近年、「5人に1人は一生の間に何らかの精神疾患にかかる」と言われており、心の問題は私たちにとってとても身近な問題です。
今回紹介する株式会社Awarefyは、「大切と向き合う自分をつくる」をモットーに、心理学とAIを掛け合わせて利用者の心の問題を解決するサービスを提供しています。
本記事では、その事業内容や資金調査、将来展望などについて詳しく紹介していきます。
事業内容:AIメンタルパートナーAwarefy
株式会社Awarefyは、毎日に寄り添い気づきを増やすAIメンタルパートナー「Awarefy」を提供しています。
これは、その日あった出来事や悩み、それに付随する感情を入力すると、状況を整理して自己理解を促し、その状況にあったケアを提案してくれるというものです。
Awarefyの利用の手順
①テーマを決める
まず、解決したい課題や、ありたい姿をテーマとして設定します。「調子の波を把握しながら自分らしく過ごしたい」、「日常のさまざまなストレスに上手に対処したい」、「もやもやした感情を吐き出して整理する場所が欲しい」などのありたい姿を決めることで、それに沿った心のケアを行ってくれます。
②アプリを使う
テーマを決めたら、アプリを利用しましょう。毎日の記録やAIのサポートで、気持ちを整理し、困り事やストレスに上手に対処することが可能です。
朝の調子を記録し、テーマを確認して1日をスタートさせる「朝のチェックイン」や、1日を過ごす中での困りごとやモヤモヤがあったら、AIがいつでもサポートしてくれる「24時間いつでも寄り添い」、そして毎日のふりかえりの中で気づきを増やす「チェックアウト」など、さまざまな機能があります。
③毎週の振り返り
アプリ利用していると、1週間のふりかえりレターが届きます。これによって内省が習慣化でき、テーマに向かって一歩前進することが可能です。
④日々の積み重ねでありたい姿へ
そのふりかえりを習慣化して、設定したテーマの達成を目指すというのが基本の流れです。
さらに、Awarefyには、用途に合わせた様々な機能があります。
自己理解につながる機能
多様な記録フォーマットに合わせて自分の思考や気持ちの記録が可能です。また、AIとの対話や客観的なコメントにより、自分で内省する以上の気づきや自己理解を促します。
習慣化につながる機能
自分に合ったストレス対処法をストックしたり、自分にとって良い行動を見つけて、新しい習慣を取り入れることができます。
学び・実践につながる機能
心理の専門家が作成・監修した300種以上の瞑想等の音声ガイドや、最短7日間で心理スキルを身につけられる学習コースを搭載しており、学んで実践することで、困ったときの対処スキルを身につけることが可能です。
心理学×AIによる自己理解の促し
Awarefyは、認知行動療法やマインドフルネスなどの心理学の理論と大規模言語モデルやレコメンドなどのAIの最新技術を掛け合わせており、それによって自己理解を促し大切と向き合う自分をつくります。
認知行動療法とは「練習を繰り返すことによって思考パターンと行動パターンを変えていく方法」のことで、現在は早稲田大学との共同研究を行い、アプリに反映しています。
Awarefyの料金(プラン別)
基本機能で気軽にセルフケアできるベーシックプランは
・年間プラン 9,600円(税込)(月額800円)
・月間プラン1,600円(税込)
対話するたびに進化するAIパートナーが心の健康と成長をサポートしてくれるAIパートナープランは
・年間プラン 19,000円(税込)(月額1,583円)
・月間プラン4,480円(税込)
一部機能のみ利用できるフリープランは無料となっているので、興味のある方はまずはフリープランから始めてみてはいかがでしょうか。
法人向けサービス「Awarefy for Biz」をリリース予定
さらに、法人向けサービス「Awarefy for Biz」が現在準備中です
こちらは、企業で働く人々の心の健康をサポートするためのものです。
資金調達:シリーズAラウンドで4億円を調達
株式会社Awarefyは、2024年12月11日シリーズAラウンドで総額約4億円の資金調達を実施しました。既存株主による追加出資に加え、新規引受先のDBC1号投資事業有限責任組合様をリード投資家に迎えています。
