日本は現在、人口減少や高齢化による労働力不足が深刻化しており、特に交通業界ではドライバー不足が大きな課題となっています。
こうした状況を受け、GO株式会社や日本交通は、米Google系列の自動運転企業Waymo(以下、Waymo)と協力し、日本における自動運転タクシーの導入を加速。移動手段の確保を通じて、社会的課題の解決を目指しています。
本記事では、Waymoの事業内容や資金調達状況、市場の成長性について詳しく解説し、交通業界の未来を展望します。
Waymo とは
Waymoは、カリフォルニア州マウンテンビューに本社を構えるGoogle発のスタートアップ企業で、米ロボタクシー業界のリーディングカンパニーです。
「世界で最も信頼されるドライバーになる」ことを使命とし、運転席に人がいなくても、安全でアクセスしやすく、持続可能な移動手段の実現を目指しています。
事業内容:完全無人車両ロボタクシーサービス「Waymo One」

Waymoが提供する最大のサービスは、世界初の自動運転配車サービス「Waymo One」です。現在、サンフランシスコ、フェニックス、ロサンゼルス、オースティンの4都市で運行しており、アプリをダウンロードすれば誰でも利用できます。
「Waymo One」には以下の3つの特徴があります。
特徴①:24時間365日利用可能
特徴②:徹底された安全性
特徴③:持続可能な移動手段
これらについて以下の記事で詳しく説明していきます。
特徴①24時間365日利用可能
1つ目の特徴は、24時間365日利用することができるという点です。昼夜を問わず、いつでも目的地まで移動することができます。
特徴②再生可能な移動

2つ目の特徴は、再生可能エネルギーのみで稼働するという点です。
Waymo Oneは完全電気自動車であり、電気のみで運行しています。現在では、毎週20万回以上の走行を実現しており、推定250トンのCO2排出を削減しています。
特徴③徹底された安全性

3つ目の特徴は、Waymoの安全性の高さです。
Waymoの自動運転技術は、約6,000万kmの実走行経験を持ち、開発開始から10年以上をかけて完成したものです。
また、2024年8月には最新型の自動運転システム「Waymo Driver」を発表し、
・13台のカメラ
・4基のLiDAR(ライダー)
・6台のレーダー
・外部音声受信装置
を搭載し、車両の周囲最大500メートルまで昼夜を問わず監視できる機能を備えています。
また、Waymoは事故率の低さでも高い評価を得ており、従来の人間ドライバーよりも81%低い事故発生率を記録しています。
日本市場への導入による影響とは
Waymoは、すでにアメリカの主要都市で完全自動運転のロボタクシーサービス「Waymo One」を展開しています。そして今、日本市場への参入が現実味を帯びてきました。すでにGO株式会社や日本交通と協力し、2025年には東京での試験運行が開始される予定です。
この技術革新によって、日本の交通や社会に以下のような影響を与える可能性が考えられます。
1.日本のタクシー業界への影響
Waymoのロボタクシー導入は、日本のタクシー業界に大きな変化をもたらします。現在、ドライバー不足や人件費の高騰が課題となっていますが、完全自動運転が普及すれば、これらの問題を解決しつつコスト削減や運賃の低下が期待できるでしょう。
その一方で、既存のタクシードライバーにとっては脅威となる可能性も否定できません。特に都市部ではロボタクシーが主流となれば、従来のタクシー運転手の仕事が減少し、雇用問題が発生する恐れがあります。この変化にどのように対応するかが、今後の重要な課題です。
また、UberやDiDiといった競合との市場競争が激化し、タクシー業界の構造そのものが大きく変わる可能性もあります。
2. テクノロジーと規制の課題
Waymoの技術は、AIを活用した高度な自動運転システムによって支えられています。しかし、日本での導入にあたっては、技術的な課題だけでなく、法律や規制の問題も解決しなければなりません。
日本では、自動運転レベル4(特定の条件下で完全自動運転が可能)の実証実験が進められていますが、現行の道路交通法では、無人運転の商用サービスを展開するためには法整備が必要です。特に、事故が発生した際の責任の所在や、サイバーセキュリティ対策(サイバー攻撃による事故の被害)といった問題が大きな課題と予想されます。
また、Waymoのシステムは、すでにアメリカで数千万キロの無事故走行実績を持ち、安全性の高さが証明されています。しかし、日本の道路環境や交通ルールに適応させるためには、さらなる調整が必要です。特に、日本の都市部は道幅が狭く、複雑な交差点が多いため、WaymoのAIが適応するまでには時間がかかるかもしれません。
資金調達:2024年10月に8,500億円調達、累計1.5兆円突破
2024年10月25日、Waymoは過去最大規模となる資金調達ラウンドを実施し、56億ドル(約8,530億円)を調達しました。Alphabetが主導するこの資金調達により、「Waymo One」の配車サービス拡大が進められる予定です。
今後、現在展開中の4都市に加え、2025年にはアトランタやマイアミなどでもサービス提供が開始される見込みとなっています。
市場規模:2032年までに2,751億6,000万ドルに成長

世界のロボタクシー市場は、2024年に49億3,000万ドルと評価され、2025年から2032年にかけて年平均65.34%の成長が予測されています。2032年には市場規模が2,751億6,000万ドルに達する見込みです。
Waymoのサービス規模は着実に拡大している一方で、競合他社は厳しい状況に直面しています。最大のライバルとされたGM傘下のCruiseは、2023年10月にサンフランシスコでの歩行者事故を受け、事業を一時停止し、12月には撤退を発表しました。
加えて、イーロン・マスク氏が率いるテスラも、ロボタクシー市場においてWaymoの競合とされています。テスラは「完全自動運転(FSD)」技術を活用した自動運転タクシーの開発を進めていますが、現時点ではWaymoのような完全無人運転の商用サービスには至っていません。そのため、技術面や規制対応の面でWaymoが優位性を持っていると考えられます。
企業概要
- 企業名:Waymo
- 代表者:共同CEO:テケドラ・マワカナ、ドミトリー・ドルゴフ
- 設立:2009年1月17日
- 所在地: カリフォルニア州マウンテンビュー
- 公式HP:https://waymo.com/
まとめ
本記事では、Waymoの事業内容や市場動向について解説しました。
Waymoは自動運転技術の最前線を走る企業として、ロボタクシー市場の拡大を牽引しています。
日本のタクシー業界は、自動運転技術の導入によりドライバー不足の解消や運賃の低下が期待される一方で、新たな規制や安全対策の整備が求められます。Waymoの成功が日本の交通システムにどのような影響を与えるのか、引き続き注目です。
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