OpenAIは2024年12月18日、12 Days of OpenAIの10日目として、ChatGPTを電話やWhatsAppから利用できる新サービスを発表しました。この取り組みは、AIをより多くの人々が手軽に利用できるようにする大きな一歩です。
インターネットが繋がらない環境でも電話を通じてChatGPTと会話できるなど、今後我々の生活を大きく変化させるポテンシャルを秘めています。本記事では、この新機能の詳細やメリット、将来の可能性についてわかりやすく解説します。
発表:ChatGPTが電話やWhatsAppから利用可能に
OpenAIは、AIをより手軽に活用できる新機能として、電話とWhatsAppを利用してChatGPTにアクセスできるサービスを発表しました。この新サービスにより、従来のブラウザや専用アプリに依存することなく、多くの人々が簡単にAIを利用できるようになりました。
特筆すべき点として、固定電話や回転ダイヤル式電話といった少し古い機器でも、今回の新機能を利用できます。また、インターネットに接続できない状況でも、電話が使える環境さえあれば、ChatGPTを利用することが可能です。月に15分まで無料で試すことができるため、気軽にChatGPTとの会話を体験することができます。
なお、このサービスはChatGPTの「高度な音声モード」と似た印象を与えるかもしれませんが、マルチモーダル対応ではありません。
なぜ電話やWhatsAppが注目されるのか?
「音声認識なんて昔からある技術ではないか」「ChatGPTのアクセス手段が増えただけだろう」と軽視するのは早計です。電話やWhatsAppを通じてChatGPTにアクセスできる今回の取り組みには、以下のような大きなメリットがあります。
<電話やWhatsAppからChatGPTにアクセスできるメリット>
- 普段使いのハードルが低い
- ながら利用が可能
- インターネットがなくてもChatGPTを利用可能
1) 普段使いのハードルが低い
スマートフォンやブラウザの操作に慣れていない人でも、電話番号をかけるだけでChatGPTを利用できます。
私たちは日常的にスマホで電話をかけたり、メッセージアプリで誰かとやりとりしたりしています。このように、既に馴染みのあるコミュニケーション手段にAIが組み込まれることで、技術に疎い方でも気軽にAIを活用できる環境が整いました。
特別なアプリのダウンロードや新しい操作方法を覚える必要がないため、普段使いのハードルが大きく下がったと言えるでしょう。
2) ながら利用が可能
音声で操作するChatGPTは、手がふさがっている状況でも利用が可能です。例えば、料理中にレシピを確認したり、旅行中に観光地の情報を尋ねたりすることができます。
特に、PC操作が苦手な方や、「ツールの使い方を覚えるのが煩わしい」と感じる人にとって、「電話をかけるだけでAIと会話ができる」というシンプルさは大きな魅力です。また、仕事や日常生活の中で他の作業と並行して利用できるため、効率性も向上します。
3) インターネットがなくてもChatGPTを利用可能
この新機能の中で特に注目すべき点は、インターネット環境がなくてもChatGPTを利用できることです。
世界には、依然としてインターネットの普及が進んでいない国や地域が多く存在します。しかし、電話回線が利用できない場所はそこまで多くありません。電話回線を活用してChatGPTが利用できるようになったことで、これまでアクセスが難しかった地域でもAIが利用できるようになります。
これにより、OpenAIはインターネット未接続の地域をも「新たな市場」として取り込み、これまで以上にユーザー基盤を拡大するチャンスを生み出しました。こうした革新は、AI技術の普及をさらに加速させる可能性を秘めています。
電話からChatGPTにアクセスする方法
電話からChatGPTにアクセスする方法は非常にシンプルです。米国内のフリーダイヤル番号「1-800-CHAT-GPT」(正式な番号は1-800-242-8478)に電話をかけるだけで、AIとの会話がスタートします。
ただし、このサービスは現在のところ米国内でのみ利用可能で、月に15分間まで無料で提供されています。
WhatsAppからChatGPTにアクセスする方法
普段使っているWhatsAppアプリを開き、テキストメッセージを送るだけでChatGPTと会話を始めることができます。特別な操作や設定は不要で、いつものメッセージアプリ感覚でAIとやり取りが可能です。
この機能を利用するには、WhatsAppのアカウントが必要ですが、ChatGPT専用のアカウントを作成する必要はありません。また、このサービスは世界中で利用できるため、地域を問わず手軽にAIを活用することができます。
ただし、WhatsAppでの利用には一定の上限が設けられています。利用時間や回数が上限に達すると、ChatGPTの専用アプリをダウンロードするよう案内されるそうです。
今後期待できる拡張機能
今回の電話およびWhatsApp対応は、OpenAI内で行われたハッカソンから生まれたアイデアとのことです。 そのため、この新機能はまだ初期段階にあり、今後さらに多くの機能が追加される可能性があります。今後は認証機能を追加し、画像検索や高度な対話機能も可能になる予定です。
今回のアップデートの背景
今回の電話やWhatsAppでのアクセス解禁は、「12 Days of OpenAI」イベントの一環として発表されました。このイベントでは次のような新機能も紹介されています。
- 1日目: 新プラン「ChatGPT Pro」と最新モデル「GPT-4o1」の公開
- 2日目: 強化学習ファインチューニングの導入
- 3日目: 動画生成ツール「Sora」の一般公開
- 4日目: ChatGPTの新機能「Canvas」の一般公開
- 5日目: AppleデバイスとChatGPTの統合
- 6日目: 高度な音声モードのアップデート
- 7日目: 新機能「Projects in ChatGPT」の実装
- 8日目: ChatGPT searchを全ユーザーに公開
- 9日目: OpenAI、「開発者向け」o1新機能を公開!
- 10日目: ChatGPTに電話・WhatsAppからアクセス
- 11日目: ChatGPTアプリが他ツールと連携
まとめ
ChatGPTが電話やWhatsAppから利用可能になった今回の発表は、AI活用の可能性を大きく広げる一歩です。インターネットに依存しないアクセス方法の提供により、これまでAIを活用する機会が限られていた地域や環境でも、気軽にChatGPTを利用できるようになりました。さらに、普段使いのハードルが低く、ながら利用が可能なことから、AIがより身近で便利なツールとして生活やビジネスをサポートする未来が期待されます。
この取り組みはまだ始まったばかりであり、今後追加される機能によって、ChatGPTの利便性や活用範囲がさらに拡大していくことでしょう。OpenAIが進める技術革新の動向を注視しながら、AIが私たちの生活にどのように浸透していくのかを楽しみにしたいと思います。