本調達で得た資金を用いて、アプリ「Awarefy」のAI機能強化に加え、2025年には認知行動療法に基づくプログラムや心理・福祉の専門スタッフによる面談などを受けられるリアル拠点の運営への進出も予定しています。
出資した企業は以下の通りです。
<新規引受先>
- DBC1号投資事業有限責任組合
- GENDA Capital 1号投資事業有限責任組合
<既存株主による追加出資>
- epiST Ventures 1号投資事業有限責任組合
- 株式会社オールアバウト
- デジタルヘルスファンド大阪投資事業有限責任組合
実績と将来展望:リブランディングを経てさらなる成長図る
アプリの利用によって気分の落ち込みを表す数値の38%減少や、寝つきの問題を表す数値の56%減少など、Awarefyによって有意なスコア改善がみられています。
2022年にはGoogle Play Best Of 2022隠れた名作部門大賞を受賞。また、日経ビジネスやanan、Hanako、NewsPicksなどの多数のメディアからも取材を受けています。
さらに、医師監修ナビ調査の医師50名へのアンケート調査の結果、92%の医師から利用を推奨されました。
将来展望
Awarefyは2024年5月9日にリブランディングを行っており、その理由を公式HPにて次のように述べています。
当社のリブランディングは、社会や技術環境の変化に伴い、Awarefyのブランドとしての新しい方向性や叶えたい未来を明確にするために行われました。
今回のリブランディングでは昨年12月に策定した、パーパス「大切と向き合う自分をつくる」 ミッション「心の健康と成長を支えるデジタル・メンタル・プラットフォームを実現する」
を踏襲しつつ、いつでも、誰にとってもメンタルケアが当たり前になる新たな未来(日常)へ進むための姿勢をより一層明確にいたしました。
Awarefyは、AIメンタルパートナーファイさんと共に、日常生活でおきているさまざまな「心の問題」を解決し、「大切にしたいこと」に向かって進みやすい状態を実現することに取り組んで参ります。
さらに、心の問題を医療だけでなく社会問題としてとらえ、それらを解決していきたいとも考えているようです。
市場規模:メンタルヘルス領域におけるAI活用、2033年には190億ドルへ
メンタルヘルス分野におけるAIの活用は、2023年時点で約9億1,267万ドルの市場規模と評価されています。この市場は2023年から2033年にかけて年平均成長率(CAGR)35.46%で拡大し、2033年には約190億ドルに達する見込みです。
AIは精神疾患の理解、評価、治療方法を革新する技術として注目されており、早期警告のシステムや行動パターン分析を通じて、患者一人ひとりに適した治療戦略を提供することが可能です。音声や表情、行動データなど個々の生理学的・行動的な信号を解析することで、AIは適切な提案や治療を提供し、治療の精度や効率を向上させる役割を果たします。
また、遠隔医療(テレメンタルヘルス)分野におけるAIの活用は、特に精神的なサポートが求められる地域や患者に対し、より広範な支援を可能にします。AIは訓練されたデータセットを活用して精神状態をモニタリングし、リスクが高い行動や兆候を迅速に検知することで、自殺などの危機的状況を未然に防ぐことも可能です。
こうした技術革新は、精神的健康サービス全体の質を向上させるとともに、患者の治療体験をより良いものにする可能性を秘めています。AIを導入したソリューションは、精神疾患に悩む人々が情報や支援を迅速かつ簡単に得られる環境を提供し、メンタルヘルスケアの新たなスタンダードを形成しつつあります。
企業概要
- 企業名:株式会社Awarefy
- 代表者:小川 晋一郎
- 設立:2018年3月2日
- 所在地: 〒163-0548東京都新宿区西新宿1-26-2新宿野村ビル48階4808
- 公式HP:https://www.awarefy.com/
まとめ
本記事では、株式会社Awarefyについて紹介しました。
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