株式会社UPSIDERは、法人向け金融サービスを提供する企業です。効率的な資金管理や業務プロセスの最適化をサポートする独自のソリューションを展開しており、スタートアップや成長企業から高い評価を得ています。
本記事では、株式会社UPSIDERの事業内容や資金調達、創業の背景などについて詳しく解説します。
事業内容:法人向け金融サービスで成長企業をサポート
株式会社UPSIDERは、企業の資金管理や業務効率化を支えるさまざまな金融ソリューションを提供しています。代表的なサービスは、法人カード「UPSIDER」・請求書カード払いサービス「支払い.com」・ AIチャット型業務効率化ツール「UPSIDER Coworker」・ベンチャーデットファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」の4つです。
中でも主力サービスである、法人カード「UPSIDER」から説明していきます。
1. 法人カード「UPSIDER」
法人カード「UPSIDER」は、スタートアップ特有のニーズに応えるべく設計された法人クレジットカードです。以下に、「UPSIDER」の主な特徴とメリットを詳しく解説します。
<人気の理由>
法人カード「UPSIDER」には、多くの特徴がありますが、中でも高い利用限度額・リアルタイムの明細反映・利用先制限機能・電子帳簿保存法・インボイス制度対応・迅速な与信審査などの特徴が好まれている理由です。
- 高い利用限度額:
最大10億円の利用限度額を設定可能。大規模なプロジェクトや成長企業の資金運用に柔軟に対応します。 - リアルタイムの明細反映:
決済データが即時反映され、主要な会計ソフトともスムーズに連携。経費管理の透明性と効率性を実現します。 - 追加カードの柔軟な発行:
無制限の追加カード発行が可能で、部門やプロジェクトごとの利用状況を個別に管理。社員ごとの支出も細かく把握できます。 - 利用先制限機能:
支払い可能なサービスや店舗を事前設定することで、不正利用や誤使用を防止。企業資産を守る高いセキュリティを提供します。 - 電子帳簿保存法・インボイス制度対応:
電子帳簿保存や適格請求書対応が可能で、最新の法令遵守を支援します。 - 迅速な与信審査:
従来の法人カードに比べ、審査が迅速で書類も少ないため、設立間もない企業や中小規模法人の導入がスムーズです。
2. 請求書カード払いサービス「支払い.com」
「支払い.com」は企業や個人事業主が銀行振込や請求書の支払いをクレジットカードで決済できるサービスです。これにより、支払い期日を最長60日延長することが可能となり、資金繰りの改善が可能。
<主な特徴>
- 手数料: 一律4%の手数料で利用可能です。
- 審査・書類提出: 面倒な審査や書類提出は不要で、クレジットカードさえあれば利用できます。
- 支払い延長期間: クレジットカードの引き落とし日まで、支払いを最長60日先延ばしにできます。
- オンライン完結: 全ての手続きがオンラインで完結し、最短60秒で決済が完了します。
3. AIチャット型業務効率化ツール「UPSIDER Coworker」
「UPSIDER Coworker」は、株式会社UPSIDERが提供するAIチャット型の業務効率化ツールです。
<主な特徴>
- チャットツールとの連携: SlackやMicrosoft Teamsなどのコミュニケーションツールと連携し、ユーザーはこれらのプラットフォーム上で業務指示を行うことができます。
- 業務の自動化: カードの発行、ロック/アンロック、利用先制限の設定など、UPSIDERのカードに関するさまざまな業務をAIと人が自動化します。
- 外部ツールとの統合: freee会計、クラウドサイン、Google Workspace、Salesforceなどの外部ツールと連携し、契約書の締結、稟議承認、支払いなどのアクションをチャット上で完結できます。
- AIによる業務支援: AIが企業の申請ルールや組織図を学習し、従業員の役割に応じたリマインドやデータの突合などを代行します。
4. ベンチャーデットファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」
「UPSIDER BLUE DREAM Fund」は、株式会社UPSIDERとみずほフィナンシャルグループが共同で設立した、グロースステージのスタートアップ企業向けのデットファンドです。
<サービスの概要>
- 目的: スタートアップ企業が積極的な成長投資を継続し、その潜在能力を最大限に引き出すことを支援することを目的としています。
- 特徴:
- 迅速な審査・実行: 最短でタームシート提示まで60時間、融資実行まで1週間というスピーディな審査プロセスを提供します。
