2024年11月27日、AnthropicはAIチャットボット「Claude.ai」に、新機能「カスタムスタイル機能」を導入したと発表しました。この機能により、ユーザーはClaudeの応答スタイルを自分の目的や好みに合わせて柔軟に調整できるようになります。
Claudeの応答スタイルを自由にパーソナライズ可能
カスタムスタイル機能を活用すると、Claudeの応答を自身のコミュニケーションの好みや目的に合わせて調整することが可能です。たとえば、技術文書を作成する開発者や、ブランドガイドラインに従うマーケター、プロジェクト要件を計画するプロダクトチームなど、それぞれのニーズに応じてClaudeを適応させることができます。
実際に、Claudeには以下のようなプリセットスタイルが用意されています。
- フォーマル: 明確で洗練された表現を提供
- 簡潔: 短く要点をまとめた表現
- 説明的: 教育的なトーンで新しい概念をわかりやすく解説
これらのスタイルを選択することで、コミュニケーションのトーンや構成を簡単に調整することが可能です。
ユーザー独自のカスタムスタイルも作成可能
Claudeのカスタムスタイル機能では、3種類のプリセットスタイルに加えて、ユーザー自身で独自のカスタムスタイルを設定することも可能です。具体的には、好みのコミュニケーションスタイルが記載されたサンプルコンテンツをアップロードし、適切な指示を指定することでカスタムスタイルを設定できます。この設定は後から編集することもできるので、必要に応じた柔軟な変更が可能です。
すでにGitLabのような企業ではこの機能を活用しており、同社のAI・ML技術プロダクトリードであるTaylor McCaslin氏は次のように述べています。
「Claudeは異なるコンテキストに適応しつつ、一貫性のある応答を提供できます。そのため、ビジネスケースの作成や、ユーザードキュメントの更新、マーケティング資料の作成・翻訳など、さまざまなユースケースでカスタムスタイル機能を利用しています。」
Claudeのカスタムスタイル機能を利用するには
Claudeのカスタムスタイル機能を活用すれば、独自のコンテキストや目的に合わせて、より自然な形で作業を進められます。
カスタムスタイル機能を利用するには、プリセットスタイルを選択するか、Claude.aiのチャットボックスで独自のカスタムスタイルを設定してください。
Claude.aiのカスタムスタイル機能を通じて、AIとの対話をあなたのニーズに合わせて最適化しましょう。
応答のカスタマイズがAI競争のトレンドに
Anthropicが新たに発表した「カスタムスタイル機能」は、AI市場の競争が次の段階に進んだことを示す象徴的な動きです。現在、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiが生成AI市場の主導権を握っており、多くのAI企業が自社製品の差別化を図るために、応答内容のカスタマイズに注力しています。
従来、多くのAIアシスタントは単一の会話スタイルに留まっていました。しかし、Anthropicは「異なるユーザのニーズに応じて多様な応答形式が求められる」との考えを打ち出しています。
実際に、Anthropicの広報担当者はVentureBeatのインタビューで、次のように述べました。
現在、多くのユーザはAIに特定の方法で答えるよう指示できることを知りません。カスタムスタイル機能はその障壁を突破し、ユーザにAIの新たな可能性を示し、従来アクセスできなかった知識への道を開きます。
さらに、Anthropicはデータプライバシーに関しても独自の方針を掲げています。
デフォルトでは、ユーザが提出したデータを生成AIモデルのトレーニングに使用しません。アップロードされた内容はモデルのトレーニングに利用されることはありません。
このアプローチは、ユーザデータをトレーニングに使用する他のAI企業との差別化を図るものです。
AIカスタマイズがもたらすAI活用の変革
Anthropicのカスタムスタイル機能は、特に企業でのAI活用において重要な役割を果たす可能性があります。現在のところ、チーム全体でカスタムスタイルを共有する機能は提供されていませんが、Anthropicは今後エンタープライズ向けのさらなる機能拡張を計画していると述べました。
さまざまな業界やワークフロー、個人に対応し、Claudeを最大限に効率的かつユーザフレンドリーにすることを目指しています。
このような取り組みは、企業がAIを活用しながら、ブランドの声を保ちつつ一貫性のある対話を実現したいというニーズに応えるものです。AIを活用することで、組織内のコミュニケーションや業務プロセスを標準化しつつ、柔軟性を持たせることが可能になります。
適応性がAI競争の鍵
Anthropicのカスタムスタイル機能は、他社が技術的な優位性やモデルの大きさに注力している中で、異なるアプローチを示しています。同社は、適応性とユーザ体験の向上が企業でのAI活用を広げる鍵であると考えています。
特に大規模な組織では、部署ごとに異なるニーズに対応しながら、一貫したコミュニケーションを保つことが必要です。この新機能は、そのような課題を解決する手段となります。
AI業界が技術の革新から、実用性やユーザ体験の向上を重視する方向へとシフトする中で、Anthropicのカスタムスタイル機能は、単なる便利な追加機能ではなく、AIの本質的な価値を再定義するものです。「何を言うか」に加えて、「どのように言うか」という表現方法の重要性を再検討する、AI活用の画期的な一歩と言えるでしょう。
まとめ
AnthropicはAIチャットボット「Claude」にカスタムスタイル機能を導入し、ユーザーが応答スタイルを目的や好みに応じて柔軟に調整できるようにしました。この機能は、AI市場における競争の新たなフェーズを象徴し、特に企業でのAI活用に革新をもたらすと期待されています。
企業概要
- 企業名：Anthropic
- 代表者：CEO Dario Amodei
- 設立：2021年
- 所在地： アメリカ合衆国、カリフォルニア州サンフランシスコ
- 公式HP：https://www.anthropic.com/
Anthropicについて、以下の記事で詳細に解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
