最終更新日 24/09/24
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【株式会社Penetrator】すごベン100に選出!JAXA発の宇宙×不動産スタートアップ

AI不動産宇宙
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引用:https://pntwhere.com/

株式会社Penetrator(以下、Penetrator)は、宇宙から不動産の課題を解決することをビジョンに掲げているJAXA発のスタートアップです。

同社はAIと衛星データを活用し、不動産取引に必要な情報を瞬時に収集することができるSaaS「WHERE」を提供しています。

本記事では、「WHERE」の具体的なサービス内容や創業の経緯、最新の会社沿革を紹介します。

Penetratorの事業内容:宇宙関連技術を不動産や防災に応用

Penetratorの主な事業内容は、衛星データをAI(画像解析)の技術で、世界中どこでも不動産取引につながる情報を瞬時に収集できるサービス「WHERE」の提供です。さらに、「土砂災害時緊急観測システム」の開発も行なっています。

以下では「WHERE」と「土砂災害時緊急観測システム」の詳細な説明をしていきます。

宇宙から見つける不動産取引「WHERE」

(出典:https://pntwhere.com/service-where

「WHERE」は、宇宙から撮影された衛星画像から、利用者が求める土地の候補地をAIが特定し、その土地の所有者などの登記情報も合わせて提示するSaaSです。

同サービスの最大の特徴は、衛星データとAIの活用にあります。従来であれば、現地に赴いて確認しなければならなかった不動産情報を、衛星データとAI技術の組み合わせで自動的に識別することが可能になっています。

具体的に、不動産情報の収集方法を比較すると、いかに「WHERE」が便利なサービスがわかります。

従来

  1. 地図(紙面)で確認
  2. 現地に赴いて調査
  3. 法務局へ所有者を確認

「WHERE」

  1. 上空からの衛生画像を確認
  2. 該当箇所をクリック
  3. 登記情報システムから確認

さらに、「WHERE」のメリットは、容易に不動産情報を確認することができるだけではありません。
同サービスは、不動産取引等のビジネスシーンで真価を発揮します。

従来の不動産取引では、受託の情報の多くを人脈に頼っていました。一方、「WHERE」のシステムは、受託業務を自動化することに成功しています。これにより、従来のアナログ的なやり方から脱却し、必要なタイミングで適切な営業が可能になります。

宇宙探査機の技術で自然を監視「土砂災害時緊急観測システム」

(出典:https://pntwhere.com/service-penetrator

同社は「WHERE」だけでなく、宇宙探査機を用いた土砂災害時緊急観測システムの開発も行なっています。

具体的には、JAXAの「ペネトレータ技術*」を応用し、土砂災害現場で即座に地盤変位を計測できる「土砂災害時緊急観測システム」を開発。このシステムを活用して、人が立ち入ることのできない崩落斜面にペネトレータを打ち込みます。ペネトレータには、測位計や傾斜計、地震計などが搭載されており、これにより崩落範囲内の地盤変位を高精度に観測することが可能です。

このペネトレータ技術の応用により、これまで困難だった土砂災害の迅速かつ安全な観測が可能となり、今後の防災対策に大きな貢献をすることが期待できるでしょう。

*「ペネトレータ技術」は、もともとJAXAによる月探査ミッションLUNAR-Aのプロジェクトで開発された、惑星の表面に高速で貫入し、観測データを収集するためのシステム。

Penetratorの創業経緯:現CTOである今川氏との出会い

JAXA発 宇宙から不動産を見つける(株)Penetrator、IVS2024 LAUNCHPAD KYOTOで5位に入賞 |  株式会社Penetratorのプレスリリース
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000146022.html

Penetratorの創業者は、阿久津岳生(あくつたけお)氏です。ここでは、彼がどういった経緯で同社を創業したのかを詳しく紹介していきます。

阿久津氏は、不動産業界で複数の企業を経営し、売上10億円を超える成功を収めていました。しかし、地域に限定された不動産ビジネスに限界を感じ、より広い視野を持つ必要性を強く感じていました。

「世界を変えたいという目標を実現するには、さらに高い視点、つまり宇宙からの視座が必要だと考えました。」と阿久津氏は述べています。そこで彼は、宇宙に関する知識を深めるため、JAXA宇宙科学研究所内の「総合研究大学院大学」に進学しました

その際に出会ったのが、現在Penetratorの技術責任者を務める今川氏です。今川氏は、月のクレーターを衛星画像とAIで解析する研究を行っていました。阿久津氏は、月ではなく、地球の衛星画像から駐車場や空き地を見つけられるシステムの開発を、今川氏に依頼したそう。

今川氏が開発したプロトタイプは、実際に衛星データとAIを駆使し、世界中の空き地や駐車場を特定することに成功しました。この成果を目にした阿久津氏は、これを事業化する確信を持ち、2022年に株式会社Penetratorを設立。「WHERE」の開発に本格的に取り組み始めたのです。

参考→衛星データ×不動産 JAXA発スタートアップが目指す「土地の仕入れ」の新たな形

Penetratorの資金調達:東大IPCから出資

Penetratorは、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)から出資を受けたことを公表しています。しかし、具体的な出資額やその他の資金調達に関する詳細な情報は、現時点では公開されていません。

参考→株式会社Penetratorへの出資を決定

会社概要

  • 会社名: 株式会社Penetrator
  • 設立年: 2022年2月22日
  • 創業者: 阿久津岳生
  • 拠点: 東京都文京区向丘2-3-10 303
  • URL: https://pntwhere.com

まとめ

本記事では、宇宙から不動産の課題を解決することをビジョンに掲げているJAXA発のスタートアップである、株式会社Penetratorについて紹介しました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

株式会社Penetratorのように、国内外の面白い企業についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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