協力している。
資金調達:シリーズDラウンドでは5000万ドルを獲得
Songtradrは設立以来、複数回にわたり資金調達を行い、その合計額は約1億ドルにまでのぼっている。
<シリーズAラウンド(2018年)>
- 金額:400万ドル
- 目的:音楽ライセンスプラットフォームの拡張・技術開発
- 主な投資家:不明
<シリーズBラウンド(2019年)>
- 金額:1200万ドル
- 目的:技術インフラの強化・グローバル展開の加速
- 主な投資家:不明
<シリーズCラウンド(2021年)>
- 金額:3000万ドル
- 目的:グローバルな事業展開・既存サービスの拡張・企業買収
- 主な投資家:不明
<シリーズDラウンド(2021年)>
- 金額:5000万ドル
- 目的:B2B音楽ライセンス市場での地位強化・MassiveMusicなどの戦略的買収
- 主な投資家:Aware Super、Regal Partners、Argo Investments、Perennial Partners
音楽の市場規模:2023年に286億ドルまで成長
世界の音楽市場は急速に成長しており、デジタル化とストリーミングサービスの普及により、その規模は拡大中だ。音楽業界を代表する団体「IFPI」(国際レコード産業連盟)によれば、2023年の音楽市場の売上高は前年比10.2%増加し、286億ドルに達したそう。この成長は、音楽ライセンス、ストリーミング、ライブイベントなど、さまざまな収益源による。
音楽ライセンス市場においては、企業やブランドが音楽を利用してマーケティング効果を最大化しようとする需要が高まっており、Songtradrのようなプラットフォームの重要性が増しているそうだ。特に映画やテレビ、広告、ゲームなど、メディアでの音楽使用が増加しており、この分野での成長が期待されている。
会社概要
会社名:Songtradr Inc.
代表取締役:Paul Wiltshire
設立:2014年
所在地:Santa Monica, California
公式HP:https://www.songtradr.com/
まとめ
本記事では、世界最大の音楽ライセンスプラットフォームを運営するSongtradrについて紹介した。
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