AnotherBall株式会社(以下、Anotherball)はVTuberプロジェクト「IZUMO」を運営するスタートアップ。
CEO大湯俊介氏とCTO島田達朗氏が率いる経営チームは連続起業家であり、過去に家族向けの情報サイト「ママリ」やグローバルVTuber事務所「PRISM PROJECT」などを売却した。「IZUMO」はAI・Web3*時代のVTuberプロジェクトであり、「日本文化と最先端技術が融合した世界的なプロジェクトになる可能性がある」と有力な投資家から期待を寄せられている。
※Web3とは、ブロックチェーン技術を用いることで、次世代の分散型インターネットとして提唱されている概念。
事業内容:新時代のバーチャルエンタメ体験を提供するプロジェクト「IZUMO」
AnotherBallが運営する「IZUMO」は個人クリエイターがファンを獲得、かつマネタイズできる世界の実現を目指したVtuberプロジェクトだ。本サービスの特徴として、アバターアセット「Ailis」を営利・非営利を問わず無料で公開している。
「単一の会社ではなくコミュニティがキャラクターを保有する」という考え方がAnotherBallのミッションにとって必要不可欠だと考え、Ailisのアバターデータを商用利用も可能な状態で無料公開した。
クリエイターの可能性をさらに解放する
「IZUMO」をビジネスとして実現するためには、3つのピースが必要である。
- 武器の提供:できる限り多様なプラットフォームに対応した完成度の高い創作用の素材を用意すること
- 制限の解放:それに関して、会社が限りなく権利を開放すること
- 継続性の担保:それを利用しクリエイターが収益を上げることでプロジェクト全体がが生態系として拡大できる仕組みを作ること
今回の取り組みでは、まずこの1つ目と2つ目を満たすことが目的である。IZUMOがAilisの商用利用を可能な限り制限しないのは、この思想に基づいている。
例えば、誰かがAilisを利用し有料のイベントで収益をあげても、基本的にそれを制限しない。それはポジティブなことであり、Ailisの存在がより多くの人に知られることはIZUMOの長期的なメリットとなる。このようにして将来的には二次創作が販売された際のロイヤリティの一部をプロジェクトに還元するという方式は取り入れていく予定である。
これは既存のIPビジネスにおいては難しいことであり、 私達がビジネスモデルの転換を前提とした上でIZUMOをはじめているからこそ実現できる一手である。
なぜ「アイリス」は無料なのか?【IZUMO】
資金調達:シードラウンドにて19億円を調達し、累計調達額は22億円超
AnothterBallは、2023年11月にシードラウンドにおいてANRI及びHashedをはじめとし、複数の個人投資家を引受先とした19億円の資金調達を実施した。これにより累計調達額は約22億円となった。今回の資金調達により、世界中に最高のオタクライフを届けられるよう尽力していく。
市場規模:Vtuber市場は2029年に27億5900万ドルへ
世界のVtuber (バーチャル YouTuber) 市場は、2022年に4億4800万米ドルの評価を受けている。2029年までに35.6%の成長が予測されており、27億5900万米ドルに達すると予想されている。
将来展望:クリエイターが持続的に収入を得られる世界へ
以下は代表の大湯氏による今後の展開についての抜粋である。
私達はクリエイターの活動が増えることで、結果としてプロジェクト自体が成長し、そしてその収益を再びクリエイターの活動に還元できるという形を目指しています。この観点から、例えば将来的には二次創作が販売された際のロイヤリティの一部をプロジェクトに還元するという方式は取り入れていきたいと思っています。IZUMOにまつわる全ての創作が、新しいディーバ*であるAilisを中心に構築される。そんな世界を私達は実現していきたいと考えています。ワクワクしますよね!?
※ディーバはイタリア語で「歌姫」。ここではエンターテインメント分野で活躍し、注目を集める歌姫としての役割を指す。
このようにAnotherBallは今後も「IZUMO」の世界の拡大を通じて、クリエイターが持続的に収入を得られる世界を作ることを目標にしている。