- 柔軟な評価基準: 足元の損益よりも、成長性とキャッシュフローを重視した評価を行い、IPOやM&Aなどの出口戦略に依存しない関係を築きます。
- 協調的な支援: ベンチャーキャピタルや銀行など、他の資金提供者と連携し、スタートアップ企業を総合的にサポートします。
資金調達:累計資金調達額600億円越えでIPOも視野か
<2021年>
- 調達額:約38億円(シリーズBラウンドのエクステンション)
- 引受先:
- リード投資家:WiL
- 海外投資家:Greenoaks Capital
- 既存投資家:Global Brain
- 融資枠追加:三菱UFJ銀行などから追加融資枠を確保
- 用途:法人カード「UPSIDER」の機能拡充とサービス基盤の強化
<2022年>
- 調達額:467億円(デットファイナンスによる資金調達)
- 融資元:大手金融機関4社
- 実績:
- 利用社数:5,000社超
- 累計決済規模:500億円超
- 用途:法人カード「UPSIDER」と「支払い.com」の拡大
<2024年>
- 調達額:総額154億円(シリーズDラウンド)
- エクイティ:55億円
- 累積デット調達:99億円
- 引受先:
- リード投資家:グローバル・ブレイン、テンセント
- 出資企業:日本航空、SuMi TRUSTイノベーションファンド ほか
- 用途:
- 既存事業の拡大
- 新規事業の開発
- 法人カードおよび関連サービスの市場拡大
創業経緯:挑戦者を支える金融サービスを目指して
株式会社UPSIDERは、2018年5月に宮城徹氏と水野智規氏によって設立されました。
宮城氏は、東京大学を卒業後、宮城氏はマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京支社での仕事を経て、ロンドン支社へ。そこでは欧州を中心に広がり始めていた「オープンバンキング」や「フィンテック」の可能性を目の当たりにします。金融がテクノロジーと融合し、人々の生活やビジネスを劇的に変える様子に感銘を受け、「この流れを日本にも」という思いが強まっていきました。
ロンドンでの滞在中、宮城氏は未来を共に描けるパートナーと出会います。それが水野智規氏でした。二人は「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」というビジョンを掲げ、2018年、株式会社UPSIDERを創業。創業後、法人カード「UPSIDER」や請求書カード払いサービス「支払い.com」を次々と展開しています。
創業者プロフィール
- 宮城 徹(代表取締役):東京大学卒業後、2014年に「マッキンゼー・アンド・カンパニー」へ新卒入社。東京支社・ロンドン支社にて、大手金融機関の全社変革プロジェクトに携わる。2018年、共同代表取締役の水野智規氏とともに株式会社UPSIDERを共同創業。
- 水野 智規(代表取締役):ABeam Consultingに新卒で入社。金融機関の業務システムフルリプレースの案件に従事。その後、株式会社ユーザベースに入社。NewsPicksの立ち上げや、グループ全体のマーケティング部門を牽引した後、独立。2018年に代表取締役CEOの宮城と株式会社UPSIDERを共同創業。
参考:https://saisonnews.creditsaison.jp/n/nf274a2408317
会社沿革:サービス拡充と成長の軌跡
- 2018年5月:株式会社UPSIDER設立。
- 2020年:法人カード「UPSIDER」をリリース。
- 2022年4月:「支払い.com」をリリース。
- 2023年6月:AI業務効率化ツール「UPSIDER Coworker」を公開。
- 2023年11月:ベンチャーファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」を設立。
会社概要
- 会社名:株式会社UPSIDER
- 設立:2018年5月
- 所在地:東京都港区六本木7-15-7
- 代表者:宮城徹、水野智規
- 事業内容:
- 法人カード「UPSIDER」の提供
- 請求書カード払いサービス「支払い.com」の提供
- AI業務効率化ツールの開発(「UPSIDER Coworker」)
- ベンチャーデットファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」の運営
まとめ
今回は、法人向け金融サービスを提供する株式会社UPSIDERについて紹介しました。
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