【World Labs】AIに空間知能を搭載!設立4ヶ月で約1億ドルを調達しユニコーンに

近年、人工知能(AI)は目覚ましい発達を遂げており、私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらしている。

その1つが、大規模言語モデル(LLM)の登場だ。OpenAIが手がけるChatGPTは、「ユーザーが入力したテキストにAIが返答をする」というシンプルな機能にも関わらず、その革新的な性能からわずか2ヶ月で利用者1億人を突破した。GoogleやAmazonといった世界の有名企業も、LLMの自社開発に向けて多額の投資を行っており、現在最も競争の激しい領域といえるだろう。

しかし、AIの性能がいまだ人間に追いついていないのも事実だ。人間のように高い推論能力を持っておらず、その処理にはまだまだ限界があるため、今後の成長が期待されている。

さて、ここで注目したいのが、Fei-Fei Li (李飛飛) 氏が創業した「World Labs」だ。同社はAIに視覚データを通じた強力な推論能力を与えることで、これまでのAIとは一線を画した知性を実現しようとしている。

アメリカの投資家たちが注目するスタートアップ「World Labs」について紹介しよう。

World Labsとは:空間知能を開発するスタートアップ

引用:https://www.ted.com/talks/fei_fei_li_with_spatial_intelligence_ai_will_understand_the_real_world

そもそもWorld Labsとは、「AIのゴッドマザー」と呼ばれるFei-Fei Li氏が設立したスタートアップだ。彼女は勤務していたスタンフォード大学から2年間のサバティカル(研究休暇)を取り、その間にWorld Labsを設立した。

World Labsが設立された目的は、空間知能(Spatial Intelligence)の開発だ。「AIが人間のように目で見て判断する技術」を開発することで、さまざまな分野にイノベーションを起こそうとしているのである。

空間知能とは:視覚情報をもとに状況を把握・判断・行動できる能力

引用:https://www.ted.com/talks/fei_fei_li_with_spatial_intelligence_ai_will_understand_the_real_world

Fei-Fei Li氏によると、空間知能とは「視覚データを処理し、予測を立て、その予測をもとに行動する能力」とのこと。

2024年4月にバンクーバーで開催された「TED」にて、彼女は空間知能の概念を説明するために、テーブルからコップを押し出そうとしている猫の写真(上図)を見せた。

人間はこの写真から猫やコップ、テーブルの位置関係を把握し、この後何が起きるのかを予測することで、どんな行動を取るべきか即座に判断することができると説明。

この「視覚情報をもとに状況把握・予測・行動できる能力」をAIに搭載できるはずだ、と彼女は主張している。

World Labsの目指す未来:空間知能を持ったAIによる革命

引用:https://www.ted.com/talks/fei_fei_li_with_spatial_intelligence_ai_will_understand_the_real_world

Fei-Fei Li氏は、カンブリア紀の爆発を例にとり、視覚の出現が動物にとって最も大きな進化を引き起こしたと説明したうえで、空間知能をAIに搭載することでデジタル領域に革命を起こせるはずだと主張。

また空間知能を持ったAIにより、機械同士だけでなく、人間や現実世界ともやり取りできるようになるだろうと語った。

しかし、「このワクワクする未来を実現するのは簡単ではない」と心のうちも明かす。これからも研究室の仲間たちと、人間を真ん中に据えて技術開発を進めていく必要があると説明した。実際に空間知能技術の開発は進んでいるらしく、スピーチでは3つの研究結果を公開してくれた。

1枚目:平面の写真1枚から3Dモデルを作成するアルゴリズムの開発
2枚目:口頭での指示をもとにロボットアームがサンドイッチを作っている様子
3枚目:臨床医が手を適切に洗ったか、手術器具がどこにあるかを自動検知

World Labsの評価:わずか4ヶ月で評価額10億ドル以上に

引用:https://www.ft.com/content/0b210299-4659-4055-8d81-5a493e85432f

世界的なメディアであるThe Financial Timesによると、World Labsは今年4月の設立以来、2回の資金調達を達成したという。

最新のラウンドにて、Andreessen Horowitz・Radical Venturesといった、有名VCから約1億ドルを調達したそうだ。また、この時に評価額が10億ドルを超えたそうで、設立から4ヶ月足らずでユニコーン企業の仲間入りを果たした。

Fei-Fei Li氏の経歴

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%AA

World Labsを立ち上げたFei-Fei Li氏は、北京で生まれアメリカで育った、著名なコンピュータ学者だ。

彼女は画像データベース「ImageNet」の創設を主導し、機械学習(ML)・深層学習(DL)の発展に大きく貢献した。またGoogleのチーフサイエンティスト、X(旧Twitter)の取締役、アメリカ政府のAIタスクフォースのアドバイザーなど、重要なポストを務めた過去をもつ。

最近はスタンフォード大学にてAIの研究に努めており、現在は2年間のサバティカル(研究休暇)を取得している。

【Fei-Fei Li氏の経歴】

  • 2006-2009年:プリンストン大学 助教授
  • 2009-現在:スタンフォード大学 教授
  • 2017-2018年10月:Google AI/ML チーフサイエンティスト
  • 2020年5月-現在:X(旧Twitter) 取締役
  • 2021-2022年:AIタスクフォース 着任

まとめ

本記事では、AIに空間知能を搭載すべく研究を行うWorld Labsについて紹介した。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介している。

World Labsのように、国内外の面白い企業についてまとめているため、関連記事もご覧いただきたい。

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