OpenAIは2024年12月11日(現地時間)、クリスマスのミニイベント「12 Days of OpenAI」の5日目として、「ChatGPT in Apple Intelligence」を発表しました。
この発表により、ChatGPTがAppleの最新iOS、iPadOS、macOSと統合され、Appleデバイスからシームレスにアクセスできるようになりました。この統合により、日常の作業やクリエイティブなプロジェクトの効率が飛躍的に向上することが期待されています。
AppleデバイスからChatGPTが利用可能に
今回の統合により、Appleデバイス上でChatGPTを簡単に利用できるようになりました。具体的には、デバイス上からSiriにタスクを依頼した際、それが対応困難なタスクであれば、そのタスクを自動でChatGPTに引き継ぎます。なお、音声やタップ操作によって、ChatGPTに直接アクセスすることも可能です。
また、Siri経由でChatGPTにタスクを渡す際には、送信内容をユーザー自身が確認できる仕組みが備わっているため、安心して利用できます。ただし、現時点では日本語対応がされていないため、利用する際にはデバイスの言語設定を英語に変更する必要がある点に注意が必要です。
なお、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、発表動画で「われわれはAppleの端末が大好きなので、この統合を非常に誇りに思っている」と語りました。
<今回の統合で獲得した主な機能>
- 対象デバイス:iPhone、iPad、Mac
- 主な機能:Siriとの連携
- Siriが難しいと判断したタスクをChatGPTに引き継ぎ
- 音声やタップ操作でChatGPTにアクセス可能
- Siri経由でタスクを渡す際、送信内容の確認が可能
- ライブ映像での実演
- iPhoneでの画像分析や生成
- Macでの長文(論文PDF)の要約
1.iPhoneを使った画像分析と生成
Appleとの統合を示す実演として、iPhoneから写真を撮影して、ChatGPTに分析させた3人。3人はプロンプトに自分たちの名前を入力して、誰のクリスマスセーターが最も良いかと質問します。
すると、デザインや楽しさを基準に、画面右のSamが1位で、画面左のMiqdadが3位と、ChatGPTはランキングをつけました。
そして、「最後にSamを表彰するトロフィーを作成してください」と依頼すると、実際に画像が生成されました。このように、iPhone→Siri→ChatGPTと連携されたことで、撮影した写真の分析や生成が可能になっています。
2.Macで長文PDFを要約
Macを使った実演では、49ページにも及ぶ長文PDFの要約が紹介されました。3人は論文があまりにも長いので、右上のSiriアイコンをタップして、Siriに内容を要約してほしいと依頼します。
すると、SiriがChatGPTにこの内容でタスクを渡していいかと3人に質問。3人は送信する内容をスクリーンショットではなく、論文の全文テキストで送信するように指示します。
その後、ChatGPTが右上のウィンドウに論文の内容を要約して表示しました。しかし、この表示形式では内容が見づらいため、3人はウィンドウ左下のChatGPTアイコンをタップすると、ChatGPTのチャット欄が新たに中央に登場。
そこで、新しく現れたチャット欄で、3人は「内容をわかりやすくビジュアル化してほしい」と依頼します。これに対してChatGPTは円グラフを生成し、論文の要点を視覚的に分かりやすく説明しました。
AppleデバイスからChatGPTにアクセスするための設定方法
このようにChatGPTとAppleデバイスの連携は非常に便利な機能ですが、この機能を利用するには、以下の手順を行う必要があります。
<ChatGPTとAppleデバイスを連携させるための設定方法>
- 最新版のiOS、MacOSをインストール
- 設定画面からApple Intelligenceをタップ
- 下にスクロールしてChatGPTをタップ
- ChatGPTがSiriと連携するように設定
なお、既に持っているChatGPTのアカウントと連携するには、設定の途中で「Use ChatGPT with an existing account」をタップします。
ただし、先述の通り、この統合機能は現在日本語に対応していないため、言語設定を英語に変える必要がある点に注意しましょう。
今回の発表の背景:「12 Days of OpenAI」イベント
Canvasの無料解禁は、「12 Days of OpenAI」イベントの一環として発表されました。このイベントでは営業日の12日間にわたって、毎日新しい発表が行われており、実際に次の内容が公表されています。
- 1日目: 新プラン「ChatGPT Pro」と最新モデル「GPT-4o1」の公開
- 2日目: 強化学習ファインチューニングの導入
- 3日目: 動画生成ツール「Sora」の一般公開
- 4日目: ChatGPTの新機能「Canvas」の一般公開
- 5日目: AppleデバイスとChatGPTの統合
- 6日目: 高度な音声モードのアップデート
- 7日目: 新機能「Projects in ChatGPT」の実装
- 8日目: ChatGPT searchを全ユーザーに公開
- 9日目: OpenAI、「開発者向け」o1新機能を公開!
まとめ
「12 Days of OpenAI」の5日目には、ChatGPTとApple製品の統合が発表されました。これにより、Siriとのシームレスな連携を通じて、AppleデバイスでChatGPTがより直感的に活用できるようになりました。文書作成や画像分析など、日常のさまざまなタスクが効率化されるだけでなく、クリエイティブな活動も一層促進されるでしょう。
今回の機能は、Appleデバイスの生産性と利便性を大きく向上させる画期的な取り組みです。今後、さらに多様なシーンでChatGPTが役立つことが期待されます。