【Oishii Farm】今一番イケてる企業!イチゴで農業が大転換

「Oishii Farm」は、ニューヨークを拠点に植物工場を展開する、2016年創業のスタートアップです。日本の農業・工業の技術を活かして、高品質なイチゴを生産し販売しています。 また、同社は「世界最大の植物工場を作り、未来の”食”を救う」というミッションの実現に向けて事業展開しています


事業内容:植物工場でおいしいイチゴを量産

(出典:https://oishii.com/

Oishii Farmは、日本の農業技術をベースに開発された独自の栽培方法と受粉技術を駆使し、高品質なイチゴを生産・販売しています。

Oishii Farmはニューヨークを拠点に植物工場を展開し、アメリカの天候・農業技術では生産が難しい甘いイチゴの生産を成功させました。そのイチゴはニューヨーク中のミシュラン星付きレストランや五つ星ホテルからの問い合わせが絶えず、話題となっています。

さらに、Oishii Farmは技術革新を通して価格を当初の1/5まで下げることに成功し、アメリカの大手高級スーパーマーケット「ホールフーズ」でも販売が拡大しています。

具体的に、主力作物であるイチゴを詰め合わせた「Omakase Berry」を販売しています。「Omakase Berry」は1パック8個で50ドルと高価でありながらも、マンハッタン中のミシュラン掲載レストランから注文が殺到しているようです。

同社はイチゴに続き、フルーツトマトの販売も開始し、ますます注目を集めています。


企業沿革:イチゴを種に農業全体の改革へ

Oishii Farmは、植物工場によって、高品質のイチゴの安定生産を可能にしています。 同社の沿革・実績は以下の通りです。

2016年:「持続可能な形で農業を変革する」ことをミッションに設定し、古賀大貴氏が創業。
2017年:イチゴ植物工場のプロトタイプ農場を建設。イチゴの生産を開始。
2018年:ミシュランの星付きレストランへの販売を開始。
2022年:大規模な植物工場を建設し、高級いちごの量産を開始。ホールフーズでの販売まで。
2023年:高級スーパーチェーンへの販路を拡大し、フルーツトマトの販売を開始。


世界を変えるイチゴ!アメリカを席巻する植物工場ビジネス

人生の転機・スタンフォード大学への留学
古賀氏は、慶應義塾大学でごく一般的な学生生活を送っていたそうです。しかし、スタンフォード大学への留学は古賀氏に大きなインパクトを与えました。彼は、海外の学生たちのハングリー精神に衝撃を受け、「このままでは世界に通用しない」と危機感を抱いたようです。

コンサルタントからMBAへ
古賀氏はコンサルタントとして、ファーストキャリアを選択しました。その理由の一つに上記の危機感があったそうです。古賀氏は世界で活躍するため、さまざまな業界を見ることができるコンサル業界に魅力を感じたからと言います。
その後、MBA留学を目指し5年間で1500万円を貯蓄し、起業家輩出校であるUCバークレーへ進学しました。

植物工場に注目
古賀氏は、コンサルタント時代に植物工場案件を担当。この経験から、彼は日本の技術力とアメリカ市場での可能性に着目しました。アメリカでは水不足や人手不足などの課題があり、日本の植物工場技術が大きなインパクトを与える可能性を感じ取ったそうです。

起業
MBA1年生で起業を決意した古賀さんは、同級生とコンシューマー系ビジネスで起業を試みました。しかし、メンバーの離脱により断念。その後、VCインターンで投資家側の視点を学び、戦略を明確化しました。彼は日本の技術力とアメリカのニーズを活かせる「アメリカでイチゴを生産する」という事業アイデアを確立しています。

Oishii Farm 誕生
2017年に、アメリカでイチゴの植物工場を運営する「Oishii Farm 」を設立しました。同社が目指すのは、「世界最大の植物工場」だと、古賀氏は言います。そのファーストステップとして、イチゴをターゲットに事業展開を進めています。


資金調達:累計250億円以上の資金調達を達成

Oishii Farmは2021年には、シリーズA で約55億円の資金調達を発表。2024年2月には、シリーズBで200億円の資金調達を発表しました。
国内だけでなく、欧米のサステナビリティファンド(McWin Capital Partners、Bloom8なども)出資しています。
日本電信電話株式会社(NTT)・株式会社安川電機・株式会社脱炭素化支援機構・株式会社みずほ銀行などの日本企業と、McWin Capital Partnersなどの欧米のファンドが、植物工場の展開を加速するために協力しています。


市場規模

世界の植物工場市場は2036年までに約1610億米ドル規模まで拡大

(出典:https://www.sdki.jp/reports/plant-factory-market/115233

SDKI.jpの「世界の植物工場市場に関する調査レポート:予測2024―2036年」によれば、植物工場の市場規模は2023年に約1185億米ドルと評価されています。そして、この市場は、予測期間中に約7.2%のCAGRで成長し、2036年までに約1610億米ドルに達すると予測されています。

国内植物工場の市場規模は2025年に6700億円規模まで拡大

(出典:https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/consumer-business/articles/ag/agribusiness-botanical-factory1.html

デロイト トーマツ グループの調査によれば、日本の植物工場ビジネスは、2025年には6,700億円の市場規模になると予測されています。これには、野菜の生産だけではなく、生産設備・プラントも含まれており、一大産業が形成されつつあります。


将来展望:「世界最大の植物工場を作る」というゴールへ

古賀氏によれば、Oishii Farmのゴールは「世界最大の植物工場を作ること」です。この目標を達成するため、同社は今後、農業技術と工業技術(自動化・ロボティクス)の研究を深めます。その上で、工場を世界中に拡大し、高品質の果物・野菜を全世界に提供することを目指しています。

現在、農業は担い手不足・天候不順・水不足・土地不足といった多くの問題から、既存の業態ではコストが上昇し続けています。しかし、Oishii Farmの古賀大貴氏は、農産物の生産方法はこの先20~30年で植物工場に置き代わり、長期的には100兆円規模のマーケットになると予想しています。

今後必須となる植物工場を運営するためには、LED・収穫の自動化・空調などの高度な技術が必要です。そこで、「各領域の世界的トップ企業と組んで、オープンイノベーションに取り組む。そして、世界最先端の植物工場のユニットを作り、生産していく」と古賀氏は述べています。

今後、Oishii Farmは、全米展開を加速させ「世界最大の植物工場を作ること」を実現していくでしょう。

参考:https://www.fastgrow.jp/articles/oishii-farm-koga


企業情報

  • 会社名:Oishii Farm Corporation
  • 代表者:古賀 大貴
  • 本社所在:Kearny, New Jersey, United States
  • 設立:2016年12月
  • 会社HP:https://www.oishii.com

まとめ

本記事では、ニューヨークを拠点に植物工場で日本のイチゴを生産するOishii Farmについて紹介してきました。

New Venture Voiceでは、このような注目スタートアップを多数紹介しています。

アイスランドの植物工場でイチゴを生産するアイファーム株式会社についてもまとめているため、関連記事もご覧ください。

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