スペイン発!!ホップ専用の植物工場でビールの未来を救え!【Ekonoke】

Ekonoke levanta 4,2M€ para garantizar la producción sostenible

Ekonoke社は、スペインを拠点とする、2018年に創業されたスタートアップです。ビールの原料であるホップを植物工場で生産しています。

本記事では、Ekonoke社の事業内容(植物工場)・創業の経緯・資金調達を紹介していきます。

事業内容:ビールに不可欠はホップの生産

Ekonoke, la empresa madrileña que quiere salvar a la cerveza del cambio  climático | El Periódico de España
(出典:https://www.ekonoke.com/

Ekonoke社は、スペインを拠点とする、2018年に創業されたスタートアップです。ビールの原料であるホップを植物工場で生産しています。同社の事業内容について、詳しく説明していきます。

同社は、垂直農法を専門としています。植物工場にて、LEDライトを利用してホップを栽培しています。そのため、気候変動の影響を受けずに安定した品質のホップを提供することができます。

なぜホップに着目するのか

(出典:https://jp.reuters.com/article/idUSKBN2W90I4/

Ekonoke社がホップの栽培に注力している理由は、ビールにとってホップが不可欠な原料にも関わらす、安定した生産ができていないからです。

ビールにとってホップが不可欠な原料

まず、ビールは、水・酵母・大麦・ホップの4つの原料からできています。原料の中でも、ビール独特の苦味と風味を決定づける要素がホップなのです。そのため、ビールにとってホップはとても重要な原料といえます。

ホップの安定した生産のために

ビールにとって必要不可欠な原料であるホップ栽培は、現在偏っています。具体的にはホップの栽培の80%がドイツとアメリカに集中しています。また、ホップは環境に敏感な作物であるため、近年の気候変動によって生産量は低下しています。

Ekonoke社の共同設立者であり、同社のCEOである経済学者イネス・サグラリオ氏は以下のように述べています。

「ホップはとても特別なものです。夏にはたくさんの光が必要で、気温が高く、たくさんの水が必要です。干ばつと地球温暖化の結果、収穫量はどんどん減っている。ドイツでは、2022年に最大で28%も生産量が減少します」

上記の通り、ビールに不可欠であるが、安定した供給の難しくなっているホップに着目し、同社はホップの安定供給を目指しています。

Why – Ekonoke

創業の経緯とこれからのEkonoke

Spanish indoor farming startup believes it's cracked the secret to growing  climate-resilient hops | Sifted
(出典:https://sifted.eu/articles/spain-farming-startup-climate-hops

Ekonoke社は、2018年にマドリードで4人の起業家によって設立されました。創業に関わった4名は全く異なるバックグラウンドを持つ起業家でした。

Ekonoke社の創業に関わったのは、次の4人です。

  1. アントニオ・ロハス(Antonio Rojas):化学者。室内マイクログリーンと食用花を栽培する会社Los Tallos Microgreensを共同創業。
  2. ハビエル・ラミロ(Javier Ramiro):化学者。ロハスと共にLos Tallos Microgreensを創業。
  3. アナ・サエス(Ana Sáez):農業エンジニアで、温室でベビーリーフや香草を栽培する会社Achipámpanosを共同創業。
  4. イネス・サグラリオ(Inés Sagrario):経済学者で、サエスと共にAchipámpanosを創業。

彼らは、気候変動による農業への影響を問題視していました。そこで、気候変動によって安定的な生産の難しい作物を植物工場(室内農法)によって栽培するために、Ekonoke社を設立しました。同社は2018年に設立されています。

その後、開発を進め、2020年には初の屋内ホップ農場を開設しました。

2021年には商業規模でのホップ生産に成功し、地元の醸造所と提携。2022年にはさらなる拡張計画を発表し、持続可能なホップ生産を世界中に広めるための取り組みを進めています。

2024年にはガリシア州(スペイン)に約1万平方メートルの新しい施設を開設し、商業生産を拡大することを発表しています。

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資金調達:シリーズAラウンドで420万ユーロ(7億円以上)を獲得

Ekonoke社は、2022年にシリーズAラウンドで、420万ユーロ(7億円以上)の資金調達に成功しています。

本ラウンドは、Corporación Hijos de Rivera(スペインの醸造所)が主導しています。この資金調達により、Ekonokeは新たな施設の開発や商業規模の拡大を目指しています。

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市場規模:2029年までに100億ドルの規模へ

(出典:https://www.mordorintelligence.com/ja/industry-reports/hops-market

Ekonoke社が関わるホップ市場は、ビール産業において重要な位置を占めています。ビールの消費量が増加する中で、ホップの需要も高まっています。特にクラフトビール市場の成長により、高品質なホップの需要が増加しています。Ekonoke社の持続可能なホップ生産は、この市場のニーズに応えるものであり、今後も需要の増加が期待されます。

具体的な市場規模の数値は以下の通りです。

ホップ市場(全世界)は、2024年の市場規模は86億4000万ドルと予測され、2029年までに119億5000万ドルに達する見込みです。これは、予測期間(2024年から2029年)中のCAGR(年平均成長率)は、6.70%です。

クラフトビールの影響

クラフトビールの世界的な拡大に伴い、ホップの需要は大きくシフトしています。アメリカではクラフトビール市場が成長を続けており、2021年には小売クラフトビール市場が268億ドルと評価されました。クラフトビール醸造所の数も増加しており、その数は2021年に9118に達しています。

上記の通り、ホップ市場は今後数年間で大幅な成長が見込まれており、特にクラフトビールの需要拡大が市場を牽引する要因となっています。

ホップ・マーケット -規模、シェア、業界分析
ホップ市場は、2024年に86億4,000万米ドルに達し、6.70%のCAGRで成長し、2029年までに119億5,000万米ドルに達すると予想されています。レポートは、最新の傾向、規模、シェア、業界の概要を提供します。

会社概要

会社名:Ekonoke

設立:2018年

創業者:Antonio Rojas、Javier Ramiro、Ana Sáez、Inés Sagrario

URL:https://www.ekonoke.com/

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Oishii Farm:日本人起業家、古賀 大貴氏がNYを拠点に、植物工場でイチゴの生産をするスタートアップ。

Arctic Farming:フィンランドのスタートアップ。日常生活で宇宙農業技術を使えるようにする室内農業器具を開発。

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