OpenAIは2024年12月19日、「12 Days of OpenAI」の11日目として、MacOS版ChatGPTアプリの大幅なアップデートを発表しました。このアップデートでは、外部ツールとの連携機能が追加され、音声モードの強化も実現。これにより、ユーザーの日常作業やプロジェクトがさらに効率的かつ快適に進められるようになりました。
この記事では、ChatGPTアプリの新機能について、その詳細をわかりやすく解説します。
発表概要:ChatGPTデスクトップアプリが大きく進化
今回のアップデートは、ChatGPTを「単なるQ&Aツール」から、ユーザーの作業を支援する「プロアクティブなパートナー」へと進化させるものです。注目すべき新機能として、以下の3つが挙げられます。
- 外部アプリとの連携機能 メモアプリやコードエディタなど、さまざまなツールとのシームレスな統合を実現。これにより、コピー&ペーストが不要になり、複雑な作業も効率的に行えるようになりました。
- 高度な音声モードの強化 音声入力でリアルタイムの編集や検索が可能に。手を使わずに効率的に操作できるため、スピーディな作業が可能です。
- 作業自動化を支援する機能の向上 プログラミングや文書作成などの複雑なプロセスを自動化。特にプログラマーやライターにとっては大きなメリットがあります。
これらの機能は即日利用可能であり、Windows版アプリにも近日中に展開される予定です。なお、「12 Days of OpenAI」の最終日である20日には「非常にエキサイティングな内容を発表する」と予告していました。
1. ChatGPTデスクトップアプリの機能拡張
Mac版ChatGPTアプリは最新のアップデートにより、複数のアプリケーションとの連携が可能になりました。これにより、さまざまな作業を効率的にサポートする機能が追加されています。
【ChatGPTデスクトップアプリの連携可能なアプリケーション】
- プログラミングツール:Warp、Xcode、VS Codeなど
- 書類作成ツール:Apple Notes(メモ)、Notion、Quip
この機能の最大の特徴は、アプリケーションを明示的に選択するまで、ChatGPTが他のアプリケーションのデータにアクセスしない点です。これにより、ユーザーは共有するデータを完全にコントロールできるため、プライバシーが確保されます。
また、ChatGPTとコンピュータ上のアプリを連携すれば、自動的にそのコンテキストを取り込んでくれます。たとえば、質問したい部分をわざわざコピペする必要がないので、効率的に作業を進められるでしょう。
操作も簡単で、デフォルト設定では「オプション+スペース」のショートカットキーで、ChatGPTのチャットバーをすぐに開くことができます。
デモ①:Warpターミナルとの連携
Warpとは、開発者向けに設計されたターミナルアプリです。従来のターミナルよりも使いやすく、視覚的なインターフェイスを備えています。
ChatGPTはWarpと連携することで、プログラミング作業を効率化します。たとえば、Gitコマンドの自動生成やスクリプト作成の支援を行い、ユーザーがより簡単にタスクを実行できるようサポートする点が最大の魅力です。
デモでは「過去2ヶ月間の1日あたりのコミット数を取得するコマンドを書いて」と依頼。すると、WarpのコンテキストからGitを使用していることを、ChatGPTが自動で理解し、必要なコマンドを提供してくれました。実際に、生成されたコマンドをWarpに入力すると、過去2ヶ月間のコミット数が正確に表示されました。
このように、ChatGPTとWarpを連携させることで、コマンドの作成やデータの取得を簡単に行うことが可能です。これにより、日々の開発作業が効率化され、プログラミングの生産性が大幅に向上します。
デモ②:Xcodeとの連携
Xcodeは、Apple製品向けのアプリ開発に使用される公式統合開発環境(IDE)です。ChatGPTがこのXcodeと連携することで、コードのデバッグや分析が簡単になり、エラーの修正作業が効率化されます。
デモでは「選択が変更された時にloadTextAreasが呼び出されるようにオブザーバーを追加して」と依頼。その後、ChatGPTが生成したコードを入力すると、2度目に無事に成功しました(1度目は謎のエラーで失敗)。
デモ③:Notionとの連携
ChatGPTはApple Notes(メモ)、Notion、Quipなど、文書作成やノート整理に有用なアプリとの連携が可能となりました。この連携により、ユーザーは必要な情報をリアルタイムで取得しつつ、効率よく文書を作成できるようになります。
<文書作成アプリと連携する強み>
- 情報整理の効率化:ChatGPTがリアルタイムで内容を分析し、文章を最適化する提案を実行
- 情報の即時取得:必要な情報を検索しながら、その場で文章を作成可能
実際に、デモではNotionとの連携を披露。「ジョシュア・ノートンの歴史についてその要点を詳しく説明して」と依頼すると、ChatGPTはウェブ検索を行い、信頼性の高い情報を返してくれました。
生成された内容は適切でしたが、やや文体が堅かったため、「他の部分と文体を揃え、短く2段落にして」と再依頼。すると、ChatGPTはこの指示にも応じて、「サンフランシスコで最も愛されたキャラクターの1人を紹介しましょう」と、フランクに説明を行ってくれました。
2. 高度な音声モードのサポート
ChatGPTの高度な音声モード(Advanced Voice Mode)では、文書やコードをリアルタイムで分析し、ユーザーに有益なフィードバックを対話形式で提供します。この機能により、テキストを入力する手間が省け、音声だけで文章の修正や情報検索が可能になるため、作業効率が大幅に向上するでしょう。
実際のデモでは、高度な音声モードとApple Notes(メモ)の連携を披露。「ホリデーパーティのセットリストを作成中ですが、『I’ve Got My Love to Keep Me Warm』はあまり知られていない曲のようです。他におすすめの曲はありますか?」と口頭で質問。すると、ChatGPTが音声で「『Frosty the Snowman』はいかがでしょうか?」と即座に返答しました。
今回のアップデートの背景
今回のChatGPTアプリの大幅なアップデートは、「12 Days of OpenAI」イベントの一環として発表されました。このイベントでは次のような新機能も紹介されています。
- 1日目: 新プラン「ChatGPT Pro」と最新モデル「GPT-4o1」の公開
- 2日目: 強化学習ファインチューニングの導入
- 3日目: 動画生成ツール「Sora」の一般公開
- 4日目: ChatGPTの新機能「Canvas」の一般公開
- 5日目: AppleデバイスとChatGPTの統合
- 6日目: 高度な音声モードのアップデート
- 7日目: 新機能「Projects in ChatGPT」の実装
- 8日目: ChatGPT searchを全ユーザーに公開
- 9日目: OpenAI、「開発者向け」o1新機能を公開!
- 10日目: ChatGPTに電話・WhatsAppからアクセス
- 11日目: ChatGPTアプリが他ツールと連携
まとめ:ChatGPTの新機能が開く未来の可能性
今回のMac版ChatGPTのアップデートにより、ユーザーはより創造的なプロジェクトに専念できる環境が整いました。これにより、文書作成やプログラミングなどの作業がこれまで以上にスムーズに進行し、個人の生産性向上に大きく寄与することが期待されます。
OpenAIが提供する改良されたデスクトップアプリは、単なる作業支援ツールにとどまらず、まるで頼りになるパートナーのようにユーザーを支えてくれるでしょう。